(見上げて、夏。@与謝野~京丹後大宮間)
阿蘇海沿岸から加悦谷へ続く平野部を後に峰山盆地に抜けて行く宮豊線は、与謝野と京丹後大宮の間で小さなサミットを越えて行きます。その途中にある、国道と野田川水系の小さな沢を一気に跨ぎ越して行く高い高い鉄橋。一本の石積みの橋脚が、なんとなく芸備線とか山口線辺りの中国地方山間部にありそうな雰囲気を醸し出しています。水戸谷川橋梁と言うらしい。丹鉄の橋梁は、基本的に橋梁のガーター部分に橋の名前を大きく書いているので識別が楽だ。踏切や橋などの構造物に名称を記録しておくのは、事故とか障害が発生した時、第一発見者や現場に急行する保線の係員が現在位置を確認しやすいようにするため、という説があるのだがどうなんでしたっけね。
国道脇の駐車帯にクルマを止め、木漏れ日の夏空を見上げる。木々の葉は青々と茂り、夏空にはムクムクと育つ白雲。空から夏が滴って来るようだ。沢水の流れる音を聞きながら耳を澄ませると、定刻から少し遅れてベージュの気動車が姿を現しました。遅れを取り戻そうと懸命にスロットルを回しながら、ボヤッとしているとシャッターチャンスを逃しそうなスピードで、天空の谷を渡って行きます。
夏の峰山盆地を行くKTR802。昨日今日とよく出会う車両。今回訪問の際、丹鉄ご自慢の観光列車である「あかまつ」「くろまつ」はコロナで乗務員が確保出来ないとして運休しているし、そして「あおまつ」は入検中という事でそっち方面の車両は全く動いていなかったのだけど、一般車両のスカイブルーがなんだかんだいって一番カッコいいように思うんですよね。ちょっと日本の車両では見ないようなカラーリングですし、とりあえずこのスカイブルーの車両は夏景色との取り合わせがバッチリなんだよなあ。
雲湧き立ち、夏の終わりを謳歌するような峰山盆地の晩夏の風景。この辺りは竹野川流域の平野に沿って大規模な穀倉地帯になっていて、遥か遠くまで続く田園風景が広がっています。作付されているのは主に「丹後コシヒカリ」や「京式部」の名前の付いたブランド米。そして、米どころである峰山盆地周辺には酒蔵も多く、酒造用の酒米の生産も盛んなのだそうです。豊穣なる丹後の大地を行くKTR、夏を過ぎて、稔りの秋を迎える頃にはさぞかし素晴らしい景色になっているんでしょうねえ。
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