tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

同時進行!平城遷都1300年(27)宮跡会場に150万人、予想の2.5倍

2010年07月04日 | 平城遷都1300年祭
昨日(7/3)の読売新聞夕刊トップ記事の見出しは《なんと150万人 平城宮跡会場70日 歴史ブーム、予想の2.5倍》だった。《奈良県で開催中の「平城遷都1300年祭」は、今年1月の開幕から半年が経過した。主会場の平城宮跡会場(奈良市)は、オープンした4月24日から今月2日まで、予想の2・5倍の148万人が来場。歴史・仏像ブームを追い風に、寺社への参拝客も急増し、外国人旅行者の姿も目立つ。公式マスコット「せんとくん」関連商品のライセンス契約額は30億円を超え、集客効果も県全体に波及。暑さ対策や宿探しでの心配は続くが、“中間決算”は、ひとまず黒字と言える》。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100703-OYT1T00680.htm

「ひとまず黒字」どころはなく、控えめに書いても「目下のところ大成功」だ。特に6月に入ってからは、猛暑か雨の日しか選択肢のない状態のなかで、よくぞこれだけの人が来られたものだ。


知人と宮跡会場へ遊びに行った。ついクセで、ガイドしてしまう(6/20)

《◆にぎわい◆「1300年前の暮らしを想像するだけでワクワクする」。秋田県で林業を学ぶフランス人留学生のルーシー・キャペルさん(24)は、平城宮跡でこう話した。大極殿や遣唐使船が目玉の平城宮跡会場は連日にぎわい、会期中(11月7日まで)の目標250万人を大幅に上回る見通しだ。主催する記念事業協会は「大極殿の復元など、奈良の持つ潜在的な魅力を引き出せた」と分析し、県全体で例年の観光客数(約3500万人)に1300万人程度の上乗せを見込む。旅行大手3社がまとめた4~6月の県内宿泊客数は、昨年の2倍の約8万人。夏以降も予約は好調という》。大極殿の復原については異論もあったが、大阪万博の太陽の塔ではないが、この祭典全体のシンボルとして好評を博している。

《◆グッズ人気◆寺社でも参拝客が急増している。人気の阿修羅(あしゅら)像を展示する国宝館を改装した興福寺は3月の土、日曜に1日6000人が訪れて例年の3倍に。春日大社も2倍を超えるなど、有名寺社はどこも大幅増だ。せんとくん人気も絶大。携帯ストラップやポストカードなどの商品は約1500種類にのぼる。奈良市で約500種を販売する「絵図屋」は、売り上げの7割を「せんとくん商品」が占め、5月は3~5割も伸びた》。「絵図屋」の前はよく通るが、いつもたくさんの観光客で賑わっている。


遣唐使船前で(6/20)

《◆暑さ対策◆約100ヘクタールの平城宮跡会場は建物や木陰が少なく、暑さへの対策が不安視されたが、同協会は6月、会場内の30か所に休憩所やテントを設置。水を霧状に噴射する移動式ミスト10台も用意し、夏本番に備える。これから訪れる観光客は、宿探しに苦戦しそうだ。日帰り観光型の奈良県のホテル・旅館の客室数は、実は全国最少の9436室(09年3月末現在)で、例年でさえ、春と秋はほぼ満室状態になる。5月に過去最高の稼働率99・1%を記録したホテル日航奈良の担当者は「旅行会社が客室を押さえており、9~10月の予約は難しいかも……」と話す》。

《後半も大型イベントが続く。奈良国立博物館では21日に、東大寺法華堂の金剛力士像などを展示する「至宝の仏像」が開幕。秋には正倉院展、皇族を招いた記念祝典も行われる。奈良県にとって、課題は早くも「ポスト1300年祭」。にぎわいを来年以降につなげようと、主な寺社、遺跡に英、中国語、ハングルを併記した案内板の設置を始めた。荒井正吾知事は「祭りの活気を一過性にせず、奈良を世界の真の観光地に育てたい」と意気込む。「古事記」完成(712年)から1300年の2012年に向け、観光戦略を練るプロジェクトも、既に動き出している》。

「ポスト1300年祭構想」(仮称)はすでに発表され、「『食』の集客力に着目した奈良の食の魅力向上に取り組みます」「新しい魅力ある土産物の開発・研究に取り組みます」「『歩くなら』の新しい取り組みを進めます」「官民一体となった外国人観光客誘致戦略を展開します」「記紀・万葉集を題材とした記念事業を実施するためのプロジェクトを立ち上げます」などが提案されている。
※ポスト1300年祭構想(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2b17f2d16035f6ddfc2a06e6d5c83c41


朱雀門(6/20)

