青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

浜加積蒼天

2018年10月15日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(海の匂い仄か@浜加積駅)

焦げ茶の屋根瓦に板塀、大きな石に取り付けられた柱がトタン葺きの庇を支える浜加積の駅。駅名標の取り付け位置が三角形に囲われているのは地鉄の駅に多く見られる特徴。ここも地鉄の中ではかなりの優良物件と聞いていましたが、なるほど聞きしに勝る風格。立山線の駅は雪の重みに耐えた味わいがありますが、こちらは何となく潮風に吹かれて侘びたような味わいがあります。


斜め45度の角度から。普通の住宅街の路地を入って行くと忽然と現れる駅なので、何というかタイムスリップ感が凄い。周りの家がおそらく建て直されているのに、駅だけが何も変わらずそのまま生き続けているのだろう。壁から外れた波板と、申し訳程度のヘロッヘロのホーム上屋。


真横から。なんか真横から見るとインベーダーみたいな形をしているのね浜加積の駅。ホームの土手が緩んでいるのか、駅名標が傾いているのもご愛敬。そのせいでホーム上屋にもスキー場のジャンプ台みたいな傾斜がついており、夜にでも来たら銀河鉄道999の発車シーンが見られそうだ。


待合室に残る国鉄の残滓。「サンプラザ」自体は今でも魚津中心部のショッピングモールとして営業をしていますが、開店したのが昭和50年の話。その当時に架けられたであろう待合室の広告看板。今は買い物に行くにしてもほとんどがクルマなんだろうけど、地鉄電車でお買い物…という時代があったのだろうな。ってか「スクェア」ってどう発音すんだ。「ひすゎし」みたいなもんか。

 

宇奈月温泉行きが到着すると、いつの間にかホームに現れたおばあちゃんが一人、買い物袋を提げて電車に乗って行った。地鉄電車でお買い物、まだあるじゃん。


ちなみにここ浜加積を含めて地鉄には「加積」の付く駅名がいくつかありますが、魚津・滑川地域の平野部を以前は「加積郷」と呼んでいたことに因むそうです。中加積、西加積、西滑川、中滑川、滑川、浜加積、早月加積とこの辺りの地鉄本線は「加積」と「滑川」の連続なので非常に紛らわしい(笑)。この並び順、テストに出ますからね。


お隣を走っていた北陸本線は新幹線の開業とともに「あいの風とやま鉄道」と名前を変え、特急列車も夜行列車も姿を消しました。周りを取り囲む森羅万象が変わっても、なおそのまま悠然とあり続ける浜加積の駅。物言わぬ駅に染み込む物語が、どこからともなく聞こえて来るようです。
コメント
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