「あきない世傳金と銀」(2)高田郁
シリーズ2作目。
14歳から17歳にかけてのヒロインの成長が描かれる。
今後の展開のための、重要な1冊。
P20
「お家さんもようご存知の通り、古うから『婿は大名から貰え、嫁は灰小屋から貰え』いう諺もおます」
裕福な家付き娘にとって、婿取りは家の格を上げるためのもの。婿は飾り物で良い代わりに、大名並みの家から迎える必要がある。だが、嫁はそうではない。
P166
近江商人の信条である「三方よし」は、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の商法として知られる。
P171
鬱という文字には「物事が盛ん」という意味があり、それが金と結びついた「鬱金」は、非常に縁起の良い染め色として好まれた。さらに豪奢な紅色が合わさって、元禄の頃、紅鬱金は大変な人気だった、とのこと。
【おまけ】
これでやっと、ヒロインが活躍できる準備が整った。
準備に2冊を費やした、と言える。
それくらい身分と女性の壁が大きいのでしょうね。
著者の苦心により、壁が低くなった。
それでも普通ありえない運の良さ、なのかもしれない。
【ネット上の紹介】
学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公・幸。十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で、「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。話題沸騰のシリーズ第二弾!