tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

県民は、奈良県が嫌い?

2010年07月10日 | 観光にまつわるエトセトラ
南都経済センター主席研究員のMくんから、興味深い調査結果を教えてもらった。株式会社リクルートの「じゃらんリサーチセンター」(JRC)が今年3月に発表した「地元民が選ぶ、愛する地元のいいとこランキング じゃらん ご当地調査2010」というインターネット上のアンケートである。全国調査であるが、その「関西版」をピックアップして紹介する。
http://jrc.jalan.net/jrc/cal09.html

「関西版のTOPICS」と題した要約には、

【ご当地愛ランキング】
関西エリアで最もご当地愛が強いのは、京都府
…地元定着者が「とても愛着を感じる」割合が57.4%で京都府が全国3位に。7位に滋賀県(50.0%)、8位に大阪府(46.0%)、10位に兵庫県(42.6%)、34位に奈良県(27.3%)、44位に和歌山県(20.0%)。
【関西エリアの県民性ランキング(県別)】
伝統を重んじる3県に対し、世話好きな大阪人、流行に敏感な兵庫人、のんびりやの和歌山人と個性豊かな関西人
…地元定着者が「あてはまる」「まああてはまる」と答えた、各イメージの合計値ランキングより
●大阪府・・・1位「世話好きな方だ」(82.0%)
●京都府・・・1位「伝統を大事にする方だ」(89.1%)
●滋賀県・・・1位「伝統を大事にする方だ」(66.3%)
●奈良県・・・1位「伝統を大事にする方だ」(81.8%)
●兵庫県・・・1位「流行に敏感な方だ」(63.4%)
●和歌山県・・・1位「のんびりしている方だ」(71.0%)

要約は以上であるが、なんと「地元にとても愛着を感じる」と答えた奈良県民は、わずか27.3%と、全国で34位なのである。それにひきかえ、京都府民は57.4%(全国3位)と、2倍以上だ。こういってはナンだが、奈良県(27.3%=同34位)はあの佐賀県(26.6%=同37位)並みである。
http://jrc.jalan.net/jrc/files/research/gotouti_kansai_20100330.pdf

地元への愛着が少ないのは、高度成長期以降に他府県から流入した、いわゆる新住民(大半は大阪で勤務する「奈良府民」)の比率が高いので、こういう結果になったのかも知れないが、それにしても低すぎる。

中身を読むと、もっとショッキングな結果が出ている。旅行のおすすめ度ランキング(地元民に「地元に来てほしいかどうかを尋ねた」結果)で、奈良県は近畿2府4県で最低の25.3%(全国40位)だったのである。京都府44.6%(同9位)、和歌山県41.0%(同13位)よりずっと低い。全国比較では島根県35.3%(同26位)や秋田県32.3%(31位)よりも低く、こちらも佐賀県25.0%(同41位)とほぼ同ランクである。

奈良県には、世界遺産3件、国宝の仏像70件、国宝建造物64件・71棟、特別史跡10件があり、これらすべて全国トップである。雄大な自然景観も、良い温泉もある。それなのに「旅行に来てほしい」が全国40位とは…。

それは、1つには奈良県民自身が、本当に地元の良いところを知らないから、2つめには、何ごとにも控えめで奥ゆかしい県民性、3つめには、お隣の京都や大阪、海のある三重や和歌山と比較し「どうせ来てもらえないだろう」と諦めているから、という3つの理由が考えられる。

以前、当ブログに「そこに愛はあるのかい」(観光地奈良の勝ち残り戦略 29)という記事を書いた。県ビジターズビューローのセミナーの話から《奈良に関する知識不足→関心不足→誇り・愛情不足という悪循環が見て取れる。確かに、奈良の人は奈良のことを知らなさすぎる。それが私には悪の根源のように思えてならない。だからこれを逆に回し、誇り・愛情をもつ→関心を持つ→知識を持つ、という好循環に変えなければならない。奈良の悪口を言いそうになったとき「そこに愛はあるのかい」と、自らに問いかけてみるのも一法だ》と書いた。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/8e7f06443d3dffc2c61511475a1600ec

奈良県民は、今もこの「悪魔のサイクル」から脱していないように思えるが、絶好調の平城遷都1300年祭が、この悪循環を断ち切る起爆剤となり得ると、私は大いに期待している。
コメント (24)
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