【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「生かされて生きて」与那覇百子

2016年09月13日 20時42分47秒 | 読書(沖縄・八重山)


「生かされて生きて 元ひめゆり学徒隊“いのちの語り部”」与那覇百子

著者はひめゆり学徒隊の生き残り。
沖縄戦の生き証人である。

P35-36
「女学生さん、痛いよ、痛いよ」
 大きな体をした兵隊さんが、子供のように痛がっています。
「どうしたんですか?」
「包帯を解いて傷口を見てくれ。痛くてたまらないんだ」
 看護婦の資格を持っていない私たちは、勝手に包帯を解いたり巻き直したりしてはいけないと言われていましたが、軍医さんも看護婦さんもいないので、仕方ありません。言われるまま、血膿の付いた包帯を外しました。すると、血まみれの傷口に小さな白いものが、爪楊枝の束を上から見たようにびっしり埋まって、もぞもぞ動いているではありませんか。
「兵隊さん、これ何ですか?」
「うじ虫だよ。女学生さん、取ってくれ」

P37
艦砲射撃がやんでいる時間帯は、壕のなかはとても静かです。そんなとき、ギィギィと形容しがたい音があちこちから聞こえてきます。最初は何の音か分からなかったのですが、それは、うじ虫が肉を噛む音でした。

P178
動員されたひめゆり学徒隊
240人(生徒222人、教師18人)
生存者
104人(生徒99人、教師5人)

【経緯】
最初、「ひめゆりたちの沖縄戦」を読もうと思ったら絶版で、入手不可能。
図書館にもなかった。
そこで、原作を読むことにした。
それが、本書である。

【ネット上の紹介】
太平洋戦争末期の昭和二十年三月から六月にかけて、沖縄で繰り広げられた地上戦。沖縄師範学校女子部と沖縄第一高等女学校の生徒たち二百二十二人で構成された「ひめゆり学徒隊」は、負傷兵の看護要員として最前線に動員された。その一人である著者は、多くの仲間の死に直面する中で、自らも死を覚悟する。戦火をくぐり抜け奇跡的に生き残った著者が、時代を超えて語り伝える祈りといのちのメッセージ。
[目次]
第1章 忍び寄る戦火第
2章 南風原陸軍病院
第3章 仲間の悲劇
第4章 父との再会
第5章 南部への撤退
第6章 解散命令
第7章 自決か捕虜か
第8章 朝日を浴びて
第9章 収容所生活
第10章 鎮魂


「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」堀川惠子

2016年09月12日 21時15分21秒 | 読書(昭和史/平成史)


「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」堀川惠子

平和公園の一角に原爆供養塔がある。
名前の分からない遺骨、引き取り手のない遺骨が祀られている。
そこに通い続ける女性がいた。
佐伯敏子さんである。
著者は、その生涯を追い、その意志を引き継ぐ。

P161
「平和公園に行ったら、必ず佐伯敏子さんに会えますよ」
 実のところ、雨の日も雪の日も、敏子はそこにいた。

P164
 敏子は、どこの被爆団体にも、政治的な組織にも関与せず、距離を保った。その一匹狼ぶりに、「佐伯さんはつきあいが悪い」などとよく言われたが、地元で起こりがちな被爆者同士の争いや、ヒロシマを舞台に繰り広げられた思想的対立の場にも無縁で過ごした。

佐伯敏子さんの言葉
P175
今じゃ、みんな広島の中心は原爆慰霊碑じゃと思うとる。そりゃあ無いよりはましじゃけど、本当は遺骨がある場所が広島の中心よね。みんなあそこを平和公園というけれど、本当は平和な場所なんかじゃないんよ。静かでのどかな場所に見えるけど、供養塔の地下室は、あの日のまんま。安らかに眠れというけれど、安らかになんか眠りようがないんよ。

とても、よかった。
今年度(個人的)ベスト、と思う。
読んでいて鳥肌が立った。
第47回(2016年)大宅壮一ノンフィクション賞。
第15回(2015年)早稲田大学ジャーナリズム大賞。

【誤植】
誤植を見つけた。
P289
(誤)ミツコさんら三人は脱出から七日後、ようやくラングーンに到着した。
 ↓
(正)ミツコさんら三人は脱出から七日後、ようやくモールメンに到着した。
前後の文脈から考えて、ラングーン(ヤンゴン)はおかしい。
校正者も見逃したのだろう。

【参考リンク】
『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』堀川惠子 | 単行本 - 文藝春秋 ... 

