MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アス』

2019-10-04 00:56:46 | goo映画レビュー

原題:『Us』
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
撮影:マイケル・ジオラキス
出演:ルピタ・ニョンゴ/ウィンストン・デューク/エリザベス・モス/ティム・ハイデッカー
2019年/アメリカ

シャツに書かれた「メッセージ」について

 1986年5月にアメリカではチャリティーイベントとして「ハンズ・アクロス・アメリカ(Hands Across America)」が催されており、主人公のアデレードは家族とサンタクルーズを訪れていたのであるが、そこで「自身を見つけろ(Find Yourself)」と書かれた「びっくりハウス(Funhouse)」に迷い込み、本当に自分自身を見つけてしまい、PTSDを患って失語症になってしまう。
 それから現在の話になりアデレードはガブリエル・ウィルソンと結婚しており、娘のゾーラと息子のジェイソンと暮している。そこで自分たちとそっくりな人物たちに襲われることになるのだが、話はホラー映画というよりもSF映画のような規模を呈する。
 これ以上はネタバレになるので詳細は避けるとしても、前作『ゲット・アウト』(2017年)におけるラストシーンの描写の迷いは本作には感じられず、完璧に決まっている。因みに各々のTシャツの絵柄を確認しておくと、若いアデレードが着ていたシャツには「マイケル・ジャクソンのスリラー(Michael Jackson's Thriller)」、現在のジェイソンが着ているシャツには「ジョーズ(Jaws)」が描かれ、ガブリエルの「ハワード(Howard)」は時代背景から察すると『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』(ウィラード・ハイク監督 1986年)の「ダック(カモ)」で、ゾーラが着ているシャツには「Thỏ」と書かれており、これはベトナム語で「うさぎ」を意味するのだが、「スリラー」ではなくて「マイケル・ジャクソン」を重視すれば分かる人にはオチは分かってしまう。
 エンドクレジットで流れたミニー・リパートンの「レ・フルール(花束)」を和訳しておく。

「Les Fleurs」 Minnie Riperton 日本語訳

誰が私をお祭りに連れて行ってくれるの?
ある女性が私を彼女の髪に刺し通すのかしら?
ある子供が私を小川のそばで見つけるのかしら?
私の花びらにキスをして私を夢に織り込むのね

そんな簡単な物事だけで花はさらに咲き誇り
絶望している人々に
愛や喜びや信頼や希望を広めるために開花する
誰の心の中にも花の種は生きている
もしもそこを覗くならば彼は美と力を見つけるのよ

全てのベルを鳴らしながら歌って
あらゆる場所に花は咲くと人々に言うのよ
暗闇をなくすために
あなたは嬉しさの祈願で空を照らし喜ぶのよ
あなたは恐怖をかなぐり捨てて
来るべき新しい時代の兆しに合わせて
鼓動を自由に打ち鳴らすのよ

メイブル・サディが私にあなたのバラを全部くれた
私の名前を言って欲しい
私を探しながらそよ風を浴びて欲しい
メイブル・サディが私にあなたのバラを全部くれた

そんな全ての罪のためだけで花はさらに咲き誇り
絶望している人々に
愛や喜びや信頼や希望を広めるために開花する
誰の心の中にも花の種は生きている
もしもそこを覗くならば彼は美と力を見つけるのよ

全てのベルを鳴らしながら歌って
あらゆる場所に花は咲くと人々に言うのよ
暗闇をなくすために
あなたは嬉しさの祈願で空を照らし喜ぶのよ
あなたは恐怖をかなぐり捨てて
来るべき新しい時代の兆しに合わせて
鼓動を自由に打ち鳴らすのよ

Minnie Riperton - Les Fleurs


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