「春はそこまで 風待ち小路の人々」志川節子
先日、「糸を手繰れば」を読んだ。→「糸を手繰れば 結び屋おえん」志川節子
良かったので、他の作品も読んでみようか、と。
結果から言うと、こちらの方が面白かった。
江戸の市井の人々を描いている。
タイトルにあるとおり、「風待ち小路の人々」である。
「糸を手繰れば」同様、大きな事件もなく、江戸の人たちが情感深く描かれている、と思っていた。
ところが、残り3章から急展開。
これには驚いた。
具体的には、「しぐれ比丘尼」から趣向が変化してくる。
「あじさいの咲く頃に」は「しぐれ比丘尼」の裏面史というか、裏バージョン。
「風が吹いたら」は、怒濤の展開。
この著者は、こんなことも出来たんですね。
嬉しい驚きだ。
【ネット上の紹介】
絵草紙屋、生薬屋、洗濯屋…。「風待ち小路」には、小さな店が肩を寄せ合うように集まっていた。芝神明宮の門前町でくり広げられる人間模様、親子の絆、そして許されぬ恋。これぞ時代小説の醍醐味。