【ぼちぼちクライミング&読書】

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「狐筋の一族 武富健治実話作品集」武富健治

2013年06月05日 21時07分57秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「狐筋の一族 武富健治実話作品集」武富健治

武富健治さんと言えば、「鈴木先生」。
その武富健治さんが「実話漫画」を描いた!
オビには次のように書かれている。

もう一つの武富健治解禁!
緻密な現場取材に基づく実話漫画16本収録!
解説コラムも満載!!
この異形世界から目を逸らすな!!

4章に分類されている。
1章・・・怪談
2章・・・都市伝説
3章・・・秘境と因習
4章・・・死と暴力

著者が足を運んで取材しているわけでなく、「原作者」がいる。
その原作者が色々調べて、ネタを提供している。
それでも、演出は武富健治さんに任され、カラーが出ている。
つまり素材の魅力、原作の工夫、演出の面白さが堪能できる。

読み応えがあったのは、「死刑囚と獄中結婚」「連続射殺魔死刑囚の最期」。
いずれも「永山則夫」を扱っている。
この方は獄中で「無知の涙」を著され、『死刑問題』を論じるときに必ず登場する。


【参考リンク】
2013.04.21: 狐筋の一族 武富健治実話作品集

「誰も見たことがない頂へ」DVD

2013年06月04日 22時04分47秒 | クライミング(一般)

今年4/14に、次のような文章を書いた。
4月21日(日)、BS1で(小田桃花さんの)再放送がある。
■「誰も見たことがない頂へ スポーツクライミング小田桃花
興味のある方は観てみて。
(我が家ではBSが映らない・・・どなたかDVDに落として貸して下さい)

すると、ありがたいことに録画された方がDVDを貸してくださった。(感謝!)
以下、感想を書いておく。

上手くなる方には共通点がある。
練習熱心で努力を惜しまない、ということ。
・・・「そんな人いっぱいいるよ」、と返されるかもしれない。

環境も重要。
身近にジムがあり、時間を費やせる状態、サポート体制もあったり。
ライバルが複数いて、切磋琢磨出来る。
自分の身体と精神の問題も大切。
負荷にも耐えられる頑強さと健康。
例え故障しても、克服する精神力。
忍耐力があり、練習を繰り返し、目標に向かって脇目もふらず。
・・・「そういったクライマーも少なくないよ」と言われるかもしない。

世界のトップになる人と、そこそこ上手いクライマーとの違いは何だろう?
身体の大きさ、手足の長さ・・・これはもって生まれたものでしょう。
時代背景・・・これもどうしようもない。
若いときに始める・・・中高年に言っても仕方ない。
同じ練習をしても、到達点は異なる。
それが「才能」の違いなのかもしれない。
(練習方法と栄養管理でも差は出るでしょうね)

以上が、感想である。
ここから脇道にそれる。
このTVには「コーチ」の方が登場した。
この方の「家庭」が気になった。
本来なら、奥さんと共有すべき「時間」「労力」「お金」を、桃花ちゃんに費やしておられる。
「大丈夫なんだろうか?」と心配になった。

旦那クライマーで奥さん非クライマーのカップルの場合、たいてい奥さんが「出来た人」、と思う。
(vice versa)


「なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか」森功

2013年06月01日 11時24分29秒 | 読書(ノンフィクション)


「なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか 見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間」森功

3.11地震、福島県・原発近くの方は避難の際、苦労したことでしょう。
さらに、その中でも病院入院患者さんの避難はどうだったんだろう。
この作品は大宅壮一賞候補となった作品。
受賞こそのがしたが、気になったので読んでみた。
いくつか文章を紹介する。

P82
福島第一原発から4.5キロの双葉病院や系列老健施設のドーヴィル双葉にとって、1号機の水素爆発は、まさしく深刻な状況を生んだ。リアルタイムで間近に聞こえた爆発の音や振動は、想像以上の恐怖だ。現実のものとして、原発の恐怖が目の前に迫ってくる。施設に残った双葉病院グループのスタッフたちの心を大きく揺らした。原発の恐怖は過去築いてきた組織の秩序を破壊し、人間同士のきずなまで引き裂こうとする。

P192
最初の搬送先であるいわき光洋高校の体育館で死亡確認されただけで、14人。それに加え、次の搬送先でも、8人が絶命した。自衛隊による14日午前中の第二陣の救出まで持ち堪えられなかった病院内の死亡4人を含めると、15日までの死者だけで26人にのぼる。
そして地震から数えて5日目、自衛隊が向かった第三次の救出後も、犠牲者は増えつづけた。そこでも24人の死者を出し、実に50人が命を落とす結果になるのである。
いったい原因は、どこにあるのか――。

P243
取材を重ねるうち、双葉病院の救出が遅れた原因の一つに、災害対策本部が、吸いあげられた情報の整理を怠ったからではないか、という疑念が湧いてきた。
むろん、輸送支援隊長の乗り逃げ事件などを含め、救出遅れの理由は一つではないに相違ない。ただ、情報の扱いをぞんざいにした結果、自衛隊や警察に的確な指示をできなかったように思えてならない。

P246
恐怖のあまり、ときに人は保身に走り、利己的にもなった。それもまた、現実である。生きてきた背景というと大袈裟かもしれないが、人はそれぞれ背負っているものがある。仕事や家庭、生活設計や趣味、娯楽にいたるまで、人生観が異なる。それゆえ仮に他人からは保身に走ったようにみえても、それを責めることはできない。
しかし、人間の我欲や保身は、往々にして他の犠牲のうえになりたっている。とすれば、せめて自己を振り返り、そのことを自覚しなけっればならないのではないだろうか。
震災は日本全体に大きな光と影を落とした。まさしくその光と影を見つめ直す必要があるように思えてならない。

【ネット上の紹介】
福島第一原発から4.5キロ地点にある老人病院で、何が起こったのか。患者を置き去り死させたと報じられた「双葉病院」の168時間。
[要旨]
行政と自衛隊は老人50人の命を奪った!現れない救援車両、真っ暗闇の院内、病院の車で逃げた自衛隊員―その中で孤軍奮闘する医師たちが着せられた汚名。放射能がとびかう中での「報道の暴力」。
[目次]
第1章 発生―三月十一日修羅場と化した医療現場;第2章 迷走―三月十二日バス「災害避難」の現実;第3章 孤立―三月十二日医師たちの覚悟;第4章 空白―三月十三日病院の中と外で;第5章 裏切り―三月十四日自衛隊救出の実態;第6章 苦悩―三月十五日「置き去り」誤報の真実;第7章 落命―三月十六日救出後の悲劇;第8章 誤報―三月十七日なぜ事実はねじ曲げられたか