「実況中継トランプのアメリカ征服」町山智浩
週刊文春連載「言霊USA」単行本化、第五弾。
P58
アメリカは先進国中最も10代の妊娠が多いが、それは圧倒的に南部に偏っている。地方議会を支配するウンターマンのような福音派の共和党議員によって、学校の性教育で避妊方法を教えることが禁じられているからだ。
監督ウォシャウスキー兄弟がウォシャウスキー姉妹になった話
P60
17年前の『マトリックス』公開時は兄弟だったが、まず兄ラリーが性転換してラナに改名し、次に弟アンディもリリーになった。これはちょっと意外だった。兄ラリーはのび太風インテリだったがアンディはまるでジャイアンだったから。
『あまちゃん』のヒロイン能年玲奈が事務所の同意なく独立したことについて
P182
『この世界の片隅に』は日本の民放ではほとんど告知されない。「のん」に対する芸能プロの団体「音事協』の圧力だ。ワイドショーでも、20歳かそこらの女の子が仕事と本当の名前すら奪われていることについて、誰も口にしない。暗黙の了解がメディアを支配している。
ポスト真実について
P196
「アメリカの都市部の暴力犯罪は史上最悪に増えている」実は史上最低に減っている。
「オバマはISの創立者だ」実は…なわけないだろ!
デタラメにもほどがある。ところが、これらの放言にトランプ支持者は熱狂した。真実より大事なのは人々が求めるもの。それがポスト真実だ。
P240-241
個人の大麻吸引や所有、譲渡を犯罪扱いする州は全米でもはやアイダホ、サウスダコタ、カンザス、イリノイ、ケンタッキーの5州だけになってしまった。(中略)
だが、州法ではOKでも、連邦麻薬取締法では大麻は依然としてヘロインやコカインと同じく危険な麻薬に分類されている。だから州法で認可された大麻店を連邦麻薬取締局が摘発する事態も続いている。
ツェッペリンについて
P50-52
たとえば、「ハウ・メニー・モア・タイムズ」はハウリン・ウルフの「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」の。、「胸いっぱいの愛を」はウィリー・ディクソンの「ユー・ニード・ラブ」の、「ブリング・イット・オン・ホーム」はソニー・ボーイ・ウィリアムソンの「ブリング・イット・オン・ホーム」の、ギターリフばかりかメロディも歌詞も、曲名すら伝説のブルースメンたちの丸パクリだったのだ。(中略)
「幻惑されて」は、ジミー君と共演したこともあるアメリカのミュージシャン、ジェイク・ホームズの同名曲ほとんどそのまま。(中略)
「天国への階段」のイントロが、スピリットというグループのインスト曲「トーラス」と同じだったのだ。作曲者ランディ・ウルフは97年に波にさらわれた息子を助けようとして溺死したので、遺族が「天国への階段」発表から43年を経てレッド・ツェッペリンを訴えた。
【関連図書】
第一弾…「教科書に載ってないUSA語録」町山智浩
第二弾…「知ってても偉くないUSA語録」町山智浩
第三弾…「マリファナも銃もバカもOKの国」町山智浩
第四弾…「トランプがローリングストーンズでやってきた」町山智浩
【その他関連図書】
【ネット上の紹介】
悪夢が始まった!狂乱のアメリカを現場からレポート!澤井健のイラストも完全収録。週刊文春連載「言霊USA」単行本化、第五弾!トランプ勝利に熱狂するオルタナ右翼!大統領就任式を襲撃するアナーキスト!8000本ものマリファナを路上でばら撤き!これが自由の国アメリカか…!?