「はじめて明かされる、死者たちのヒロシマの物語」インタビュー・対談(本の話WEB 2015.05.31)

【資料】1

【資料】2

【資料】3



【ネット上の紹介】
広島の平和記念公園にある原爆供養塔には、七万人もの被爆者の遺骨がひっそりとまつられている。戦前、この一帯には市内有数の繁華街が広がっていた。ここで長年にわたって遺骨を守り、遺族探しを続けてきた「ヒロシマの大母さん」と呼ばれる女性がいた。彼女が病に倒れた後、著者はある決意をする―。氏名や住所がわかっていながらなぜ無縁仏とされたのか?はじめて明かされる、もうひとつのヒロシマの物語。本格ノンフィクション!
[目次]
第1章 慰霊の場
第2章 佐伯敏子の足跡
第3章 運命の日
第4章 原爆供養塔とともに
第5章 残された遺骨
第6章 納骨名簿の謎
第7章 二つの名前
第8章 生きていた“死者”
第9章 魂は故郷に


「広島第二県女二年西組」地図

2016年09月12日 21時13分49秒 | 読書(昭和史/平成史)

「広島第二県女二年西組」地図
「原爆供養塔」の登場人物が重なる。
改めて、その箇所を読み直した。

【参考リンク】
「広島第二県女二年西組」関千枝子 


みんぱく

2016年09月11日 18時54分11秒 | お出かけ

みんぱく(国立民族学博物館)に行ってきた。
毎回感じるのだが、圧倒される。
情報処理許容量を超え、フリーズする。







「健康で文化的な最低限度の生活」(4)柏木ハルコ

2016年09月10日 10時14分09秒 | 読書(マンガ/アニメ)

ビッグコミックススピリッツ<br> 健康で文化的な最低限度の生活 〈4〉 
「健康で文化的な最低限度の生活」(4)柏木ハルコ

シリーズ4冊目。

「残念ながらいるの!子にとっては毒にしかならない親ってのが」

生活保護法第十条
保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。

誤植を見つけた(表紙裏↑)
(誤)個人を単位として定めることできる。
 ↓
(正)個人を単位として定めることができる。

【ネット上の紹介】
家族とは何か?大反響【扶養照会編】収録! 福祉事務所に配属された新人公務員・義経えみるは、【生活保護】に関わるケースワーカーとして日々、奮闘中。現在、住所不定でうつ病を患っているという 26歳の男性・島岡光さんの担当となったえみる。生活保護の受給のための調査を進めるえみるだが、申請の際に行われる、親族に援助可能かを 確認する【扶養照会】を頑なに拒む島岡さん。しかし父親が医師で高収入と分かり、上司からの指示で 父親にえみるが連絡をとったことから、事態は急変し… 島岡さんと父親との“衝撃の過去”が明らかに…!! 親子とは? 家族とは? 大反響を呼んだ【扶養照会編】の結末を見届けよ。


今年はビール

2016年09月09日 20時20分11秒 | 身辺雑記


先日、暑い夏をキウイで乗り切っている、と書いた。
もうひとつ忘れていた。
酒、である。

いつもの夏は、ビールを飲まない。
普段、ブランデーかウイスキーなので、ビールは頼りなく感じる。
それでも、飲むのは冷えた水分が喉に心地よいから。
それだけ、今年が暑かったから、でしょう。

PS
酒は家で飲んでいる。
事情により、夜は外出困難なので。 
いつか外泊可能になったら、アルプスに行きたいものだ。
(増えるのはプランとストレスばかりなり)

PS2
梅酒をブランデーで割るとうまい。
ウイスキーをビールで割ってもよい。


「相方は、統合失調症」 松本キック/ハウス加賀谷

2016年09月08日 20時05分55秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「相方は、統合失調症」 松本キック/ハウス加賀谷

ハウス加賀谷が統合失調症となり、漫才を10年休業。
復活への経緯が描かれている。
漫才はコミュニケーション最上位の能力を必要とする。
微妙な言葉のニュアンスと間合い、それが病気によって崩れる。
これで復活できるのか?
相方の松本キック氏が絶妙な対応をしている。
他の相方だったら復活出来なかったかもしれない。

P125
 復帰直後の加賀谷は、統合失調症の陰性症状にも悩まされていた。
 感情表現が平坦になっていることに加え、疲れやすく、集中力も持続できなかった。認知機能にも障害があり、記憶力の低下も著しかった。台本を覚える作業が、加賀谷にとっては高いハードルになっていた。

