「夫の彼女 」垣谷美雨
極限状態を設定して、その行動・心理を描いた作品が好き。
この作品もそれに当てはまる。
夫の愛人と、妻が入れかわる、って設定。(これはツボだ!)
展開や落としどころも、読む前から分かる。
それでも読むのは、こういった作品が好きだから。(演出も楽しみたいし)
果たして予想どおりだったけど、充分楽しめた。(満足、満足)
さて、「入れかわる」、って作品はいくつかある。
古典では、「王子と乞食」(マーク・トウェイン)、「ゼンダ城の虜」(アンソニー・ホープ)。
日本では、「とりかえばや物語」と、それをリメイクした「ざ・ちぇんじ」(氷室冴子)。
「おれがあいつであいつがおれで」(山中恒)(映画「転校生」の原作)小学6年生の男の子と、転校生の女の子が入れかわる話。
「秘密」(東野圭吾)妻と娘を乗せたバスが転落。娘だけが助かった、と思ったら、その身体に宿っていたのは妻だった、って話。
「パパとムスメの7日間」(五十嵐貴久)タイトルどおり、父と娘が入れ替わる話。
ハリウッド映画では「フォーチュン・クッキー」母と娘が入れ替わる話。
なお、似たタイトルで「クッキー・フォーチュン」があるが、こちらはロバート・アルトマン監督の群像劇。(秀作)
PS
他の、垣谷美雨作品では「リセット」がおもしろい。
過去に戻ってやりなおしが出来たら、って設定。
名作「リプレイ」のバリエーションだけど、楽しめる。
【ネット上の紹介】
夫(42)の浮気を疑った妻(39)が、相手の女性(20)に会いに行く。言い争っていると、突然現れた老婆が、物事は相手の立場になって考えることが大切、と言い、ふたりを入れ替えてしまう。確かに相手の立場にはなったけれど、この先、どうやって生きていけばいいの!?書き下ろし長編if小説。