日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】中藤 玲著 「安いニッポン 「価格」が示す停滞」(日経プレミアシリーズ)

2023-02-07 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 近年の日本は「安い」。特に円安の今、海外から見たらこんなウレシイ国はない。かつて日本から見た東南アジア諸国、欧州から見た東欧諸国、北米から見た中南米諸国。いや、それ以上。品質が高くサービス良く、旅行に来れば治安も良い。言うことなし。ではそこに住む我々にとって、安いことは良いことか?支出を抑えられるのだから、良いに決まってる…そう言えないのが困ったところ。なぜかと言えば、著者によれば以下のような危機を招くからだと。

1.個人の購買力低下
2.人材の海外流出
3.人材育成の劣化
=>(世界から見た)「ガラパゴス」化の進行

 おっしゃる通りだと思う。つい最近も新聞に、2,30代の若い世代が日本に「失望」して海外へ出てゆくという記事を読んだ。給料は上がらず、年功序列はなかなか変わらず、子供への教育は不安な一方。無理も無かろうと思う。若い世代が出てゆけば、年金や保険制度が成り立たなくなってkる。幾ら治安が良くても、給料が安ければ海外から出稼ぎに来る人も減る。「スペイン化」だそうだ。

 支出が先か、賃金引き上げが先か。貯め込んでいる人の多いシルバー世代は別として、若年層の購買意欲喚起には後者しかあり得ない。単純な理屈だが、何がそれを阻むのか。ちょうど国会で議論が始まろうとしている。為政者は、地元開催のサミットで錦を飾ることばかり考えていないで貰いたい。

 2023年1月24日 自宅にて読了
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【本】宮内泰介・上田昌文著 「実践自分で調べる技術」(岩波新書)

2023-02-07 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 自分は、割と調べ物や纏めることが好きだし速く仕上げられるんじゃないかと思っている。当然、コツがある。本書は、そんな自負が自惚れでないか、見直す機会を与えてくれた。構成はだいたい以下の通り。

・調べると言うこと
・文献調査の仕方
・フィールドワークの仕方
・リスクを調べること
・アウトプットの手法

 タイトルに実践とあるように、内容が具体的な手法まで記載されているのが大いに参考になった。行くことはないが、国会図書館や東京中央図書館などお勧めの図書館とその活用方法。フィールドワークにおいては、道具や質問方法。それぞれの章に「課題」があり、実際に取り組むことができる。どこかの講義テキストのようだ。

 そもそもこういう本を興味深く読めるかどうかで、得手不得手と言うより取り組む姿勢が判る気がする。自分は全く足りていないなと思ったのだった。

 2023年1月24日 自宅にて読了
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【本】おがたちえ著・台北ナビ監修 「台湾観光 ツアーバスでいこう!」(ぶんか社)

2023-02-06 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 台湾関係の本が続く。海外旅行再開の最初の目的地にしたのだ。定番のガイドブックのほか、適当に漁っていたらユニークな切り口の本書を見つけた。ガイドブック的要素が強いので、読後メモを残すか迷ったのだけど。

 台湾でも現地ツアーバスは多いけど、本書が取り上げているのは台湾観光局が後押しする「台湾観巴」いわば政府公認ツアーバスで、催行は運行地域の旅行会社が行っている。

 本書は著者と台北ナビ編集長が二人で参加した数本のツアー参加のイラスト日記、訪問地紹介はもちろん参考になるのだが、散りばめられた道中のエピソードが面白い。

 自分も訪問時は利用してみたいと思ったが、最少催行人数が2名とか4名とかばかり、別のツアーを探す必要があるかもしれない。

 2023年1月24日 自宅にて読了
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【本】吉田秀一著 「路(ルウ)」(文春文庫)

2023-02-06 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 台湾新幹線(高鐡)開業を機に書かれた、同線にまつわる人間模様の小説。ドキュメンタリーではない。プロジェクトに関わった日本人と、現地事務所の台湾人、これまで田舎町だった沿線に住み、新幹線基地への勤務に応募する人など。色々な人がいて高鐡を走らせていると言う鉄道員物語でなく、高鐡がさまざまな人間模様を紡いでゆくと言う話。

 すっかり定着した感のある高鐡だが、車両更新をめぐり台日間で軋みが生じている。700S系ベースの更新車両が超高過ぎると言われているそうで、どうなるのか気になる。欧州勢の巻き返しか、まさかの中国中車製か。実績あるし親日国なので大丈夫なんて楽観は禁物だと、関係者や政治家は解っているのだろうか。
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【本】世界一周NAVI編集部編 「世界一周ビジネスクラスBOOK (旅人の声から生まれた世界一周&航空券ガイド)」(イカロス出版)

