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「もう親を捨てるしかない」島田裕巳

2016年09月21日 21時02分01秒 | 読書(現代事情)


「もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない」島田裕巳

P39
現実には、親捨てに近いことは行われている。
それが「世帯分離」という方法である。
世帯分離とは、親と子どもが同居していても、それぞれの世帯に分けることである。
これは主に、介護費用や保険料を節約するために行われている、一種の「裏ワザ」である。

P41
果たして子どもは親を自らの力で介護しなければならないものなのだろうか。仕事や生活を犠牲にしてまで、介護を優先させるべきなのだろうか。

P53
ペットや実験用に使われる動物を安楽死させることは、「殺処分」と呼ばれている。要は、人間の安楽死も殺処分と混同されることがあるので、極力安楽死ということばを使わないというのが、今の風潮なのである。
だからこそ、安楽死の代わりに、「尊厳死」という表現が使われることが多い。
(1976設立「日本安楽死協会」→1983「日本尊厳死協会」と改称された)

「親に先立つ不孝」について
P61
「親に先立つ不幸」と間違って書かれることもあるが、それが親にとって不幸であることも事実である。

P88
実は、墓参りという習俗はそれほど昔から行われていたわけではない。案外、その点は認識されていない。
土葬の時代には、遺体は村の共同墓地に葬られ、そこは、時間がたつと棺桶も遺体も腐ってしまうので陥没する。したがって、そこに墓石など建てることはできなかった。こうした墓を、民俗学の世界では「埋め墓」と言う。
(一部の名家には、「参り墓」が設けられたらしい)

【感想】
知識としては得るものがあるが、親捨てを実践できるかというと、実際は困難。
世間、親戚、人情、モラル…複合的な要素が絡まり合い、縛り付ける。
極端な例が、「介護殺人」「親殺し」なんでしょうね。

【ネット上の紹介】
年々、平均寿命が延び続ける超長寿国・日本。だが認知症、寝たきり老人が膨大に存在する今、親の介護は地獄だ。過去17年間で少なくとも672件の介護殺人事件が起き、もはや珍しくもなくなった。事件の背後には、時間、金、手間だけではない、重くのしかかる精神的負担に苦しみ、疲れ果てた無数の人々が存在する。現代において、そもそも子は、この地獄を受け入れるほどの恩を親から受けたと言えるのか?家も家族も完全に弱体化・崩壊し、親がなかなか死なない時代の、本音でラクになる生き方「親捨て」とは?

[目次]

第1章 孝行な子こそ親を殺す
第2章 日本人は長生きしすぎる
第3章 終活はなぜ無駄なのか
第4章 親は捨てるもの
第5章 とっとと死ぬしかない
第6章 もう故郷などどこにもない