
「おれのおばさん」佐川光晴
主人公は東京の名門中学に通っている優等生・陽介。
父が愛人に貢ぐため会社の金を横領し、逮捕される。
家庭は崩壊し、陽介は北海道にある母の妹が運営する養護施設に預けられる。
(これがタイトルの「おばさん」である)
このおばさんがユニークな方で、北大医学部に入りながら、演劇をするために退学した過去がある。
環境の変化に戸惑いながらもたくましく順応していく。
そんな陽介と仲間達の成長を描いた物語。
第26回坪田譲治文学賞受賞作。
とても面白かった。
名門中学に通っていたので、転校先で7科目のテスト全てで満点を取る。
それまでトップの座を維持していた少年に反感を持たれて対立する。
そのあたりからどんどん面白くなる。
著者は児童養護施設や行政についてよく調べている。
とてもリアリティがあり、物語に奥行きが出ている。
(主人公が優等生過ぎるのが気になるけど)
なおこの作品はシリーズ化されていて、全部で3冊出版されている。(2013.10月現在)
おいおい読んでいこうと思う。
【ネット上の紹介】
ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴〓(ぼう)舎に入ることになる。急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。第26回坪田譲治文学賞受賞作。