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「「超」世界史・日本史」片山杜秀

2019年07月19日 19時31分42秒 | 読書(歴史/時代)
「「超」世界史・日本史」片山杜秀

大学の歴史の入試問題ってどんなんだろう?
いったいどんな問題が出るの?

例1=十字軍が与えた影響を述べなさい
例2=オランダの世界史における役割について述べなさい
例3=女性参政権が1920年前後に実現した理由を述べなさい
例4=科挙の歴史的変遷を、政治的・社会的・文化的側面に留意して述べよ
例5=清朝が明朝に替わって中国を支配するようになった経緯を説明せよ
例6=清朝はなぜ近代化に失敗したか
例7=中国共産党はなぜ中国を統一できたのか

いかがでしょうか?
これらを解くことで、歴史が見えてくるかも。
(時間制限もある中で、必要語句を配置しながら、簡潔にまとめる必要がある・・・できる?)

P15
商人の力が教会を凌駕しないよう、富の蓄積をいかにして禁じるかが、この時代の神学者の課題でした。中世を代表する神学者トマス・アクィナスは「お金を儲けたら、すぐに使うように。それが神の教えだ」と唱えたほどです。(消費より蓄財の方が罪が重い、と!)

P86
私は若い頃、中国において、儒教と道教という水と油のような思想が、長い間、共存してきたのはなぜなのだろう、と不思議に思いました。ところが、この中原と江南の関係を踏まえるとその理由が見えてきます。つまり、儒教は中原の思想となり、道徳や規律や秩序を重んじることで、何とか勝手気ままな江南を統御しようとしてきた。それに対して、老荘思想から発展した道教は江南の思想となり、江南は常に政治のくびきから離れ、変化する自然にすべてを委ねて、自由奔放で生きていきたいと望んできた。

国共合作について
P146
日本は、とても長持ちしないだろう、国民党も内部分裂するだろう、と思っていました。そう予測していたために、親日的な勢力と結べば中国の一分は容易に安定させられるだろう、と考えてしまった。そのような認識が、近衛の「国民政府を対手とせず」という声明や盧溝橋事件に始まる戦線拡大につながり、国民党から汪兆銘を引きぬいて、中華民国国民政府を作らせることになりました。

P203
南北朝時代には、日本全国、中央から地方まで武士が南朝北朝に分かれ、個人の欲望を解き放って、血で血を洗う醜い争いを繰り広げていました。そんな殺伐とした時代を『太平記』は南朝に忠義を尽くす純真な武士が次々と殉死していく物語として美しく謳い上げました。

P212
しかし、悲しいかな、日本史において、西国的発想は最後に必ず東国に敗北してしまいます。その原因は東国と西国のやる気の差にあるのではないでしょうか。西国にすると、経済的に遅れている東国に進出するメリットはありません。東国は西国に反発しながらも、西国を手中に収めれば、確実に豊かになれる。結局、平家は源氏に負け、豊臣は徳川に負け、そのたびに日本は農業を中心とした社会に回帰しました。

【ネット上の紹介】
受験生だけじゃもったいない!記述式問題は大人のためにある。23の良問にカタヤマ教授が挑戦!
一時間目 世界史(十字軍が与えた影響―慶應義塾大学
宗教改革が「国民」をつくった―慶應義塾大学 ほか)
二時間目 中国史(二つの中心を持つ中国―京都大学
科挙が日本に入っていたら?―京都大学 ほか)
三時間目 日本近代史(天皇機関説と天皇主権説―一橋大学
統帥権の独立とは?―一橋大学 ほか)
四時間目 昭和の戦争(大日本帝国憲法と日本国憲法―一橋大学
一九二〇年代の米国がつくった国際秩序―京都大学 ほか)
五時間目 戦国時代(南北朝内乱が戦国時代の種を播いた―東京大学
日明貿易と倭寇―東京大学 ほか)
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