青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

これが僕らの黄金旅程 ~バナ釘リベンジツアーその5~

2006年03月05日 10時46分26秒 | 日常
(写真:最強の阿寒湖特別馬)

まあこんなネタ画像やりたいがためだけにヤフオクでこの人形落として来たってんだから、編集長は職人認定(笑)。つか、この馬はかなり馬券相性良かったんで、好きな馬でしたw

さて、我々にとっても「釣り」と言うのは初めてのイベジャンルである。自分も、小学校の頃はよくやってたけど竿を持つのは本当に久々である。まあ、「バトロワ」で釣り情報は仕入れて来たので大丈夫だろうと(ってかワカサギ釣りなんか載ってなかったやんw)タカをくくってみる。オヤジに入漁料1,500円を払い、エサ(赤サシ)と竿とパイプ椅子を持って氷上のテントへ。何も用意する必要はない。しかも釣れたのをフライにしてくれて1,500円ってのは安いとオモ。
この日は風が強かったため、テントも相当バタバタと風に煽られてやりづらかったのだが、それでも遮蔽物のあるなしは大きく違う。テントがなかったらやってられないほど寒かったろう。タダでさえ針にエサ付けたりリール巻いたりとかの細かい作業は手袋なんかハメてやってはいられない訳だし。

とりあえず5連の仕掛けの付いた針にエサを付け、リールのストッパーを外してオモリをドボン。テロテロテロテロと糸が氷の穴の中に沈んで行き、トンとオモリが湖底に着いた感触を確認してからリールをクルクルと2回ほど巻いてアタリのテンションを取ってみる。
どーせこう言う観光地めいた場所の釣りなんて大して釣れるわきゃないんだから、まあ雰囲気でも楽しめれば、程度の感覚でやろうと思ってたのだが、入れてすぐさま竿先にピクピクと手首の脈拍程度のアタリが来た。おお!?と思いつつ軽く竿を合わせ、リールを巻く。

なんだ、ワカサギ釣りって簡単じゃん。

型は小さいが、ともかく一匹ゲト。再びエサを付けてドボン。コツン。ぐりぐり。ピクピク。あれ~、またか?オイオイ、また釣れたよ!
リピートアフターミー。

「何だ、ワカサギ釣りって簡単じゃ(ry」

さて、この「何だ ~ 簡単じゃん構文」の問題点は、「2回以上唱えた場合にその反動がデカイ」と言う事(笑)。これは数々の事例で(主にハギー氏)実証されており、その原因に付いては学会においても究明されるべき問題とされているが、うっかり心の中でこの構文を唱えてしまったがためにやはりその反動はモロに来たw。ぬかった。
アタリは出れども取り込みに結び付かないスカ連発。そのうちに水に浸かったエサがヘタって来て食いも悪くなった。氷の下の冷え冷えの水に浸かったエサを素手で取り替えるのは正直辛いwエサの赤サシもウヨウヨ動きやがるし。
それでも頻繁にエサを付け替え、真剣に竿を振った結果はこの後約1時間半のファイトでごらんの釣果。ちなみに紅ショウガみたいに散らばってるのは水でヘタって使い物にならなくなったエサです(笑)。
竿頭は編集長で10匹、最強の釣り師である事を実証w。ドベの山小屋氏に至っては1匹も取り込めず、最後はテントに針を引っ掛けジャンルの違う大物釣りをしてしまうと言う散々な内容(笑)。山小屋氏には、来年の課題が一つ残った形となったね。来年まで勉強せいw
釣れたワカサギは、湖畔の小屋でワカサギフライに
ウマー。

