箸勝本店(東京都千代田区外神田3-1-15)は、秋葉原にある箸問屋さんである。HPを拝見すると、相当由緒のある家柄のようだ。
《現社長である山本権之兵衛は、奈良県吉野郡下市町原谷に住居を定めた初代山本氏より数えて第26代目に当ります。代々山本利右ェ門を名乗りそのルーツは南朝の後醍醐天皇の吉野遷都に従い吉野へ土着し、清和源氏の山本姓を祖先に持ちます。原谷において代々庄屋で在り、この地の名産である吉野杉・桧などの材木の問屋として生業して来ました。明治43年以来割箸の需要増加に従い、大阪・京都・東京などに下市町特産の割り箸を売買するように成り、東京に進出し現在に至ります》。
http://www.hashikatsu.com/
この店のことは、田中淳夫著『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)で知った。《「現在、正式には“宮内庁御用達”は存在しないのですが、これがあるとないとでは信用が違います。こちらも励みにしているわけです」(宮本敏治常務) 店頭に並ぶ割り箸の種類は多岐にわたる。高級なものから普段使いの安物まで。中国製も扱うが、やはり主流は吉野で作られる国産の高級割り箸だ》(同書)。
東京で吉野の箸とは嬉しい。上京の折(9/11)に立ち寄ってみた。
お店はJR秋葉原駅から徒歩8分、HPに分かりやすい地図が出ていた。電気街口を出て中央通りを北進し、1つ目の角を左折する(ここは例の無差別事件のあったところ)。
お店は写真のような立派なビルで、ショーウィンドーには、五輪マークの割り箸が並べられていた。説明書を読んでいると、お店の方がわざわざ出てこられて、説明していただいた。
五輪マークのあるヒノキの元禄箸(元禄小判)は、北京五輪の会場や強化選手村用に寄贈されたものだそうだ。選手村用の箸袋には「このお箸は、奈良県吉野桧の間伐材、端材を利用し作られた安全で衛生的な、日本製のお箸です。間伐材、端材を利用することにより、日本の森林資源の育成に役立っています」と刷り込んである。
杉の「らんちゅう(卵中)」(両方の先端が尖った高級箸)は、五輪招致に動く東京都が北京で行ったレセプション用の箸だそうだ。他にも、北海道洞爺湖サミット用に作られた吉野ヒノキ箸の見本も出ていた(最終的には別の業者から、北海道産と北陸産が納入された)。私の知らないところで、様々に動いておられたのだ。
上の2つは北京五輪用、その下はレセプション用、
一番下が洞爺湖サミット用に作られたサンプル
箸勝本店のHPには「今、なぜ国産割り箸か」という理由もちゃんと書いてある。《安いからと云う理由で中国製のアスペン、竹、エゾ松のお箸が多くの飲食店で使われています。日本の昔から有る杉や桧のお箸は少し高いからと敬遠されその結果、日本の森林のリサイクルが進まない要因にも成っています》《どうか、今こそ国産品である吉野杉、桧の優美で香りの良いお箸でお客様をおもてなし下さいませ》。
全く、その通りである。林野庁の「木づかい運動」に見られるように、国産材が使われないから森が荒廃するのだ。植林→整備・間伐→主伐→植林のサイクルを回さなければならない。割り箸を使うことは間伐材や端材(製材の過程で排出される切れ端)を使うことだから、木材の利用(木づかい)になる。どんどん使えばどんどん木材が伐り出され、上記のサイクルがうまく循環することになる。
《一連の無駄使い論により、使い捨ての割り箸が有限の森林資源の無駄使いと不名誉なクローズアップをされ、不本意な理解をされることも未だ見受けられます。割り箸の材料となる「木」は、建築用材料の残り「端材」「廃材」や、植林中に間引きをした「間伐材」など、もともと捨てるものを無駄無く使っています》《材料の残りを利用して丸々一本の木を余すこと無く使い切っているわけです。それにより産業廃棄物として焼却しないで済むわけで、二酸化炭素の増大やダイオキシンの発生などを防いでいるのです》(同HP)。
『割り箸はもったいない?』も顔負けの行き届いた説明である。ここまでHPで解説していただくと、もう私の書くことは何もない。HPには、他にも箸の教育効果についての記述もあり、とても参考になる。帰りにはお箸のサンプルまでいただいた。
それにしても割り箸は奥が深い。わずか5グラムの割り箸とはいえ、国内で年間に250億膳使われるから、合計12万5千トン! この日はその重みをシッカリと受け止めることができた。箸勝本店さん、有り難うございました。
