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「絵草紙屋万葉堂」シリーズ 篠綾子

2020年03月03日 08時53分45秒 | 読書(歴史/時代)
「絵草紙屋万葉堂」シリーズ 篠綾子

「絵草紙屋万葉堂」を舞台にしたシリーズ。
さつきは絵草紙屋の娘、兄がいる。
父は亡くなり、母も病で臥せっている。
たまたま田沼意次嫡男である田沼意知から大槻玄沢に紹介状を書いてもらい、診てもらうことになる。ヒロインの出生の秘密に絡み、田沼と松平の権力闘争に巻き込まれる。マスコミによる世論操作という重いテーマが、フェイクニュースも含め、エンターテインメントとして巧みに語られる。
全4巻で完結している。次の通り。

1巻目 鉢植えの梅
2巻目 初春の雪
3巻目 揚げ雲雀
4巻目 堅香子の花

5月5日端午の節句、について
P77
「もともと女人のための行事なんだ」
(中略)
「5月は忌むべき月とされていたんだ。それで邪気を払おうと、菖蒲を飾ったり薬玉を贈り合ったりしたんだろうね。特に、女人の身を守ろうというので、菖蒲を葺いた家に女人だけが集まる風習も昔はあったそうだよ」
(中略)
「だからなのか、昔は婚礼も5月は避けたらしい。で、菖蒲の話だけど、『ショウブ』という言葉が、尚武の武を重んじるという意味に通じるので、そこから武家の男子を祝う行事になったんだ」    
 
P241
もののふの八十娘子らが汲みまがふ 寺井の上の堅香子(かたかご)の花
(万葉集にある大伴家持の歌、堅香子の花とは片栗の花のこと、万葉集で堅香子の花を詠んだ歌はこの一首だけだそうだ・・・山に咲く花だからあまり目に触れないのでしょうね。関西だと、ぽんぽん山縦走路に咲いている)


【ネット上の紹介】
母と兄とさつきで営む万葉堂。体調を崩して寝込んだ母・登勢の容体が回復しないのを心配したさつきは、蘭方医に診てもらおうと伝手を探す。ある時、偶然居合わせた若殿と呼ばれる侍が紹介状を書いてくれたおかげで、大槻玄沢に母を診てもらうことができた。その侍は、老中田沼意次嫡男である田沼意知だった。しかし、母は亡くなり、家業立て直しのためにさつきは瓦版の発行を考える。そんな折、意知が殿中で刺殺の報せが入った。殺したのは、さつきにも縁のある人物だった!さつきは、事件の真相に迫れるのか?江戸の“女性記者”を描く、シリーズ第1作!
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