11/15付の朝日新聞奈良版に「大仏殿が見えなくなる? JR奈良駅前にホテル・保健所計画」という見出しの記事が載った。奈良新聞も、同日の1面トップで扱っていた。
11/14の奈良市議会建設委員会で、松石聖一議員(市民クラブ)は《ホテルや複合施設が完成すると、西ノ京大池から眺めた時に大仏殿の下層の屋根にあたる「裳階(もこし)」が隠れてしまい、上層の屋根しか見えなくなると指摘した。また、市によると、立ち位置によっては、エレベーター設備が大仏殿上にかかるという》(朝日)。
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000711150002
朝日・奈良新聞とも、記事には奈良市が提供したという写真(両紙とも同一)が掲載されていたが、これは私の実感とは違う。実態はすでに、もっとヒドくなっている。
このアングルは故入江泰吉氏が「発見」したもので、古代のロマンあふれる同氏の写真で有名になった。私も、ここは家から近いので時々訪ねてはいたのだが、いつも首をかしげて帰っていた。今回の報道を受け、もう一度自分の目で確かめようと撮り直したのが、冒頭の写真だ。
手前の雑木を避けるため、丘の上(奈良医療センターの敷地内)から同じ風景を撮ったのだが、大仏殿がすでに三方からジワジワと目隠しされているのがお分かりだろう。JR線高架工事のクレーンや、その向こうの近鉄奈良駅と思われるビルが、ま横に迫っている。新ホテルや保健所は、西塔右隣の白い建物(ホテル日航奈良)のま横にできる訳だから、これで目隠しが完成することになる。ホテルも保健所も、奈良市が起案した事業というのが情けない。
※やや広い構図で撮った写真はこちら
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/b6/75f22c81d6c24d0fe0433a084cf9acdd.jpg
新聞には、31mだった高さ制限を、昭和《62年にはJR奈良駅周辺開発に伴い、西ノ京大池をビューポイントに景観を検証した結果、翌年12月に高さ40mに引き上げている》(奈良新聞)とあるが、今回の報道を見る限りでは、本当は「景観の検証」など、していなかったのではないか。
市は《「遠望は今回の計画の中では配慮されていなかった」と不手際を認め、福井重忠副市長も「うかつだった」と答弁した》(同)。市都市計画課は《今後は景観に大きな影響が出ないようホテルについては業者を指導し、保健所施設は市都市景観審議会にかけたい》(朝日)と話しているそうだ。
それにしてもお粗末な話だ。以前、このブログに南都さんは
> 県庁や近鉄奈良ビルそれに新しくできた裁判所などまるで奈良を否定
> しているかのような「奈良嫌い」のモード丸出しです。地元民として
> これらの建造物が林立している奈良の玄関を恥ずかしく思います。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/cddbe6112b39e6d8f0e71f24e44385b8
というコメントを下さったが、奈良の景観を破壊しようという「悪意」なくしてはできないような仕業であり、その結果がこの惨状だ。この際「高品質・高規格」の40mホテルの建設は、白紙に戻して再検討するのが良さそうだ。
11/14の奈良市議会建設委員会で、松石聖一議員(市民クラブ)は《ホテルや複合施設が完成すると、西ノ京大池から眺めた時に大仏殿の下層の屋根にあたる「裳階(もこし)」が隠れてしまい、上層の屋根しか見えなくなると指摘した。また、市によると、立ち位置によっては、エレベーター設備が大仏殿上にかかるという》(朝日)。
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000711150002
朝日・奈良新聞とも、記事には奈良市が提供したという写真(両紙とも同一)が掲載されていたが、これは私の実感とは違う。実態はすでに、もっとヒドくなっている。
このアングルは故入江泰吉氏が「発見」したもので、古代のロマンあふれる同氏の写真で有名になった。私も、ここは家から近いので時々訪ねてはいたのだが、いつも首をかしげて帰っていた。今回の報道を受け、もう一度自分の目で確かめようと撮り直したのが、冒頭の写真だ。
手前の雑木を避けるため、丘の上(奈良医療センターの敷地内)から同じ風景を撮ったのだが、大仏殿がすでに三方からジワジワと目隠しされているのがお分かりだろう。JR線高架工事のクレーンや、その向こうの近鉄奈良駅と思われるビルが、ま横に迫っている。新ホテルや保健所は、西塔右隣の白い建物(ホテル日航奈良)のま横にできる訳だから、これで目隠しが完成することになる。ホテルも保健所も、奈良市が起案した事業というのが情けない。
※やや広い構図で撮った写真はこちら
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/b6/75f22c81d6c24d0fe0433a084cf9acdd.jpg
新聞には、31mだった高さ制限を、昭和《62年にはJR奈良駅周辺開発に伴い、西ノ京大池をビューポイントに景観を検証した結果、翌年12月に高さ40mに引き上げている》(奈良新聞)とあるが、今回の報道を見る限りでは、本当は「景観の検証」など、していなかったのではないか。
市は《「遠望は今回の計画の中では配慮されていなかった」と不手際を認め、福井重忠副市長も「うかつだった」と答弁した》(同)。市都市計画課は《今後は景観に大きな影響が出ないようホテルについては業者を指導し、保健所施設は市都市景観審議会にかけたい》(朝日)と話しているそうだ。
それにしてもお粗末な話だ。以前、このブログに南都さんは
> 県庁や近鉄奈良ビルそれに新しくできた裁判所などまるで奈良を否定
> しているかのような「奈良嫌い」のモード丸出しです。地元民として
> これらの建造物が林立している奈良の玄関を恥ずかしく思います。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/cddbe6112b39e6d8f0e71f24e44385b8
というコメントを下さったが、奈良の景観を破壊しようという「悪意」なくしてはできないような仕業であり、その結果がこの惨状だ。この際「高品質・高規格」の40mホテルの建設は、白紙に戻して再検討するのが良さそうだ。