原題:『Hellboy』
監督:ニール・マーシャル
脚本:アンドリュー・コスビー/マイク・ミニョーラ
撮影:ロレンツォ・セナトーレ
出演:デヴィッド・ハーバー/ミラ・ジョヴォヴィッチ/イアン・マクシェーン/サッシャ・レイン
2019年/アメリカ
全く違う世界観が重なることによる「齟齬」について
主人公のヘルボーイの物語はアメリカでは興行的に大失敗しているようなのだが、ストーリーに問題があるのは何となくわかる。
例えば、作品の冒頭の現代のパートにおいてヘルボーイは行方不明になった同僚のエステバン・ルイスを探しているうちにメキシコのプロレスの会場までたどり着くものの、ルイスは既に吸血鬼に変身させられているのだが、ヘルボーイは執拗にルイスを助けようと試みる。あるいはヴィヴィアン・ニムエに魔法をかけられて死にかけている同僚のアリス・モナハンに対しても必死になって助けようとするのである。
アーサー王の血を引くヘルボーイの生い立ちによるストーリーの規模と、養父のトレヴァー・ブルーム・ブルッテンホルム教授を含むヘルボーイの「少年ジャンプ的」純粋さが上手くマッチしていないように感じられるとしても、個人的にはこのような2つの全く違う世界観が重なることによる「齟齬」が本作の面白みではあると思うのである。