生臭くなって冷え切った体を湖畔のまりも湯で暖め、阿寒湖を後に。
夜の飛行機にはまだだいぶ時間があるので、釧路湿原へ車を走らせる事とする。本当に今回の行程は道に雪がないために距離が稼げるし、楽な事この上ない。阿寒から釧路湿原まで1時間程度ですぜ。雪道なら考えられないよなあ。
釧路空港付近から国道を逸れ、まずは北斗展望台からの眺め
うーん、茫漠たる広野だ。これが釧路湿原か、と言う感じ。初めて見るんだけど取り立てては…だだっ広いなーと思うくらいでw。どうなんでしょう、ひょっとしたら思い切り雪に覆われてたり、それとも夏の新緑の時期とかなら、もう少し心の感動の振り幅が大きくなるのかもしれないね。今日は天気も悪いし、正直中途半端だったかもしれない。

しかし既に何度か釧路湿原を訪問しているグッピー氏ナビで「釧路湿原の真ん中を突っ切る道があるんだよ。オススメだよ。」と言う道道1060号(クチョロ原野塘路線)は素晴らしかった。間近で見るコッタロ湿原(画像大)は、どんよりと曇った鉛色の空の下で夥しいほどの枯れ草がまるで死骸のように荒野を埋め尽くしており、正直不気味さを感じさせる迫力があった。
圧倒的な水量を満々と湛えて悠然と流れる釧路川のほとりを、このような真一文字のダート路が遠く遠く向こうまで伸びている。自然保護の観点から通行止めになってもおかしくない(いずれはなるんだろうか)道だと思うが、それをしていないと言うのも道ヲタとしての冥利に尽きる。新緑の時期にまた走ってみたいよねえ。雰囲気違うと思うし。

釧路湿原の探索を終えると、いよいよ雨が降り出した。
日本の南岸を通過する猛烈な低気圧で、北海道から関東にかけては風が強かったこの日。釧路でこの時期に雪じゃなくて雨が降るとは…
全日程を終えて、釧路空港。猛烈な風であるからして想像は付くと思うが、このような事態になっておりました(笑)
「搭乗の手続きは致しますが、東京からの飛行機が着陸出来ないと機材の確保が出来ませんので、東京行きは欠航となりますので…」と言う条件付きでのチェックイン。今日中に帰らないと面倒だが、かといって風の強い中無理クソ飛んで猛烈に揺れるのも勘弁だw
Zafo氏に至っては「釧路から特急まりもで千歳に逃げて、明日の朝一便で東京帰ろうよ」と妙に具体的な計画をサラッと提示して来た。頭の回転が早いw。へんしうちょはモバイルで離着陸状況をチェック。台風で沖縄に閉ざされた事のある人間はさすがに対応が素早い(笑)。
果たして羽田からの飛行機をやきもきして待ちながら空港の食堂でラーメンなぞを食いつつまんじりともせずに待つと、幸か不幸か羽田からの便が着陸してしまいました…

ちょwwwwフライト決定wwwww揺れるのイヤスwwwww

とか言っても容赦なく飛ぶつもりらしく、それを止めるのにはクーデターでも起こすしかなさそうだ…実際JALは起こってますけどね。クーデター(笑)。

離陸以前から「夕方気流の関係で羽田で飛行機が降りられず、その後の着陸便が渋滞している」との事で釧路発も30分遅れ。果たして、離陸した後はそりゃあもう「地震だ爺さんですか?」と言わんばかりの激しい揺れが間断なく羽田に着くまで続くのであった。
いや~、飛行機でここまで揺れた事ないっすよ。初体験。

羽田到着。ややぐったり。
最後のアクシデントが想定外だったが、どうでしたか参加された皆さん?と振ったら、好意的な答えが返って来たので幹事としては満足しています。

調子に乗って聞いてみた。「さ、来年はどうする?」って。
そしたら「頑張って女満別便取ろうよ!」だって(笑)。

来年も楽しみだな(早っ!)。
終わり。
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穴は掘らなきゃ当たらない ~バナ釘リベンジツアーその4~

2006年03月05日 09時43分09秒 | 日常
(写真:朝の阿寒湖)

