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「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

2013年06月13日 23時11分55秒 | 読書(小説/海外)


「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

 これはレベルが高い。
それもそのはず、「文春ミステリ」海外部門1位作品。
オリジナルタイトルが「The Lock Artist」。
勘違いしてはいけない、「Rock Artist」ではない!(クライマーは出てこない)
Lock、即ち「錠」のこと。

この作品のすごいところは、ミステリと同時に、すぐれた青春小説であること。
解説を読むと、「本書は、ヤングアダルト世代に読ませたい一般書に与えられる、全米図書館協会のアレックス賞も2010年に受賞している」、と。
主人公の少年は、幼少時の「ある事件」から声を失う。
けれど、彼には2つの才能があった。
絵を描く才能、そしてどんな錠も開く才能。
孤独な少年だが、ふとしたきっかけから、犯罪を犯してしまう。
どんどん深みにはまっていく。
この作品が救われているのは、少女アメリアの存在。

良くできていて、完成度が高い。
ミステリファンじゃなくても楽しめる、と思う。
過去と未来が交錯しながら物語が進む。
そして最期に「錠」が開く。(みごと!)

【ネット上の紹介】
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。