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「小暮写眞館」宮部みゆき

2017年07月22日 09時10分58秒 | 読書(小説/日本)


「小暮写眞館」宮部みゆき

先日読んだ「希望荘」が良かったので、読み残している現代小説、ってことで、本書を選んだ。
やはり、面白い。
凶悪犯罪は起きないが、「名もなき毒」の一歩進んだ姿を提示している。
高校生たちが活躍する青春小説としても楽しめる。
なお、本書は講談社のハードカバー→講談社文庫→今は、新潮文庫で読める。
私は、最初ハードカバーで読んでいたが、途中から講談社文庫・上下2冊に切り替えた。
700ページを超える単行本が重すぎて、保持するのがしんどいから。

P71
高齢者にとっては、毎日が日曜日なのではない。曜日なんか関係なくなるのだ。

P329
「そういう無神経と、積極的な悪意の境界線って、どっかにあるのかな」

【著者の言葉】
P546-547
やっぱり今までね、女性が犯人になるにしろ、女性が被害者になるにしろ……特に、この本の前に書いた『名もなき毒』なんて、非常に家庭は恵まれているのに、自分だけ逸脱していってしまう若い女性を書いたんですけども、結局、彼女は逮捕されるっていう形でしか、ピリオドを打てなかったんですね。でも、この本はそうじゃなくて、そういう危ういところにいる人が、ちゃんと自分で、向こう側にも行かずこっち側に帰って来れる話にしようと。

P547
ロジックとかヒューマニズムとかでは、もう私はエンジンがかからなくなってきたから、他に何があるんだろう、っていう時に、その「親切」っていうキーワードをもらったような気がしました。

【ネット上の紹介】
物語のすべてが詰まった700ページの宝箱著者3年ぶり現代エンターテインメント長編。
――この写真には謎がある。人の本音はときどき、思いがけない形で姿を見せるから。家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊(そのひと)」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。

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