2日目は天気が悪かったせいで、景観イマイチ。
全面結氷した阿寒湖と、うっすら見えるのは阿幌岳。

およそ小一時間は入っていただろうか。温泉から上がり、畳の上でゴロゴロしつつ夕食の時間。ホタテの刺身、鮭ルイベ、ラワンブキの煮物、テンプラ。国民宿舎らしく豪華なメシではなかったが、キッチリと暖かいものは暖かく出て来ただけで十分。私の良く行くHPに「山の温泉ガイド」ってーのがあるんだけど、このページにもそんなような書かれ方をしていた。別に豪華ではないが、料理とコメは普通に美味しく満足の出来るレベル。去年の秋に行った長野の渋御殿湯にはぜひ見習って欲しいものである(笑)。

食事の後は阿寒湖へ向かう。冬の間、結氷した阿寒湖の上では「阿寒湖氷上フェスティバル」と言う冬祭りを開催しており、夜には花火も打ち上げられるのである。また、野中温泉付近には当然ながらコンビニなど何もなく、買出しを兼ねての行動である。
日が落ちて夜になると、本当の暗闇がやって来る。都会に暮らす夜の暗さとは比べ物にならない程の漆黒の闇だ。月明かりもない真っ暗になった原生林の中を走ると、車のヘッドライトにキタキツネの目が鋭く光る。
足寄峠から釧路市へ(阿寒湖のある阿寒町は釧路市に編入されたらしい。ここが釧路とはとても思えないが…)。峠で車を止め、ヘッドライトを消すと、辺りの風景は黒く塗りつぶされた闇に葬られてしまった。画像でもその暗さの一端は感じていただけるとは思うが、真っ暗と言うよりは真っ黒と言った方が伝わりやすいかもしれない。一番的確なのが、ウィザードリィで言えば「まっくらやみだ!」って感じなのだが(笑)。分かってもらえるでしょうかw
目が暗闇に慣れてきた頃、Zafo氏が「うわ~」と空を見上げて声を発する。見上げた空には、何千何万の星の瞬き!昼の銀河も、夜の銀河も、とりあえず素晴らしいものである。

夜の阿寒湖温泉はきれいにライトアップされて、なぜが一同街の明かりにホッと胸をなでおろす。人とは、根源的に暗闇を嫌う動物である事を実感。
車をデポし、凍った湖の上に出ると、ステージではアイヌの民族衣装をまとったスタッフが火振りをしながら大きなキャンプファイヤーに火を灯している。何となくプチさっぽろ雪祭りのような会場。8時の合図とともに沖からは花火が打ち上がる。写真で夜の花火を撮影するって言うのは難しいね…約15分間のイベント。マリンより長いw
スノーモビルやバナナボートなどのイベを尻目に、時節柄かカーリングコーナーが大人気w見付けた瞬間狂喜して列に並ぶへんしうちょ必死杉(笑)。まあ、私も一応投げましたけど、あのストーンって結構重いんだねえ。ウチの母ちゃんなんか「カーリングってあれスポーツなん?」みたいな事を言ってたが、十分スポーツと思いますよ。てか、やると場合によっちゃ腰痛くしそうwこのイベでも編集長がかなりのバカ映像を仕込んでいる様子なので、うpを楽しみにお待ち下さい(笑)。
私はグッピー氏のショットの瞬間を激写なんぞしてみました。フォームが華麗です(笑)ってか、カーリングじゃなくてボウリングのフォームだね。最近「暇さえあればシャドウしちゃう」とか言ってたしwさすがマイボール&マイシューズ所持者だけの事はあります。

夜半から、眠っている私の耳にビュービュー、ゴウゴウと風を切る音が入って来た。果たせるかな、翌日の朝は、突風混じりの吹雪で始まる。
風の音ですっかり起こされ、一人朝風呂を楽しんだ後朝メシ。焼いたシャケと玉子とノリの定番バージョンを平らげると、喝りながら撤収+実験準備。そう、この後いよいよ「バナ釘リベンジ」
何のためにここまで来たと思ってるんですかお客さん(笑)。

※<お詫びとお知らせ>
ここから先の実験に関しては、当ブログではレポを割愛させていただきますw
実験に関しては、編集長ブログでお楽しみくださいw
つか、改めてOKテイク見たが、ここまで来るのにかなり学習したよなあ私達w

