原題:『Once Upon a Time in Hollywood』
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー/エミール・ハーシュ
2019年/アメリカ・イギリス
映画が現実を作っていた頃について
前作『ヘイトフル・エイト』(2015年)や前々作『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)のような緊張感が画面に漲ることはなく、まるで主人公のリック・ダルトンのドキュメンタリー映画のような撮り方であるにもかかわらず、決して退屈させることがないのはやはり脚本が上手いということなのかもしれない。
てっきりシャロン・テート殺害事件が描かれているものだと思っていた。テートが自身が出演する最新作『サイレンサー第4弾/破壊部隊』(ヘンリー・レヴィン監督 1968年)を観に行く途中で、『ジョアンナ』(マイケル・サーン監督 1968年)や『ペンダラム』(ジョージ・シェーファー監督 1968年)のタイトルが目に入るからなのだが、実際は「偽史」が描かれることになるのは、ダルトンというよりもタランティーノ自身が夢見た「ハリウッドのおとぎ話」を描きたかったからであろう。
ラストを少し説明しておくならば、ダルトンは結局、俳優としての起死回生は叶わず、いやいやながら「昔の名前」でテレビCMをこなしている有様なのだが、ダルトンとダルトンの専属のスタントマンだったクリフ・ブースの友情が変わらないと思える理由は、エンドクレジットと共に流れる音声がバットマンと相棒のロビンが仲良く「バットフォーン」のCMをしているからである。
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