【ぼちぼちクライミング&読書】

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「風にもまけず粗茶一服」松村栄子

2011年01月22日 19時54分09秒 | 読書(小説/日本)

「粗茶一服」シリーズ第2弾
続編が出るとは思わなかったので、嬉しい驚き。
前作がとても面白かったけど、続編はどうなんだろう?
心配しながら読み始めたけど、それは杞憂であった。
やはり、「面白さ」「楽しさ」のパワーは落ちていない。

今回驚いたのは伏線、である。
1作目から、この伏線が張ってあったとは!
これは驚いた。
あまり書くと、ネタバレになるので、押さえておく。
ヒントとして、最後の方は、カンナがメインになってくる、と。
この見事な伏線、著者に脱帽、である。

PS
もし、この作品にクレームをつけるとしたら、表紙装丁、である。
これはマズイ、イメージが限定されてしまう。
即、変更してほしい。
前作・文庫本の柴田ゆうさん、松岡史恵さんのコンビにして頂きたい。
誰がこんな表紙を考えたんだ!(怒)

【ネット上の紹介】
小次郎だって武蔵だって、きっとこんなところで人知れず修練したにちがいない。男には、そんな孤独な時間が必要なんだよな。ああ、なんか、今、俺、カッコイイかも。(本文より)ようやく茶の湯に目覚めた友衛遊馬(19歳)が目指したのは、なぜか比叡山延暦寺の一山〈天鏡院〉。お茶嫌いの住職がいるとも知らず、武家茶道家元後嗣の遊馬はその門をくぐるが…。青年茶人が茶の湯に挑む大傑作青春エンターテインメント。

「雨にもまけず粗茶一服」松村栄子

2011年01月22日 19時22分04秒 | 読書(小説/日本)


実は、以前読んだ作品・・・即ち再読、である。
なぜ再読したかと言うと、この続編が出版されたから。
物語に入り込むため、前作を読みかえそう、と思った。
さて、以前読んだとき、この作品を95点、と高評価した。
やはり、読み返して、その気持ちは変わらず。
おもしろい、読んでいて楽しい気分が持続する。
にこにこしながら読みすすんだ。
再読したついでに、再度紹介したくなった。
2008年
12月7日紹介した時の文章を下記に再録する。

よかった!
読んでいる間、ずっと楽しかった。
これほど楽しい気分で読める作品は少ない。
作品レベルも高い、上質だ。
このような作品が埋もれて、あまり話題にもならなかったのが不思議。
(単に私が情報をつかんでないだけ?)
ストーリーは「お茶」の家元の息子が家業を継ぐのがイヤで家出するところから始まる。
ひょんなことから、京都へ行くことに。
ところが、居候先がお茶の先生。
逃げても追いかけてくる「お茶」の世界。
京都変人キャラクター多数出演。
これはオススメ!

いかがでしょうか?
楽しい気分が伝わったでしょうか?
過去様々な青春小説を読んだけど、少なくともベスト3に入る、と思う。
青春「茶道」ストーリーにして、重要なファクター「成長」もしっかり描かれている。
脇をかためるキャラクターも濃くて、楽しめる。

PS
京都が舞台なだけに、京女多数出演。
京女のしゃべりと表現が巧い。
下記に一部紹介する。(上・P205)

「アズマ君、ようやっと自分の立場ゆうもんがわかってきはりましたなぁ。ええことやと思いますわ。そうやねん。うちは、この家のお嬢様やねん。アズマ君は居候や。可哀想に寝るとこもないのんを、うちのお父ちゃんに拾われてん。そこんとこを忘れたらあかんと思うわ。自転車はうちのやし」
この子も最初に会ったときには、頭のネジが一本抜けているではないかと思うくらいおっとりして見えたものだが、地元に帰ってずいぶん印象が変わった。京女油断ならじと遊馬はいささかおののきの体だ。

どうでしょうか?
絶妙な会話表現である。

【参考】
松村英子
松村栄子 - Wikipedia


「出世花」高田郁

2011年01月22日 18時45分29秒 | 読書(小説/日本)


「出世花」高田郁

身寄りのない天涯孤独の少女・お艶が寺に引き取られるところから始まる。
ここで名前を、お艶からお縁と変える。
さらに、お縁から三昧聖・正縁へ。
出世魚、って魚がいる・・・ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ。
お艶も名前を変えながら成長していく。

作品は連作長編の形式をとっており、短編4作品収録されている。
特にその中の2作品はミステリ色の濃い内容となって読み応えがある。
お縁さんは、尼さんにして検屍官、である。
修道女フィデルマにして、ケイ・スカーペッタかジェシカ・コランか、ってなもんだ!
ぜひシリーズ化して欲しい、切に望む。

PS
「銀二貫」「出世花」共に、ニュージーランド往復、機内読書用としてザックに入れた。
だから、ハズレでは困るのである。
間違いなくおもしろい、と確信を持って「荷物」にしたし、それに十分応える内容でもあった。

【ネット上の紹介】
「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶と共に妻敵討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎が寺の住職に遺した言葉である。しかし、源九郎の骸と魂は三昧聖によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。


「銀二貫」高田郁

2011年01月22日 18時23分40秒 | 読書(小説/日本)


「銀二貫」高田郁

『みをつくし料理帖』シリーズで有名な高田郁作品。
ふとした経緯から、父を亡くしたサムライの子を銀二貫で救う。
自分の店に引き取り、商人の子として一から鍛えていく。
高田郁作品らしい人情モノで、読みごたえたっぷり。
ストーリーの予測はつくんだけど、それでも読んでいて楽しい。
寒天作りが縦糸、松吉と真帆の恋が横糸で物語が展開する。
充分満足のいく仕上がりとなっている。

『みをつくし料理帖』シリーズのファンなら、読んでソンはない。
それに、大阪が舞台なので、具体的に場所が分かる。
なじみ深い地名多数出てきて嬉しい。
天神橋や天満橋だけでなく、高槻や芥川とか出てくるし。
期待を裏切らない内容である。

【ネット上の紹介】
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。


「キノベス!2010」

2011年01月22日 17時09分55秒 | 読書(小説/日本)
第1位『いちばんここに似合う人』ミランダ・ジュライ/岸本佐知子・訳第2位『切りとれ、あの祈る手を』佐々木中第3位『シューマンの指』奥泉光
あちこちで、昨年2010年ベスト企画がある。
私も、超個人的ベストを選びたいと思っている。
でも、もう少しお待ち下さい。

代わりに、紀伊國屋書店スタッフが選ぶ『キノベス2010』を紹介する。
http://m.kinokuniya.jp/c/abcgaacyr4dhjZab