2023-02-03 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 「30万円台でぐるり夢の世界一周」読了から2週間、もう1冊世界一周航空券の本を読んでみた。今度はビジネスクラスに的を絞っている。

 通常この手の本は、まず世界一周航空券とは何かというレクチュアから始めると思う。それがこの本では、編集部にて取材した10数組の旅人(2,30歳代が多い)のコメントが延々と続く。予備知識を持っている人間としては、いきなり核心に触れたようで面白かった。もちろん、ルールや買い方についての説明も抜かりなく、後の方で出てくる。

 本書で自分の役に立ったのは、航空券の解説が世界地図入りで纏まった部分と、旅人たちによる持ち物のヒント。逆に、訪問都市に関するアドバイスはあまり気を惹かなかった。と言うのも自分の目的地はほぼ決まっているのと、マイルを稼ぐためあえて遠回りするルーティングを行うのと、乗りたいエアライン/機材/シートに強い拘りがあるのが一般的な旅人たちと全く異なること。特に後者については、たぶん一般的な書物でからはノウハウを得られず、ネット上のブログや掲示板から情報を得るしかないのだと思う。

 ともあれ、本書を読むことで、自分の旅のイメージがよりはっきりしたこと。為替レートや燃油代が悩ましいが、引き続き計画を進めようと思う。画像は自分が検討中の世界一周ルートで、まだ変わる可能性がある。

 2023年1月22日 自宅にて読了
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【本】山田 順著 「地方創生の罠」(イースト新書)

2023-02-03 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 「そもそも人がいないのに地域おこしなんてできっこないじゃん、都会のコンサルタントに丸投げして儲けさせてるだけだよ。寂れた田舎ジョートー、どこが悪いの?」と居直るようなスタンスの本で面白いし、内容は地域おこしに頑張ってる都会からの移住者などには申し訳ないけど賛同したくなってしまう。

 米国オレゴン州だったか、市街地から一定距離が離れた地点から先はユニバーサルサービス、即ち電気ガス水道と言ったインフラ整備を保証しないシステムがあると聞いた。無秩序なスプロール化を防ぐ手立てとして有効だと思う。「境界点」はスモールタウンと言うほど市街地に近接してはいなかったと思うけど考え方としてはアリだと思う。とは言え狭い日本でどれだけ効果があるか疑問だが。

 地方創生や地域おこしといった取り組みは、過疎化する→税収が減る→自治体(サービス)を維持できない、と言うロジックから来ているのだろう。だから限界集落どころか限界自治体まで言われ始めた。不思議なのは、ゴミゴミして空気の悪い都会暮らしに不満を述べると「好きで出てきたんだから我慢しろ」と言う論調で返されそうなのに、過疎について「好きでしがみついてるんだから我慢しろ」とはならないこと。先祖代々からの山畑田んぼ大事な土地信仰、地縁主義の根深さを感じる。

 都会化が加速するのが時の流れなら、過疎化が進行するのも時の流れ。自治体が維持できなくなったら、さらなる合併をするとか、いっそ道府県(支庁)直轄にするとか、今の枠組みにとらわれない所轄体制を検討しようと誰も言わないのはなぜか。代々生きてきた地域暮らしをしたことない自分には、解らない。

 2023年1月21日 自宅にて読了
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2023年1月21日 【デジ物】海外コンセントアダプタは継続使用

2023-02-02 20:00:00 | PC&デジ物、ホームページ
 ここのところ、家に籠って読書する一方で海外旅行の計画に費やす時間が多い。3年も出かけていないと、パスポート番号も思い出せない始末。持参するデジタル機器も入れ替わり、周辺機器など一から見直しが必要と思った。先週はタブレット周りを見直したが、今週は電源周りを。

 海外ほとんどの国は日本とコンセント形状および電圧が異なる。最近の充電器は100~220V程度まで対応しており、問題はない。コンセントも新たな規格が増えているわけではなく手持ち品で問題ないと思われるが、以前よりコンパクト或いは何か新機能を持った製品がないか、ネットでサーチした。

 ひたすら軽量コンパクトを目指すのであれば、行く国のコンセント形状を調べ、そこに合った単一形状の変換プラグを用意すれば良い。セット売りになっているものを買い、当該形状だけを抜き取って行くのだ。だが自分に自信がない。確認を怠ったり、間違った形状のものをセレクトしたりしそうで怖い。なので、「これ一つでカバー」のマルチアダプタを使っている。