P130
『僕はダメだ……』
 左目をつぶり首をかしげる。自分を責めるあまり、舞台に立っていることも忘れ、うつむき暗然としていた。

P237
落としたものは、拾えばいい。
見つからないものもあるかもしれない。見つかっても、壊れてしまっていたり、汚れていたりすることもあるだろう。でも、
壊れたら、直せばいい。
汚れたら、拭けばいい。
何もなかったら、何もないでいい。
もう一度始めればいい。
もう一度、だ。

【ネット上の紹介】
絶対に、絶対に、僕は芸人に戻るんだ。10年ぶりの復活ライブは大きな笑いに包まれ、松本ハウスの時計は再び動き始めた。しかし、かつてできたことができない自分を加賀谷は責め、そんな相方をなんとかしようと松本は焦り、コンビはぎくしゃくしていく。苦しんで悩んで、焦って涙した6年で辿り着いた答えとは―。
[目次]
復活まで(勉強なんてしたくない“SOS”
僕が、臭いから“幻聴”
僕はいったいなんなんだろう“受診”
好きなことをして生きていこう“グループホーム”
自分を殺してやるよ“松本ハウス誕生” ほか)
復活から(お久しぶりです!かがやで~す!“復活ライブ”
やっぱ加賀谷さん、天才ですよ!“打ち上げ”
僕には芸人しかない“翌日”
頑張ります!“反省会”
辞めさせられるかもしれないです“ゲスト出演” ほか) 

 


「魂の退社 会社を辞めるということ。」稲垣えみ子

2016年09月07日 19時48分59秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「魂の退社 会社を辞めるということ。」稲垣えみ子

元・朝日新聞論説委員。
私はこの方の書いた記事を覚えている。
署名・顔写真入り記事だったので、社内の評価も高かったのであろう。
しばらく記事を見ないな、と思っていたら退社していたとは!
本書では、50歳で退社に至った心情と現状が書かれている。

P8
もしや幸せとは努力したその先にあるのではなくて、意外とそのへんにただ転がっているものなんじゃないか?
 そう思ったら、会社を辞めるって、意外にそれほど怖いことじゃないんじゃないかと思えてきたのである。

P17
お金のためでなく、人とつながるために働くということがあってもいいのではないだろうか

P116
 会社を辞めることは、それ自体いいも悪いもありません。辞めない方がいいこともあるし、辞めた方がいいこともある。どんな状況下であれ、それを決めるのは自分です。その決断に自分が納得できるかどうかが大事なのだと思います。

P140
阿倍首相は「チャレンジできる社会」などと言っておられるが、制度としては、一つの会社にずーっと勤め続けしがみつくほど税金を払わなくていい仕組みになっているのだ。

P210
「つながり」がこれからの社会のキーワードだと言う人がいるし、私もそう思うけど、つながるためにはまず一人になることが必要なんだ。

ところで、著者は東日本大震災・原発事故を機に節電生活に入る。
もともと2000円程度の電気代をさらに半分にしようとした。
その後、掃除機、洗濯機、冷蔵庫を処分。
50歳で朝日新聞を退職後は高級マンションからワンルームに転居している。
なかなか、出来ることじゃない。
(ちなみに我が家の8月電気代6773円…エアコンせずに寝るのはムリ)

【おまけ】
私事で恐縮だが、私も2回退社して現在3つめの会社に勤めている。
理由は異なるが、感じることは近いように思う。

【参考リンク】
稲垣えみ子

【ネット上の紹介】
テレビ、ラジオで大反響!アフロでおなじみの元朝日新聞編集委員・初の書き下ろし!
[目次]
アフロにしたことと会社を辞めたことは関係ありますか
プロローグ 会社を辞めるということ
その1 それは安易な発言から始まった
その2 「飛ばされる」という財産
その3 「真っ白な灰」になったら卒業
その4 日本ってば「会社社会」だった!
その5 ブラック社員が作るニッポン
その6 そして今
エピローグ 無職とモテについて考察する
【著者紹介】
1965年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社入社。大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめ、2016年1月退社(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


「星間ブリッジ」(1) きゅっきゅぽん

2016年09月06日 20時16分43秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「星間ブリッジ」(1) きゅっきゅぽん

1936年の上海から物語が始まる。
もう、それだけで読みたくなった。
本屋に行って、即購入。
予想通りの面白さであった。
この後、日本と支那の対立は深まるが、物語はどうなっていくのだろう?
とんでもない大作になるかもしれない。






【参考リンク】
立ち読み

【おまけ】
読んでいて、時代も場所も異なるが、ヤマザキマリさんの「ルミとマヤとその周辺」を思い出した。


【ネット上の紹介】
鬼才が描く上海と戦争。日中戦争時の“魔都”上海を舞台に 日本人少女と中国人少年が絆を紡ぐ ビルドゥングスロマン開幕!
 


