飯貝御坊 本善寺

1/2（金）、奈良から九度山（和歌山県伊都郡）へ帰省する途中、吉野に寄り道した。桜井から山道に入り新鹿路（しんろくろ）トンネルを抜けたあたりは、このような雪景色だったが、吉野町の上市（かみいち）に降りると溶けていて、ホッとした。



さて本善寺（吉野町飯貝）は、蓮如が文明８年（1476年）に創建した浄土真宗本願寺派の寺で、飯貝御坊ともいう。本願寺から「本」の字をとって「本善寺」と名付けたそうだから、力が入っている。

吉野川を挟んで本善寺の対岸は上市だが、もともと上市の町は本善寺の門前町が発展したものだ。今も上市には、吉野町役場や近鉄大和上市駅（特急停車駅）がある。


山門脇の太鼓楼。寛政２年（1790年）の建立

奈良検定公式テキスト（P220）によると、本善寺は《明応４年（1495年）に蓮如の子兼継を後継住職として以来、大和真宗寺院の中核的存在となり、近世には真宗吉野教団の本拠として86ヶ寺を束ねた》。


山門をくぐると、まず蓮如上人像が目に飛び込んでくる


本堂。筒井順慶により全焼したあと寛文年間（1661～1672年）に再建

《三世証珍は天正４年（1576年）の信長による石山本願寺攻めに際し、門徒を率いて兵糧を調達したが、天正６年（1578年）には信長の命を受けた筒井順慶の攻撃にあって全焼。境内に立つ「吉野川 心とどまる 河面に すみても見ばや ここにいひが井》という蓮如の歌碑は吉野川岸から移してきたもの》。奈良検定テキストには下市御坊・願行寺（がんぎょうじ）も登場する。こちらも同じ時期に筒井順慶に焼かれ、江戸時代に伽藍が再建されている。


裏山にある蓮如上人墓所



境内には桜の木が多く、桜の名所となっている。「懐の桜」と名付けられた木もあり、これは桜が好きだった蓮如上人のために第12男の実孝上人が桜を植えて蓮如上人をしのんだものだそうだ。現在の木は３代目である。なお蓮如は妻の死別を４回経験し、生涯に５回結婚した。子は、男子13人・女子14人の計27人いたというから驚きだ。
※本善寺の桜を紹介したホームページ
http://beauty.geocities.jp/sakurakuoh/2008honzenji.html

吉野というと、桜の頃に吉野山へ行くケースが多いが、麓にもこういう名刹があるのだ。以前このブログでは桜木神社を紹介したが、ぜひ観光名所から少し外れた「かくれ名所」を探し当てていただきたい。
※桜木神社と象の小川（当ブログ内）
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ef3d6fc9f5a4b6d38398118e42d6309d