実験終了後、我々は再度阿寒湖に向かう。昨夜は見えなかったが、阿寒湖って結構広いんだね。まさに窓の外ではリンゴ売りの氷の世界。そして遮る物の何もない凍った湖上は、突風が吹き荒れて体感温度がかなり低い。ここで何をするのかと申しますと…

これ。

やっぱ、穴でしょw
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雌阿寒かあちゃんの懐に抱かれて ~バナ釘リベンジツアーその3~

2006年03月05日 02時28分12秒 | 日常
(写真:雌阿寒温泉野中温泉別館)

別館って、本館はどこなんだ?と思ったら、本館は隣のユースホステルなんだって。この時期は来る人も本当に少ないそうですが(そりゃそうだ)。

列車は足寄に到着。
何やらホームが騒がしいと思ったら、時刻表には載っていない特別列車が到着していた。「ふるさと銀河線」って事で「銀河鉄道999」のペイントがされている車両があるらしく、しかも車内を見ると、あの車掌のフィギュアが運転席に飾られている(笑)。これはデフォなんだろうか。それともマニアが持ってきて飾ったんだろうか。持って来たとしたらよく空港のゲートを通ったもんだw
ちなみに私は松本零士なら「サイボーグ009」の方が好きだったけどね。

再びレンタカーのエンジンを入れ、一路雌阿寒温泉方面へ車を走らせる事にする。時間的にはまだ午後2時過ぎなのだが、日は既に若干傾きかけている。北国の夕暮れは早いからね。ここは道東。
足寄の駅前から国道241号線へ折れると、ひたすらゆるい谷に沿って同じような景色が同じように続く。冬の間家畜に食べさせる俵型に巻いた牧草が積まれた牧場と、重機が置かれた飯場、やってるのかどうかすら疑わしいドライブイン。人工物といえばそんなもの。あとは雪をかぶった耕地とも原野ともつかないような野原。北海道らしいと言えば北海道らしい。このあたりは人の背丈よりはるかに大きくなる「ラワンブキ」と言うフキの特産地であるそうだ。確かに、こんなに何もない場所なら、フキも人様に気兼ねせず伸び伸びと育つだろうな。
谷の合間に続く道を囲むように連なる低い山の切れ切れに、真っ白い雪山がチラリチラリと見えて来る。あれが雌阿寒岳(めあかんだけ)だろうか。車を進めるにつれて、その姿が次第に大きくハッキリと見えて来た。

茂足寄(もあしょろ)と言う集落から、車を止めてその山容を眺めてみる。
右が阿寒富士・左が雌阿寒岳。優雅で裾を大きく引いた、まさに「富士」と言う形容がぴったりの阿寒富士に、何度も爆発を繰り返したのだろうかゴツゴツした姿の雌阿寒岳。「雌」と言う形容が果たして合っているのかどうか…
肝っ玉の座った雌阿寒母ちゃんに富士ダンナが尻に敷かれている様子にも見えるし、雌阿寒岳のドトーの寄りに阿寒富士が俵で何とか残っているようにも見える。それとも雌阿寒岳が田中真紀子、阿寒富士は田中直紀のようにも見え…(笑)。まあ、キリがないが何ともアンバランスな山容が面白い。
「雌阿寒温泉入口」の表示を右に折れると、ようやっと路面にも雪が目立ち始め、道の勾配はさらにきつくなる。深い森を切り開いた道のスリットから、さっきよりもさらに大きな山の姿が目に飛び込んで来る。程なく小さな旅館が3つひっそりと寄り合うように固まって現われ、ここがどうやら今回の旅の目的地、雌阿寒温泉に到着したらしい。本当に雌阿寒岳の足元だ。ドアを開けるまでもなく、温泉らしい硫黄の香りがぷんと鼻を突く。ここから先は「アイヌの神秘の湖」と言われたオンネトーへさらに道が続いているのだが、残念ながら冬季通行止めだ。

