MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『SHADOW/影武者 』

2019-10-01 00:49:35 | goo映画レビュー

原題:『
監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ/リー・ウェイ
撮影:チャオ・シャオティン
出演:ダン・チャオ/スン・リー/チェン・カイ/ワン・チエンユエン/ワン・ジンチュン/レオ・ウー
2018年/中国

「女性性」と「影」について

 同じ「影武者」をテーマにしているとはいえ、『3人の信長』(渡辺啓監督 2019年)を観る前に本作を観てはいけない。レベルが違う。同じ「映画」というカテゴリーでまとめてはいけない。
 沛(ペイ)国が炎国に領土の境州を奪われてから20年。沛国の沛王は平和を維持することに必死であったが重臣の都督(トトク)たちが境州の奪還を企んでおり、都督は炎国の楊蒼(ヤン・ツァン)将軍に対決を申し込んでいたのだが、それを知った沛王は都督の官職を解いてしまう。戦いを避けたい沛王は妹の青萍(チンピン)を楊蒼の息子の側室でもいいから嫁がせることで平和の維持に努めるのである。
 実は本物の都督は重傷を負って隠れており、妻の小艾(シャオアイ)と一緒に沛王の前に現れているのは影武者なのである。
 その後、影武者は楊蒼の太刀に対して傘で立ち向かい(これはもちろん2014年の香港の「雨傘運動」が反映されている)、青萍の小刀と共に、「男性性」に対し「女性性」で対抗することで勝利を掴むのであるが、ラストは沛王と都督と影武者の「心理戦」が展開され、そこではそれぞれの心の「影」の部分で争われるのである。最後に脅えた小艾が扉から覗いていたのは影武者の「影」ではなかっただろうか。
 一応『三国志』を基にしているのであるが、これくらい見応えがあればこそ史実に忠実でなくても許せるのである。


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