「小袖の陰~御広敷用人大奥記録」上田秀人
シリーズ3作目。
P150-151
「御広敷用人水城聡四郎、お目通りを願っておりまする」
吉宗の応答を受けて、加納近江守が告げた。
「聡四郎がか、許す」
「これに控えておりまする」
一間離れただけで、吉宗の目にも当然聡四郎は映っている。だが、このくだりは前提としておこなわなければならなかった。
「近くにこい」
手招きを吉宗がした。
「ごめんを」
一度平伏してから、聡四郎は膝でするようにして腰を二度ほど振った。
「近う」
もう一度吉宗が呼んだ。
「はっ」
聡四郎が動かず、同じ形をした。
「参れ」
三度言われて、ようやく聡四郎は上段の間と下段の間の境に進んだ。この無駄なやりとりには、ご威光に圧され、近づけませんという臣下の恐縮が含まれており、貴人の前ではかならずこうしないとならなかた。
【ネット上の紹介】
将軍・吉宗による登用で御広敷用人となった水城聡四郎。しかし、具体的な担当はなく無任所のままだった。そこへ吉宗から直々の命が下り、竹姫付きとなる。竹姫には京都から新たなお付きの女中がくるが、その女中が大奥の火種となる―。一方、伊賀者を敵に回した聡四郎を新たな刺客がつけ狙う。聡四郎に最大の危機が。
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