「家族という病 」下重暁子

2016年09月05日 21時16分14秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「家族という病 」下重暁子

話題の作品を読んだ。

P51
たとえ家族だったことがあるにしても、人はつれ合った配偶者のことをほんとうに理解することはない。死という形で終止符が打たれてはじめてそのことに気がつき、もっと話をすればよかったとか、聞いておけばよかったと後悔する。

P55
ある女優さんから聞いた話だが、知人のパーティで、男性から声をかけられた。
「やあ、元気ですか」
 どうしても思い出せなかったという。よく知っている人のはずだが、いったい誰だったのか。
 家に帰りついてから突然思い出した。かつて数年間結婚していた相手だったのだ。

P110
「一番家族がわかり合える、話が出来るのは、親に介護が必要になった時ではないか。家族はいやおうなく向かい合い、お互いを理解するために話を始めるのではないか」

【ネット上の紹介】
日本人の多くが「一家団欒」という言葉にあこがれ、そうあらねばならないという呪縛にとらわれている。しかし、そもそも「家族」とは、それほどすばらしいものなのか。実際には、家族がらみの事件やトラブルを挙げればキリがない。それなのになぜ、日本で「家族」は美化されるのか。一方で、「家族」という幻想に取り憑かれ、口を開けば家族の話しかしない人もいる。そんな人達を著者は「家族のことしか話題がない人はつまらない」「家族写真入りの年賀状は幸せの押し売り」と一刀両断。家族の実態をえぐりつつ、「家族とは何か」を提起する一冊。

[目次]
序章 ほんとうはみな家族のことを知らない(家族とは何なのか
なぜ私は家族を避けてきたのか)
第1章 家族は、むずかしい(家族を盲信する日本人
なぜ事件は家族の間で起きるのか ほか)
第2章 家族という病(家族のことしか話題がない人はつまらない
家族の話はしょせん自慢か愚痴 ほか)
第3章 家族を知る(介護で親子は互いを理解する
親は要介護になってはじめて弱い姿をわが子に見せられる ほか)
第4章 旅立った家族に手紙を書くということ(家族を知ることは自分を知ること
父への手紙―冬の雷 ほか) 


なぜ不倫をするのか?

2016年09月04日 20時17分15秒 | 読書(現代事情)

昨日、「離婚」についての記事を紹介した。
本日、「不倫」についての記事を紹介する。(順序が逆?)

「結婚しなければ不倫もない」と指摘したのは上野千鶴子さん。
上野さんいわく、結婚とは「自分の身体の性的使用権を、生涯にわたってただ一人の異性に譲渡する契約」

なぜ不倫をするのか。「結婚は家庭をつくることで、恋愛を続けることではないから」。亀山さんは不倫に賛成も反対もしない。現実にそこにあるのだ。

朝日新聞、2016.8.30夕刊記事…亀山早苗さんは1000人以上の不倫体験の取材をしたそうだ)
最も多かったのは、40~50代の主婦の不倫だ。更年期を迎え、女としての焦りや孤独をつのらせる。
(私はてっきり、20~30代の女性の不倫が多い、と思っていた)


距離の問題

2016年09月03日 18時55分06秒 | 読書(現代事情)

離婚専門カウンセラー・岡野あつこさん、受けた相談3万件超。
さすがに的確なアドバイスをされている。

話し合う途中で意見が違うのは当たり前だけど、一度決めたことを、後からひっくり返しちゃうのは、決裂につながります。
 円満に過ごすポイントは、ほどよい距離感でしょうね。100点を求めない。できないことを責めるのではなく、できたことを褒めてあげる。(ほとんど小さな子に対するような態度だ…byたきやん)

朝日新聞、2016.9.3夕刊記事


期待されるパートナー像

2016年09月03日 18時55分00秒 | クライミング(一般)

昔、私がクライミングについて書いた、【期待されるパートナー像】を、おまけで再録しておく。

【期待されるパートナー像】

(1)【人間関係の『距離』について】
 人間関係の距離は、よく『車間距離』に例えられる。
 車間距離の近い人、遠い人・・・様々である。
 性格や、趣味・嗜好が多少違っても、『車間距離』が同じだと、居心地がよい。
 パートナーに適している、と言える。

