「マンチュリアン・リポート」浅田次郎
張作霖爆殺事件がテーマ。
P63-64
支那ではこの千年の間に6つもの王朝が交代し、しかも漢民族の王朝はそのうちたった2つ。宋と明しかないそうです。ほかは契丹族の遼、蒙古族の元、満洲族の金と清です。
P196
北京は経済上の利によって営まれた都ではありません。その起源は北方から侵入した元が、本領の蒙古に近い砂漠のオアシスに築いた砦ですから、政治上軍事上の利点しか見いだせないのです。
P197
欧米列強の植民地政策には、「未開の民を救う」という、甚だキリスト教的な大義名分があります。むろん本音ではありませんが博愛精神の発揮は十分な建前となるのです。しかし「満洲は日本の生命線」と口を滑らせてしまったのでは、「わが国益のために他国を侵略する」と言ったも同然で、今後どのような対満洲政策をとろうが、国際的非難を浴びること必至と思えます。
【ネット上の紹介】
これを読まずして昭和史は語れない! 張作霖はなぜ爆殺されたのか――瞠目の新史観で、闇に葬られた「真相」に迫る! 昭和三年六月四日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは? 該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部開幕。