原題:『The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society』
監督:マイク・ニューウェル
脚本:ケヴィン・フッド/ドン・ルース/トーマス・ベズーチャ
撮影:ザック・ニコルソン
出演:リリー・ジェームズ/マイケル・ユイスマン/グレン・パウエル/ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ
2018年/イギリス・フランス
イギリス人の「アレルギー」について
1946年、主人公で作家のジュリエット・アシュトンはエッセイのネタを求めて、「ガーンジー島の文学とポテトの皮製のパイ同好会」と名乗るグループの取材のために船でガーンジー島に渡ったのだが、何故か創設者のエリザベス・マッケンナは国外にいるために会うことができず、同好会のことを記事に書くというとメンバーたちに拒絶されるのである。
実はエリザベスは第二次世界大戦中の1941年、ガーンジー島がドイツ軍に占領されていた時に、仕事先で知り合ったドイツ人の医師のクリスティアン・ヘルマンの子どもを宿し、それがドーシー・アダムズが育てているキットという娘なのであるが、その後、行方知れずだったエリザベスはラーフェンスブリュック強制収容所に送られ、そこで子供を守ろうとした際に殺された事実が分かるのである。
取材を終えたジュリエットが一度はプロポーズされたマーク・レイノルズの申し出を断り、再びガーンジー島へ渡りドーシーと結婚することになった理由は、エリザベスに関する話と無関係ではないだろう。エリザベスが異国人の男性と交際することに失敗したことを知り、ジュリエットはアメリカ人のマークとの交際に躊躇したのである。ここにそれぞれの時代の「強国」(今ならEU?)に対するイギリス人の「アレルギー」が暗示されているのかもしれない。