
(2019年10月28日付毎日新聞朝刊)
萩生田光一文部科学相が24日夜のBSフジ「プライムニュース」で語った内容が毎日新聞で具体的に記されているので引用してみたい。
司会者が「お金や地理的に恵まれた生徒が有利になるのではないか」と指摘したのに対し、「それを言ったら『あいつ、予備校通っていてずるいよな』と言うのと同じだ。裕福な家庭の子が回数を受けてウォーミングアップできるようなことはあるかもしれないが、そこは身の丈に合わせて2回を選んで勝負してもらえれば」と語った。さらに『できるだけ近くに会場を作れるように業者や団体にお願いしてはいるが、人生のうち自分の志で1回や2回は故郷から出て試験を受ける、そういう緊張感も大事』などと述べた。
発言の真意を訊かれた萩生田は「どのような環境下の受験生も、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて(2回まで受けられる民間試験を)全力で頑張ってもらいたいとの思い」だったと説明したうえで「説明不足な発言であり、改めておわびしたい」と述べているのだが、前提として「あいつ、予備校通っていてずるいよな」という発言は存在しない。大抵の受験生は予備校に通っており、例え金銭面で通えない受験生でさえ矜恃としてこのような不平不満は口にしない。しかしそのように不利を強いられる受験生に対して「人生のうち自分の志で1回や2回は故郷から出て試験を受ける、そういう緊張感も大事」と文部科学相が口にするのは自分の仕事を棚に上げて民間業者に任せてしまう無責任な発言でしかない。