こんな山奥にあるにもかかわらずこの温泉の歴史は古く、大正時代にはもう開湯されていたと言うから、北海道では老舗の湯治場、と言う感じである。山奥の温泉場の帳場には、耳が遠いか訛りがきつくて何言ってっか一切不明のババアが似合うもんだが(勝手なイメージ)、受付をしたのは益子直美似の意外にも若目の人妻であった(笑)。週末ではあるが、完全にシーズンオフと言う事で静まり返った館内。部屋も空きまくっているのだろう、10畳+6畳の大部屋をあてがわれて、まずは荷を解いてくつろぐ。編集長、早速トリノですかい。気が早い。
こちらはこちらで、とりあえずここまで無事来れた事で気持ちは一段落。今日の任務は完了と言う事で早速温泉でも浸かって来よう。浴室は青森とか岩手の湯治場を思わせる全面ヒバ作りに、青白いお湯がなみなみと注がれておりまして、肝っ玉かあちゃん・雌阿寒岳の火山エキスを凝縮したような硫黄の匂いと、ハッカとかミントのような刺激臭が鼻にツンツン来るのは北海道だからだろうか。
温度は意外にも長風呂向きのぬるめで、熱い湯はやや苦手な私にはちょうどいい。露天風呂に出ると、ぬるいと言うか入ってないと寒い(笑)。ただ、首までとっぷりと浸りながら、積もった雪の下の岩陰に隠れて夕日なんぞを見つつぼへ~っとしていると、

とりあえず全てリセット!

そう言う気分になるのでありました。
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最後の冬 真昼の銀河 ~バナ釘リベンジツアーその2~

2006年03月05日 00時10分34秒 | 日常
(写真:長年のご愛顧に感謝して@上利別駅)

今年の4月20日を以って廃線となるちほく高原鉄道。
廃線寸前の最後の輝きか、多くのヲタで賑わっておりました。
ってか、益田競馬とか、こう言うシチュが好きなのね。我々。

今回の旅のテーマの一つに「北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(長い)に乗ってみる」と言うのを提案したのは山小屋店主氏であった。何でも、仕事中に日経を読んでいて偶然記事を目撃したのだとか(仕事しろよ…笑)。
元よりそのような「去り行く物への憧憬」みたいなレトロ感覚?は、益田競馬の最後に立ち会ったりして来た我々にジャストフィットする出来事なのかもしれない。それがこと鉄道に関しては同じ「旅好き」として、同行のグッピー氏も私も一家言持っているくらいであるから、この話が出た段階で「乗る・乗らない」の議論も何もなく「乗るもの」として話は進んだ。まだ山小屋氏の持っている豚丼はホカホカだ(あっという間に着いちゃったからね)。そこまでして乗りたいのか、と言われたら返す言葉もないが、乗りたいw

足寄駅自体は画像で見ても分かる通り新しくとてもきれいな施設であるが、それは並行する国道241号線の道の駅「あしょろ銀河ホール21」として作られたもので、鉄道としての足寄の駅自体は完全に添え物扱いである。
銀河線の出札口は、沿線でも大きな街の一つであるこの足寄駅でも土日はカーテンをぴっちりと閉ざしていた。同じフロアのバスの改札は開いており、既に廃線→バス転換と言う流れは完全に出来上がっている。
駅前のロータリーには帯広駅前行きのバス(十勝バス)が止まっていた。鉄道よりも若干安い料金で運行されているらしく、地元の親子連れは先に出るバスに乗って行ってしまった。待合室にいるのは、我々のような「用事があって乗る訳ではない(=鉄ヲタ)」乗客しかいない。何だか去年の秋の鹿島鉄道を思い出すな…あの時もマニアしかいなかったw
まだ列車の到着まで小一時間あるので、我々もめいめいに分かれて気ままな散策タイムを楽しむ。この道の駅には2階に「松山千春資料館」と、ビルの10階程度の高さまで登って行ける展望塔が付いている。ちなみにこの展望塔の名前は「千春・ありが塔」だってwはいはいワロスワロス。

