MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『108~海馬五郎の復讐と冒険~』

2019-10-28 00:56:15 | goo映画レビュー

原題:『108~海馬五郎の復讐と冒険~』
監督:松尾スズキ
脚本:松尾スズキ
撮影:山崎裕典
出演:松尾スズキ/中山美穂/大東駿介/土居志央梨/栗原類/LiLiCo/坂井真紀/秋山菜津子
2019年/日本

妻に対する復讐の「適当さ」について

 主人公で脚本家の海馬五郎は元女優で妻の綾子がダンサーのドクタースネークとの仲睦まじい写真をフェイスブックに投稿していることを親しくしている若手女優の赤井美月に教えられ激怒し離婚を決意するものの、財産分与で資産の半分にあたる1000万円を支払わなければならず、それならば離婚するまでの一ヵ月間で使ってしまおうと思い立ち、フェイスブックの投稿についた「いいね!」の数である108人の女を抱く野望を抱く。
 詳細は敢えて書かないが膣痙攣やバイアグラなどの下ネタは満遍なく網羅されており、R-18ではあるが欲情させるような演出ではないために観賞する目的を間違えると観賞料金を無駄にしてしまうと思う。
 しかしストーリーに関して納得できない点がある。海馬五郎は最初に15万円で高級娼婦のあずさを買ってから26人目の赤井美月までは正確に数えていたのであるが、その後は時間も体力も無いということでホストの聖矢などを交えて乱交パーティーで58人まで抱いたことにして、その後は聖矢の案内で船で「女島」に渡り残りの50人を抱くという計画を立てる。
 しかしこれはどう考えても復讐として納得できるものではない。海馬五郎の本気が感じられないからである。射精までを一回と考えるから無理が生じるのであって、数回の「出し入れ」を一回と捉えれば108人の女は容易に抱けるはずなのである。もっともこのような「思い至らなさ」が夫婦間の不和を生み出したのかもしれない。
 ラストが何故か村上春樹の『ノルウェイの森』のラストに似ているのは、妻に対する憎悪が却って自分を活き活きとさせてしまう男としての自分の立ち位置がいまだに理解できないということなのだろうか。


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