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「負けるのは美しく」児玉 清

2011年06月25日 22時27分48秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)


「負けるのは美しく」児玉 清

今年2011年5月16日に亡くなられた俳優・児玉清さんの自伝・エッセイ。
映画界、TV界の事情とか分かって面白い。
一部文章紹介する。

思い出してはふっと笑ってしまうのだが、笠智衆さんの楽屋での話だ。単発のテレビドラマでご一緒させていただいたときのことなのだが、何かのつながりで戦争の話になり、兵隊として出征していた笠さんが終戦を迎え、漸くわが家へ帰還したとき、いつ帰るとも知らずに洗濯物を干してらっしゃる奥さんの後ろ姿を見て、思わず愛しさに後ろから抱きついてしまったというお話であった。あの、笠さん独特のエロキューションで、訥々と「思わず、後ろから抱きついてしまいました」と仰った言葉は今も折にふれ思い出される。(P90-191)

さて、遺稿となった文章が、『文藝春秋』特集「「われらは何をなすべきか」、である。
次に紹介する。(以下、ウィキペディアより)

内容は「この国の危機管理のお粗末さに日々唖然」から始まり、「決死で頑張るとか精神論を披歴するだけ、まるで昔の旧軍人総理となんら変わらない幼稚さ」であると菅直人首相の震災への対応について酷評。さらに東京電力による福島第一原子力発電所事故に対する対応についても「日本は完全に幼稚化した人間たちがリーダーシップを握っていることを露呈」などと綴ったものであった。

【ネット上の紹介】
就職活動の一環としてなりゆきで受けた東宝映画のニューフェイス試験で、遅刻した上に水着を忘れ、パンツ姿で面接したが見事合格したこと。生来の天邪鬼が顔を出し、天下の黒澤明監督にたてついてしまった新人のころ。大スター三船敏郎をはじめとする数々の名優との思い出。運命の出会いと結婚、そして36歳という若さで逝った最愛の娘。読む人の心を静かにそっと揺さぶる感動のエッセイ。