エレベーターもない螺旋階段を登り切った展望塔から見えるのは、ゆったりとした山並みに囲まれた大地に開けた足寄の街の風景
その街の中を、いじましいほど真っ直ぐに鉄路が、北へ北へと伸びている。
最後の冬、雪の積もった砂利の上を、黒い轍だけがすっきりと続いている。
来年の冬は、もうこの轍は現われず、雪に白く塗られて埋まるのだろう。
沿線は、冬場はマイナス30℃を下回るほどの酷寒の地。苛酷な気象条件の中で、たったこれだけの本数のために線路を維持する事は経営上難しいのは火を見るより明らかだ。

もうまもなく陸別行きの列車が来るので、展望台を降りる。ホームは入れ違い設備のある対向式のホームで、本当なら階段を登って通路を通り向かいのホーム(陸別・北見方面)に行く作りになっているのだが、まあこんなローカル線だし堂々と線路に降りて渡ってしまおう。
程なく「ピョ~!」と言う汽笛を鳴らして陸別行の気動車がやって来た。単行である。途中駅の陸別止まりにもかかわらず、車内は別れを惜しむ鉄道ファンの姿が目立つ。普通の乗客はいないwえてしてそう言うもんだ。
こう言う人たちの事をマニア用語では「葬式鉄(そうしきてつ)」と言うらしいw。まあ、意味は読んで字の如くだ。いろんな物がなくなるのを惜しむ姿がそう見えるのだろう。Jリーグではきっとジェフサポだと思うw

4人掛けのワンボックスに腰を下ろすと、ゆっくりと列車が動き始めた。発車時には、再び汽笛を高らかに一発長く鳴らす。運ちゃんも残り二ヶ月あまりのこの路線の最後の冬に、運ちゃんなりのサービス精神なんだろうか。
単行の車両は徐々にスピードを上げ始め、平屋建ての長屋が並ぶ足寄の街を後にする。国道と利別川に沿って、森の中を、雪に覆われた牧草地の中を、タタン、タタンと軽快なリズムを刻んで走る。窓に流れる風景と、決して都会では味わえない揺れが心地いいじゃないですか。

巨乳ファン垂涎の駅(あいかっぷ)・、西一線(にしいっせん)、塩幌(しおほろ)と荒野に板を渡しただけのような簡素な無人駅を綴り20分程度で列車は上利別(かみとしべつ)駅に到着した。この列車がこの先の陸別ですぐ折り返して来るので、それまでの間この駅で昼メシタイムにでも当てようと言う算段。
別に狙った訳でもないが、この駅には国鉄池北線時代の開通当時から残る木造駅舎がそのまま残っていてなかなかの雰囲気。昔は出札口であったろう窓ガラスには栄華を誇った国鉄時代の写真が貼られ、お別れコーナーが作られている。
高天井の広い待合室に置かれたベンチで豚丼の包みを広げ昼食タイム。冷え切った待合室に豚丼の匂いが充満したのは言うまでもないw

メシを食い終わり、再び各自思い思いに散策タイム。
ローカル線の駅にしては広い構内だ。長く伸びるレールと、駅に隣接する貯木場。昔は林業で栄えた集落だったらしい。山から切り出された木材と、広い牧草地を使った軍馬の輸送で賑わったこの上利別の駅も、今はただ青空の下で死んだように静まったままだ。
駅舎のカギのかかった窓からは、この駅にも駅員がいた時代の遺品(と言っては失礼か)がそのまま野晒しに放置されていた。それは時間の経過の中で思い切り色褪せてしまっており、文字も何が書いてあったのやらと言う代物であるが、その色の褪せた時間の長さだけが、妙にリアルに印象に残る。

静寂を破って激しく駅の中の遮断機の警報機が鳴り、陸別で折り返した下り列車がやって来る。これを逃すと2時間半はこの駅には列車はやって来ないのだw
乗り逃したらアウト。

(動画:上利別を出発!movファイル)

さあ、足寄に戻ろう。
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