(2)【『三位一体の法則』について】
 また、『モチ』・『金銭感覚』・『家が近い』3つが揃うと、(さらに)長続きする。
  A【モチ】→精神性(やる気が同じ。朝早くから暗くなるまでトライするか、適当に切りあげるか・・・運命の別れ道)
  B【金銭感覚】→経済性(同等の経済力。高速を使うか、下道か?テントにするか、バンガローか?・・・かなり重要)
  C【家の距離】→物理性(やはり『遠距離クライミング』はしんどいでしょう。集合・解散がラクだと時間に余裕が出る)
 この【三位一体の法則】に合致すれば、『お泊まりクライミング』も可能と言える。

(3)【『クライミング係数』について】
 さらに、『クライミング』にどれだけ、『お金』と『時間』をかけることができるか?
 生活における『クライミング』の占める割合である。
 【エンゲル係数】ならぬ、【クライミング係数】である。
 これが同じだと、海外遠征の道も見えてくる。


「家康、江戸を建てる」門井慶喜

2016年09月02日 22時03分31秒 | 読書(歴史/時代)


「家康、江戸を建てる」門井慶喜

家康は江戸をどう作ったのか?
小説の形で紹介した作品。

P19
「つまり、どうなのだ」
 話をうながすと、伊奈忠次は、このときばかりは明瞭に、
「川そのものを、まげまする。江戸に流れ込む前に」

P112
「値さがりが見えている通貨など、誰が持ちたがりましょう。たとえ太閤様に手ずから拝領したものであっても、なるべく早くこっそり両替商へもちこんで武蔵小判に替えてしまう、そういう動きに出るはずです。(後略)」

P175
 ここにおいて、日本の通貨史はまったく新しい発展段階に入った。取引のたびに天秤や分銅をひっぱり出して金銀の重さを量るような秤量貨幣から、枚数をかぞえるだけで正確に額を共有できる、いわゆる計数貨幣の世になった。

P186(七井の池=のちの井の頭)
「七井の池か」
「こいつを最初にみつけたんは、かの源頼朝公さ」

P343
(年寄りは、議論では若者に勝てんの)
 反射神経がおとろえたとか、頭の回転がにぶくなったとかいう以前の問題として、そもそも議論などという人間的行為そのものに意味を見いだせなくなっているのだ。

P353
関ヶ原の戦いというのは、建前の上では豊臣政権内部の内輪もめにすぎないからだ。あれは要するに徳川家康と石田三成という家臣どうしがごたごたを起こし、
――私闘に走っただけである。
 というのが豊臣家の公式な見解だった。法理論上は「天下分け目の戦い」などという大げさな話では断じてなく、天下は依然として豊臣の手のなかにあるという立場なのである。

【ネット上の紹介】
「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!


「狩猟家族」篠原悠希

2016年09月01日 20時36分20秒 | 読書(小説/日本)


「狩猟家族」篠原悠希

ニュージーランドが舞台。
現地でトレッキング中に、道に迷う。
たまたま出会ったのが、現地で狩猟生活を営む一家。
お父さんと二人の娘、三人で生活している。
こうして、その一家と関わりながらファーム・ステイすることとなる。

P22
ニュージーランドでは、親がライセンスを所有していれば、何歳からでも射撃や狩猟を始められるとアンディは語った

P54
日本人が会話の最中に頭を下げる仕草が、現地の人間にとっては笑いのツボになるということを、遼平はあとになって知った。

日本人から見れば、狩猟生活なんて想像もできない。
興味深い内容で、とても楽しめた。

【おまけ】
この一家の母は日本人。
ニュージーランドは親日家の方が多い印象を持っている。
実際、日本人妻の白人は多い(と思う)。
私も2か所の宿泊施設に泊まったが、両方とも奥さんが日本人だった。

海外に出かける日本人女性にとって、「外人」、ってだけでアドバンテージがある。
ワーホリで滞在する日本人女性は多い。
彼らは、日本人女性=従順、のイメージを持っている。
日本人男性と違って、彼らは愛情表現をストレートに出す。
くらっ、とくるのかもね。
こうしてニュージーランド男性+日本人女性のカップルは成立する。
(以上、私の分析)

【ネット上の紹介】
大学四年生の武島遼平は、卒業旅行として、ニュージーランド南島を訪れた。現地でトレッキング中に道に迷った遼平は、銃を抱えた中学生ぐらいの少女と、その父親に出会う。農場の飼料畑を食い荒らす野生化したウサギや山羊、ポッサムを狩りながら暮らしている彼らの生活は、遼平にとって、想像もつかないほど自由で、過酷で、逞しいものだった―高峰に抱かれ、荒々しくも美しい自然のなか、生き物の命が身近に感じられた。爽やかな読後感が胸に迫る傑作。