 そのマルチアダプタ、どうやら手持ち品(写真左・手持ち品とほぼ同等)のサイズが今でも時代遅れでないサイズ感のようだが、今の製品(同右)は同じ筐体にUSBポートが2つ付いて売られている。これがあれば、個別にUSBアダプタを持って行かずに済む。大きな違いか、手持ち品で済ますか。2,000円しない商品だが、手持ち品でしのぐことにした。近年、ホテルによっては日本仕様のコンセントを挿せる構造になっていたり、USB電源ポートがあることすら珍しくない。コンセントアダプタ自体、持参しても使わないケースが増えていたことを考えれば、買い替えは得策ではないと判断したのだった。
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【本】天竺奇譚著・川尻道哉監修 「いちばんわかりやすいインド神話」(実業之日本社)

2023-02-02 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 今年は、2006年以来の3度目のアンコールワット(カンボジア)へ行こうと思っている。アンコールワットは外観からして見事なものだが、その第一回廊のレリーフがまた精巧で素晴らしい。しっかり見ようとすると、どれほど時間がって足りない。そのレリーフのモチーフは単なる模様でなく、ヒンドゥー(ヒンズー)神話なのである。ヒンドゥー神話中の幾多の物語が刻まれているのだが、それが理解できず悔しい思いをした。そのため、今回こそ渡航前にヒンドゥー教の神話についての本を読んでおこうと、とっつきやすく易しそうなタイトルのついた本書にした。

 本書を開くとまず折り込みで主な人物と、相関図がある。カタカナばかりで覚えられそうにないが、シヴァとかガネーシャとか知ってる名前も少しはある。そして、バラモン教からヒンドゥー教へ、そこから派生した仏教などの大まかな流れ。主だった神話。それら登場人物および登場する神話の紹介。主な人物にはイラストも付いており、ああこのヘビ(竜)だらけの人がヴィシュヌか、像の頭のガネーシャは有名だよねなどと少しは理解が進む。見出しとか小見出しとか体裁は解説書と言うより雑誌かムック本のようであり、構えずに読めるのがありがたい。

 アンコールワット第一回廊にあるのはヒンドゥー神話の代表作「ラーマーヤナ」と「マハ-バーラタ」で、これらの概説もあった。でもこれだけだと物足りないかな?それぞれの神話の、詳述でなく平易な本があるか探して読んだ方が、事前対策としては良さそうに思えた。ともあれ、本書は入門書として期待以上の内容だった。

 2023年1月19日 自宅にて読了
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【本】橋本健二著 「階級都市-格差が街を侵食する-」

2023-02-01 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 下町と山の手、東京では耳慣れた地域分けだが、そこに階級が存在すると言う話。単純に海抜高だけの話ではなく、経済格差、学力格差も。本当なのか。統計調査結果から真偽を確認し、そうなるに至るストーリーを解説する。認めたくない人がいるかもしれないが、厳然たる事実。

 読み応えがあったのは最終章、実際に山の手と下町の境界エリアを歩いて見たルポ。歩いたコースの入った地図入りで、現地を知っていればより面白かろう。幾つかのコースのうち、六本木かいわいと「谷根千」かいわいだけが少し解るエリアだった。

 2023年1月18日 自宅にて読了
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【映画】戦場のメリークリスマス 4K修復版

2023-02-01 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 いわゆる「戦メリ」、故大島渚監督の。坂本龍一とデビッドボウイの倒錯的な美しさとか、美しさ対照的なビートたけしとか、話題になったよね。だけど最近、自分の中ではギタリスト・押尾コータローの演奏の方が映画より先に浮かんじゃう。素晴らしいアレンジとギタープレイ、ご存知ない方はこの機会にぜひ検索して聴いて欲しい。

 4K修復版かつ最後の大規模ロードショーとのことで、本作を観に行った。重低音協調型の「LIVE ZOUND」でなく、全域クリアな音を再生する「LIVEサウンド」上映回を選んだ。当時、ちゃんと観たことなかったのだろうか?有名なシーンだけしか覚えていなかったのだろうか?こういうストーリーだったと初めて知った気分。

 舞台は第二次世界大戦中のインドネシア・ジャワ島の俘虜収容所。これでもかと言うほど旧日本軍兵士による俘虜虐待が描かれる。酷いと思うが、きっと実際これくらいのことやっていたのだろうな。戦争でどこまでやって良いとか悪いとか、線引きするなんてナンセンスかもしれないが。そして主だった登場人物はことごとく、遠からず死んでゆく。坂本龍一も、デビッド・ボウイも、たけしも。生き残った者が勝者と誇るシーンはない。ただ闘いの虚しさがつのる、そんな感じ。

 本作、脇を固める日本人出演者(俳優でない方が多い)もけっこうな顔ぶれ。内田裕也、ジョニー大倉、三上寛、室田日出男、内藤剛志…デビッド・ボウイもそうだが、多くの出演者が故人となっている。戦争とともに、遠い記憶になりつつある。本作の公開は、ちょうど40年も前なのだった。

 2023年1月17日 川崎・チネチッタにて


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