「JK、インドで常識ぶっ壊される」熊谷はるか
父の転勤により、普通の女子高生が、突然インドへ引っ越すことになる。
そこで見たものは、日本の常識とは異なる世界だった。
第16回出版甲子園グランプリ受賞作品。
P39
わたしにとってインドを象徴するといっても過言ではないアイコン的存在「ターバンおじさん」のはずなのに、この国に来てから数日もかからないと出会えなかった。
ようやく生ターバンおじさんに興奮するわたしの横で、親が何の気なしに呟いた。
「そういえば、ターバン巻いてるのってシーク教徒のひとだけなんだってね~」
しーくきょーと?
さらに、そのシーク教徒の信者たちは、インドの全人口の2パーセントにも満たないというのだ。
インターナショナルスクール人間模様
P41
大半はわたし自身と同じようにインドに赴任している親をもつ子どもで、その出身は世界中さまざまだった。なかでも特に韓国人が多かった。生徒母体の三割近くを占める韓国人生徒の多くは、サムスンなど電子系の会社に勤める親を持っていて、IT先進国同士の韓国とインドの結びつきを象徴していた。
一方で、日本人はきわめて少ない。各学年に2、3人程度しかいなかった。そのため、同じ東アジアの顔を持つものとして、韓国人に間違えられることもしばしばあった。こちらとしては、「全然韓国人とは雰囲気ちがうじゃん」と思うし、韓国人たちもわたしが自己紹介する前から「あれはジャパニーズだ」と認識しているみたいで英語でしか話しかけてこない。
P173
四学年の生徒でにぎわう体育館をぶらぶらしていると、同級生に声をかけられた。
「ハルカ!うちのクラブ、入ってよ!いや、入るべきだよ」
(中略)
今回わたしが勧誘された活動内容は、学校外の地元の子どもたちと交流しながら子どもの権利を訴えよう、というもの。いかにも意識高い系だ。
(中略)
そうして、スラムに行くことになった。
【コメント】
高校生にしたら、文章がこなれている。
正直、巧いな、と思う。
でも、星野博美、石井光太作品と比べると、見劣りする。(そりゃそうだ!トップレベルのプロと比べたら可哀想!)
今後、『JK』が取れたタイトルで勝負した時、真価が問われる、と思う。
【参考】
同じインドを舞台にしたレポート。
「南国港町おばちゃん信金」原康子
【ネット上の紹介】
普通の女子高生が、突然インドへ引っ越すことに。豊かな人が車を走らせる横で、1台のバイクに4人乗りする家族。スラムでの出会い。格差社会の光と影を描く女子高生視線のインド滞在記。
第1章 JK、インドへ行く
第2章 JK、インドライフにビビり散らかす
第3章 JK、インドグルメの沼に落ちる
第4章 JK、カオスを泳ぐ
第5章 JK、スラムに行く
終章 JK、インドを去る