《現社長である山本権之兵衛は、奈良県吉野郡下市町原谷に住居を定めた初代山本氏より数えて第26代目に当ります。代々山本利右ェ門を名乗りそのルーツは南朝の後醍醐天皇の吉野遷都に従い吉野へ土着し、清和源氏の山本姓を祖先に持ちます。原谷において代々庄屋で在り、この地の名産である吉野杉・桧などの材木の問屋として生業して来ました。明治43年以来割箸の需要増加に従い、大阪・京都・東京などに下市町特産の割り箸を売買するように成り、東京に進出し現在に至ります》。
http://www.hashikatsu.com/
この店のことは、田中淳夫著『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)で知った。《「現在、正式には“宮内庁御用達”は存在しないのですが、これがあるとないとでは信用が違います。こちらも励みにしているわけです」(宮本敏治常務) 店頭に並ぶ割り箸の種類は多岐にわたる。高級なものから普段使いの安物まで。中国製も扱うが、やはり主流は吉野で作られる国産の高級割り箸だ》(同書)。
東京で吉野の箸とは嬉しい。上京の折(9/11)に立ち寄ってみた。
お店はJR秋葉原駅から徒歩8分、HPに分かりやすい地図が出ていた。電気街口を出て中央通りを北進し、1つ目の角を左折する(ここは例の無差別事件のあったところ)。
お店は写真のような立派なビルで、ショーウィンドーには、五輪マークの割り箸が並べられていた。説明書を読んでいると、お店の方がわざわざ出てこられて、説明していただいた。
五輪マークのあるヒノキの元禄箸(元禄小判)は、北京五輪の会場や強化選手村用に寄贈されたものだそうだ。選手村用の箸袋には「このお箸は、奈良県吉野桧の間伐材、端材を利用し作られた安全で衛生的な、日本製のお箸です。間伐材、端材を利用することにより、日本の森林資源の育成に役立っています」と刷り込んである。
杉の「らんちゅう(卵中)」(両方の先端が尖った高級箸)は、五輪招致に動く東京都が北京で行ったレセプション用の箸だそうだ。他にも、北海道洞爺湖サミット用に作られた吉野ヒノキ箸の見本も出ていた(最終的には別の業者から、北海道産と北陸産が納入された)。私の知らないところで、様々に動いておられたのだ。
上の2つは北京五輪用、その下はレセプション用、
一番下が洞爺湖サミット用に作られたサンプル
箸勝本店のHPには「今、なぜ国産割り箸か」という理由もちゃんと書いてある。《安いからと云う理由で中国製のアスペン、竹、エゾ松のお箸が多くの飲食店で使われています。日本の昔から有る杉や桧のお箸は少し高いからと敬遠されその結果、日本の森林のリサイクルが進まない要因にも成っています》《どうか、今こそ国産品である吉野杉、桧の優美で香りの良いお箸でお客様をおもてなし下さいませ》。
全く、その通りである。林野庁の「木づかい運動」に見られるように、国産材が使われないから森が荒廃するのだ。植林→整備・間伐→主伐→植林のサイクルを回さなければならない。割り箸を使うことは間伐材や端材(製材の過程で排出される切れ端)を使うことだから、木材の利用(木づかい)になる。どんどん使えばどんどん木材が伐り出され、上記のサイクルがうまく循環することになる。
《一連の無駄使い論により、使い捨ての割り箸が有限の森林資源の無駄使いと不名誉なクローズアップをされ、不本意な理解をされることも未だ見受けられます。割り箸の材料となる「木」は、建築用材料の残り「端材」「廃材」や、植林中に間引きをした「間伐材」など、もともと捨てるものを無駄無く使っています》《材料の残りを利用して丸々一本の木を余すこと無く使い切っているわけです。それにより産業廃棄物として焼却しないで済むわけで、二酸化炭素の増大やダイオキシンの発生などを防いでいるのです》(同HP)。
『割り箸はもったいない?』も顔負けの行き届いた説明である。ここまでHPで解説していただくと、もう私の書くことは何もない。HPには、他にも箸の教育効果についての記述もあり、とても参考になる。帰りにはお箸のサンプルまでいただいた。
それにしても割り箸は奥が深い。わずか5グラムの割り箸とはいえ、国内で年間に250億膳使われるから、合計12万5千トン! この日はその重みをシッカリと受け止めることができた。箸勝本店さん、有り難うございました。