「糸を手繰れば 結び屋おえん」志川節子
味わい深い作品だ。
とても良かった。
不貞を疑われ、大店の妻の座を追われたおえん。
実家も、おえんの話を聞こうとしない。
1人、長屋に住むことになる。
長屋の人々とおえんの生活が描かれる。
生活のために針仕事を始める。
さらに、たまたま縁談をまとめたことから、仲人に目覚める。
P61
おえんの戸口に掛けられている木札
――ご縁とりもち承ります 結びやおえん――
これで、生活が成り立つのか?
不思議と、ぽつぽつと仲立ちを頼まれることに。
一方、離縁した旦那が復縁を迫ってくる。
子どものこともあり、悩むおえん。
P266
お針の師匠・鈴代のセリフ
「一緒にいる理由をさがすようになったら、男と女は汐どきじゃないのかねえ。まあ、わたしにゃ夫婦のことはわからないけど」
P281
「夫婦は、しょせん、他人なんです。相手を信じる心だけが、命綱の・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「いっぺんでもぷっつり切れたら、命綱は、もう、使い物にならない・・・・・・」
さて、どうなるか?
自分で読んでみて。
【蛇足】
欲を言えば、もう少しキャラ立ち、させて欲しい。
【ネット上の紹介】
結び屋、それは人のご縁を繋ぐ業。無実の罪を着せられ、大店の妻の座を追われたおえん。悲しみの中で過ごすうち、ひょんなことから魚河岸の女仲買いと商家の若旦那の縁談を取り持つことに。でも商家の奥には、手ごわい姑が構えていて…。悲しみと幸せが降り積もる連作時代小説。