1300年祭の「目下のところ大成功」を伝える記事は以前から報じられていて、日本経済新聞(6/15付 近畿経済B)には《遷都1300年祭好調、奈良全体に波及――4~6月宿泊者2倍、長谷寺参拝5割増》《奈良県で開催中の平城遷都1300年祭が好調だ。4月にオープンした主会場の平城宮跡(奈良市)がけん引役となり、秘宝・秘仏を特別公開している社寺など、各地の観光地も軒並み例年を大きく上回る人出に。集客効果は全県に及び、祭の事業協会は「観光客の流れが変わってきた。各イベントが相乗効果を上げている」としている》。

《4~6月、県内の観光客の宿泊実績・予約数は前年同期の約2倍。修学旅行の宿泊校数は一昨年度の約1・3倍と、いずれも大幅な伸びを示している。奈良市内の社寺では、秘宝を特別開帳している春日大社で4月、参拝者数が前年の同時期に比べ2倍以上になった。興福寺は「阿修羅像」が納まる国宝館をリニューアルした3月以降、週末の参拝者数が例年の2・4~3倍に上るという》。

《県の中部・南部でも、十一面観音大画軸などを特別開帳した長谷寺(桜井市)は5月、参拝者数が前年の約5割増。3~5月、秘仏などを特別開帳した談山神社(同)は20%、三重塔の初層を公開した壺阪寺(高取町)は35%増加した。イベントでは、12月に催すマラソン大会「奈良マラソン2010」の参加を5月10日から受け付けたところ、47都道府県から応募があり、募集開始5日間で定員の1万人に達したという》《同協会は「昨今の歴史・仏像ブームに加え、JRや旅行会社などと連携したプロモーションが予想以上の効果を上げている」と話している》。


衛士隊の再現(朱雀門 4/16の内覧会。トップ写真とも)

荒井知事も、機会あるごとにコメントを発表している。奈良新聞(6/13付)によると《1300年祭 楽しみ重視 「もてなす心が集客に」》《第18回全国学術研究大会(総合観光学会主催)が12日、奈良市登大路町の県文化会館で開かれた。観光を軸に、地域活性化を図る統一論題について意見発表があったほか、荒井正吾知事が「県の観光の現状と今後の取り組み」と題して基調講演》。
http://www.nara-np.co.jp/20100613105926.html

《荒井知事は、1300年祭の平城宮跡会場について、パビリオン型から歴史への感謝・祝意をテーマとするイベント型に変更したことで「平城宮跡という得難い空間を楽しみ、眺めや吹く風を感じられるよう設計した。訪問者の数自体を目標とするのではなく、いかに楽しんで帰ってもらうかが開催の目標」と説明。有数の文化財や寺社・仏閣の秘宝秘仏の開帳と併せて周遊型観光にも腐心したことを紹介》。

《「奈良は『1度行けばいい』から『何度でも来てもらう』へであり、なじんでもらいたい」と述べ、もてなしの心が順調な集客につながっているとも示唆した。一方で、宿泊施設の少なさやシーズンオフ対策など、今後の課題にも言及。「情報発信や広報の強化などに取り組んでいるが、食の問題や案内表示、県内での移動などで欠けている部分もある」と述べ、にぎわいの創出へ引き続き努力していく姿勢を示した》。


第一次朝堂院の案内板前で(6/20)

それにしても「宮跡会場に150万人、予想の2.5倍」とは、快挙である。素直に嬉しいし、県民として誇らしい。ここへ来るまでの記念事業協会の努力にも、頭が下がる。近鉄大和西大寺駅を降りると、横断歩道で車を止めてくれる。道を渡るとシャトルバス乗り場を指し示してくれる。徒歩で行く場合は、会場まですべての横断歩道に人が張り付いている。会場にはいると「もてなしボランティア」の皆さんが「公式案内MAP」を手渡してくれる。平城京歴史館の入場についても、案内してくれる。

ボランティアガイドによる平城宮跡ガイドツアー(1.5時間コース=300円、2.5時間コース=500円)も好評で、利用者は5/17(24日目)には1万人、6/9(47日目)には2万人を突破した。宮跡資料館、大極殿、遺構展示館、朱雀門、東院庭園などでは、定点ガイドが無料で案内してくれる。帰りのシャトルバス乗り場では、西大寺駅までのおおよその所要時間を知らせてくれ、「今だと、歩いた方が早いですよ」と親切にアドバイスしてくれる。全く、至れり尽くせりである。


大極殿から生駒山を望む(6/20)

ガイドツアーは7~8月には休止となるが、それほど平城宮跡は暑いのである。夏場にゴルフをするようなものだ。湿地帯なので、やたら湿度が高いし、太陽光を遮るものがない。ここは皆さん、夏場は涼しい吉野、大和高原・宇陀あたりへお出かけいただきたい。いわゆる1300年祭の「巡る奈良」事業である。この方面は涼しいし、史跡もあればキャンプ場もある。森林浴ができるし温泉もある。鮎料理も本番だ。

奈良県は広い。しかも77%が森林地帯だ。夏は宮跡会場はひと休みして、涼しい吉野、大和高原・宇陀へ、ぜひお出かけいただきたい。
コメント (6)
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