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「西の善き魔女」荻原規子

2019年10月09日 08時24分17秒 | 読書(小説/日本)
「西の善き魔女」荻原規子

読み返し3回目。
久しぶりの読み返しで、細部を忘れていた。
「そうだった」と思いながら読み返した。

本書は4回出版されている。
①中央公論社、C・novels fantasia
 本伝5冊+外伝2冊
②中央公論新社のハードカバー版
 本伝3冊+外伝1冊・・・4巻目に書き下ろし外伝「真昼の星迷走」収録。
 イラストが佐竹美保さんで、私が所持しているのはこの版である。
③中公文庫
 本シリーズ初の文庫版、全8巻・・・現在は一部入手困難かも。
 佐竹美保さんが表紙を新たに描かれているのが魅力。
④角川文庫
 現在、入手しようとするならこの版になる。全8巻。
 特に、特別短篇が3篇収録されている。
 何といっても、それが角川文庫版の魅力。
 3巻目「ハイラグリオン王宮のウサギたち」・・・ユーシスとレアンドラの出会い
 4巻目「ガーラント初見参」・・・12歳のユーシス
 7巻目「彼女のユニコーン、彼女の猫」・・・ユーシスとアデイルのその後
特別短篇で一番面白かったのは、「彼女のユニコーン、彼女の猫」。
レアンドラからユーシスとアデイルに招待状が届く。
そこで、ユーシスとアデイルは、クリスバード男爵、ヴィンセント嬢、マリエを伴ってアッシャートンにあるチェバイアット家を訪問する。

P334
「アデイル姫は、いちだんと美しくなられたな。しばらく離れているあいだに、何かあったのかな。そして、姫のご友人はいつのときもレベルが高い。名前を何といったっけ。そうそう、たしか、ヴィンセント嬢・・・・・・」
 ユーシスは一蹴した。
「彼女は、フィリエルと同じくらい不可侵だよ。今にわかる」
「おいおい、つれないな。情報をくれよ」

P369
「わたくし、馬の乗り手がお兄様でなければ、けっしてこんなことをしようと思わない。だからお兄様も、わたくしでなければユニコーンを取りもどせないと、そう信じてくださらなくては。わたくしたち二人にしか、これはできないことなの。あなたを信じているの、何があろうとも」

【おまけ】
本シリーズは、のちのRDGシリーズに通じるものがある。
芯の部分、コンセプトが似ている。舞台はまったく異なるけど。
ヒロインはフィリエルだけど、どちらかと言うと、RDGの泉水子には、アデイルの面影を感じる。「西の善き魔女」でも、性格が複雑で心理的な葛藤が一番あるのがアデイルなので、外伝「銀の鳥プラチナの鳥」が好み。ティガも登場し、ルーンの過去も明らかになってくる展開もすばらしい。

【おまけ】
今後、もし外伝が出るとしたら、アデイルが登場して欲しい。
また、フィリエルとマリエの出会いも読んでみたい。
フィリエルが塔から出て学校に通っていた日々はどうだったんだろう?

【ネット上の紹介】
15歳になったフィリエルは、はじめての舞踏会の日、燦然と輝くダイヤと青い石の首飾りを贈られ、幼なじみの少年ルーンに、それがフィリエルの母の形見であると告げられる。青い石は女王試金石と呼ばれ、王国でもっとも大切な宝石であることが明かされていく。それは自らの出生の秘密とつながっていた―。人里離れた北の高地で育った少女の運命が、大きく動きはじめる。人気ファンタジー作家、荻原規子の新世界の幕が上がる!