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「狂乱~剣客商売」(8)池波正太郎

2016年07月06日 20時07分21秒 | 読書(歴史/時代)


「狂乱~剣客商売」(8)池波正太郎

8巻目を読んだ。

P59-60
「わしだって、この年齢になって、まだ、女のことはちっともわからぬのさ」
「へへえ……?」
「うちのおはるのような女でも、ときどき、こいつ、肚の中で何を考えているのかと、おもうことがあるわえ」
「やっぱり……?」
「お前だって、女房のことをそうおもわぬか?」
「おもいますとも、おもいますとも」
「女の嘘は男の嘘と、まったっくちがうものらしいのう」
「嘘を嘘ともおもわないのでございますからね」
「そのことよ。だから、女の嘘は、女の本音なのじゃ」

【ネット上の紹介】
足軽という身分に比して強すぎる腕前を持ったがために、うとまれ、踏みにじられ、孤独においこまれた男。秋山小兵衛はその胸中を思いやり声をかけてやろうとするのだが、一足遅く、侍は狂暴な血の命ずるまま無益な殺生に走る…表題作「狂乱」。ほかに、冷酷な殺人鬼と、大治郎に受けた恩義を律儀に忘れない二つの顔をもつ男の不気味さを描く「仁三郎の顔」など、シリーズ第8弾。