青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

海と風 伊根の舟屋に 暮らす日々。

2022年09月24日 17時00分00秒 | 京都丹後鉄道(丹鉄)

(一路、伊根へ@国道178号旧道)

今回の丹後半島行、流石にめったに行かない場所だって事でもあり、一応観光なんぞも組み込んだりしてみました。目指したのは、「伊根の舟屋」で有名な伊根町。宿泊した岩滝口の駅前を宮津駅始発の丹後海陸交通バスが経由していて、自分が購入した「海の京都きっぷ」でも利用が可能。丹海バスでも使ってみようかな・・・という考えもあったのだけど、意外にバスだと時間がかかるので結局クルマで行ってしまった。伊根の集落に向かってR178の旧道に入ると、いかにも漁師町らしい焦げ茶板塀の家並みが続いて。

伊根湾から舟屋建築を眺める遊覧船に乗船。この遊覧船も丹後海陸交通が運行していて、「海の京都きっぷ」で割引乗船が可能。お盆明けの平日という事で観光客は疎ら。混んでるのがとにかく嫌いな自分としては、極めて適正な客数である。そして若い人の姿は見えない。若い人が来るには少し観光地として渋すぎるか。自称・日本のヴェネツィアなのにね(笑)。

伊根の舟屋建築。国の「重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されている建物群。波静かな伊根湾に沿って、1階を舟のガレージ、2階部分を居住空間にした特徴的な建屋が並んでいます。伊根湾自体が深い入り江になっていて、風が入らず波が穏やかな事から、江戸の初期からこのような作りの舟屋が建ち始めたそうです。個人的には静かに海からの舟屋風景を眺めていたいのだけど、どうにも他の観光客は舟屋建築より船に付いてくるカモメのエサやりに一生懸命で落ち着かない。乗船する時にかっぱえびせんとか貰えるんでしょうがないのかもしれないけど(笑)。

1階が船溜まり、2階以上を居住空間とする暮らし。伊根の舟屋、と言われれば文化的にも景観的にも価値あるものに思えるけど、舟を車に変えてしまえば、首都圏近郊には建坪が取れないから1階をクルマの駐車場にして居住空間を2階・3階に上げるような戸建てはいっくらだってあるんだよな(笑)。都会の狭い路地にひしめくように立つあれは現代の舟屋なのか。そう思うと急に興醒めしてしまうので、そこらへんのリアルな日本の不動産事情は棚に上げておく。つーか、こう言う家だと2階の窓から仕掛け投げたらそこそこ魚が釣れそうでそこは楽しそうだ(笑)。

水辺から眺める伊根の街並み。半分くらいが漁師業、半分くらいが民宿とか何がしかを兼業しているような雰囲気。漁師をやってるだけじゃ稼ぎ切れない世の中か。そこに住む人々の暮らし自体が観光地になっているというのは、日本だと白川郷とか五箇山のような居住空間そのものだったり、野沢温泉の麻釜とか郡上八幡の宗祇水のような生活に関するものだったり、そして四国徳島の祖谷渓や九州の椎葉村などそもそもの秘境的な部分だったりと様々ありますけど、生活圏が常に観光客の興味の対象になっているというのは住民としてはどうなんだろうね。まあ、観光と言う行為自体が非常にそういう「物見遊山」的な感覚に近いものなのでしょうが。

伊根の街並みを眺めながら、舟屋の家々をそぞろ歩いてみる。ちょうど空き家になっている舟屋があって、そこから舟屋の1階部分を覗き見る事が出来た。この屋根の高さでは、現代のエンジンの付いた舟は入るのかどうか。沿岸でちょっとした網を仕掛けるような小さな船外機を付けたサッパ舟くらいしか入らないだろう。裸電球一つに木組みの格子、この格子に漁具やら仕掛けやらその他の道具を吊る下げておくのだろうな。海とともに暮らす街を歩けば、路地の長屋の二階で青いシャツがはためく。いつの間にやら青い空。比較的天気には恵まれたこの旅、自動販売機で買ったコーラを飲みながら、流れ出る汗を拭うのでありました。

あ、一応伊根の帰りに一応傘松公園まで登って天橋立とかも見て来たよ。昔々、大学時代にも来た事があるから二回目か。傘松公園のケーブルカーも丹後海陸交通が動かしてますから、「海の京都パス」で割引で乗車できたりする。一応鋼索線の写真でも入れておかないと、鉄道のブログじゃなくなっちゃうからね!


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