原題:『Yesterday』
監督:ダニー・ボイル
脚本:リチャード・カーティス
撮影:クリストファー・ロス
出演:ヒメーシュ・パテル/リリー・ジェームズ/ケイト・マッキノン/エド・シーラン
2019年/イギリス
エド・シーランとビートルズの「立ち位置」について
ある意味「問題作」と言っていいと思う。エド・シーラン自身が主人公のジャック・マリックが奏でるビートルズの曲を聴いて、彼をアマデウス・モーツァルトに、自身をアントニオ・サリエリに例え、あるいはエドのマネージャーのデブラ・ハマーがエドを洗礼者ヨハネ、ジャックを救世主メシアであると譬えるのだが、エド・シーランの本心はどうなのだろうと勘繰りたくなってしまう。もっともあと50年くらい経てばはっきりはするのだが。
例えば、ジャックがギターを奏でながら歌った「イエスタデイ」を初めて聴いた時のエリー・アップルトンたちの感動も実感として分かるし、ジャックがピアノで「レット・イット・ビー」を歌おうとした際の、彼の両親や親せきの端から彼の才能に期待していない偏見に満ちた対応の仕方も身に染みて分かる。
ビートルズが存在しない世界にはオアシスも存在しないという設定も納得させられる。