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「生きづらい明治社会」松沢裕作

2019年07月20日 19時15分28秒 | 読書(歴史/時代)
「生きづらい明治社会」松沢裕作

日本が近代化に向けて歩き出した時代、明治はどんな時代だったのか?
思った以上に面白く、目から鱗の視点で、読んで良かったと思える作品だ。

PⅧ
人は不安だとついついやたらとがんばってしまったりします。(中略)
これは、実は「わな」です。なぜなら世の中は努力すればかならず報われるようにはできていないからです。

P65
新政府が引き継いだのは、おおよそ旧幕府の直轄地からの収入だけです。

P67
政府は、税制を統一する必要に迫られました。
そこで行われた改革が、地租改正です。

P67
明治政府とは、結局のところ、1867年の王政復古と、1871年の廃藩置県という2つのクーデターを成功させ、その賭けに勝った人たちが権力を独占している、そんな政府にすぎません。

P71
人が貧困に陥るのは、その人の努力が足りないからだ、という考え方のことを、日本の歴史学会では「通俗道徳」と呼んでいます。この「通俗道徳」が、近代日本の人びとにとって重大な意味をもっていた、という指摘をおこなったのは、2016年に亡くなった安丸良夫さんという歴史学者です。

【ネット上の紹介】
日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は実はとても厳しい社会でした。景気の急激な変動、出世競争、貧困…。さまざまな困難と向き合いながら、人々はこの時代をどう生きたのでしょうか?不安と競争をキーワードに、明治という社会を読み解きます。
第1章 突然景気が悪くなる―松方デフレと負債農民騒擾
第2章 その日暮らしの人びと―都市下層社会
第3章 貧困者への冷たい視線―恤救規則
第4章 小さな政府と努力する人びと―通俗道徳
第5章 競争する人びと―立身出世
第6章 「家」に働かされる―娼妓・女工・農家の女性
第7章 暴れる若い男性たち―日露戦争後の都市民衆騒擾
おわりに―現代と明治のあいだ
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