日本経済新聞朝刊(7/19付)の「時流地流」欄(地域総合面)に、「割りばしが訴える森林保護」という記事が載った。全国版にこのような記事を載せていただけるとは、とても有り難いことである。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2010/07/21/3.jpg
生駒市在住の森林ジャーナリスト・田中淳夫氏も、ご自身のブログに《久々に割り箸についての、真っ当な記事である(^o^)》と、顔文字入りで賞賛されている。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2010/07/post-fe56.html
以下に記事全文を引用する。《◆古都・奈良は今、平城遷都1300年祭のまっただ中だ。県内各地で多彩な記念イベントが催され、悠久の都の歴史や文化を内外に発信している。中核となる平城宮跡周辺のにぎわいは万葉歌「あおによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」(小野老)といった趣だ》。1300年祭は、好調に推移している。平城宮跡会場には、70日間で150万人、予想の2.5倍もの人が訪れた。
《◆その奈良がもう一つ、全国へ「復権」ののろしをあげているものがある。吉野地域の割りばしだ。国内の割りばし消費量は年間約230億膳で、ほとんどが中国からの安い輸入品だ。20年前に100億膳を超えていた国産品は輸入品に押され今や、5億膳程度。日本の大量消費が二酸化炭素(CO2)吸収源の「熱帯雨林」を破壊しているとの一部環境団体の非難が追い打ちをかけ、輸入割りばしの排斥運動に巻き込まれたことも響いた》。熱帯雨林が割り箸になるわけではない。国産割り箸は、丸太を四角に挽いたときに出る端材や、森林を育成するために間引いた間伐材から作っている。環境に優しいエコ商品なのである。
《◆廃業が相次ぐ中で、国産品の約7割を占める主産地、吉野は踏みとどまり、2008年秋、地域の森林と地球環境を守る「Yoshino Heartプロジェクト」を立ち上げた。その柱が袋に広告が入ったヒノキの割りばしを大手コンビニに割安に販売する「アドばし」プロジェクトだ。輸入品との価格差を社会的貢献を目指す企業からの広告収入で補てんする戦略だ。ナチュラルローソンの首都圏約80店舗でこの春から配られている南都銀行の「平城遷都1300年祭」のアドばしもその一つだ》。
※参考:「吉野ハート」アド箸プロジェクト(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/50737a71ea9ec215203117674a593c77
以上の3枚は、4/21、ナチュラルローソン渋谷代官山店前で撮影
南都銀行は4/21から、ナチュラルローソンの全店で18万膳(約10日分)ものアド箸を配った(昨年11月に続き2回目)。初日には、ナチュラルローソン渋谷代官山店にせんとくんが現れ、キャンペーンを盛り上げた。
http://www.nantobank.co.jp/news/100414.htm
《◆国内の割りばしの原料は間伐材や、建築端材だ。森林破壊どころか、森林資源の循環や、森林が吸収したCO2を伐採後も木の中に固定し、排出を抑える役割を担っている。だが、その森林そのものが国産材の価格低迷で手入れされず、荒廃が進んでいる。森林整備のコストを捻出(ねんしゅつ)する上でも、間伐材の利用拡大は急務だ》。
※参考:「Yoshino Heartプロジェクト」の特集記事(奈良新聞)
http://www.nara-np.co.jp/special/yoshinoheart/
以下の3枚は、桜井市・松原木材に積まれていた端材。これらが薄板や割り箸になる(3/4撮影)
森の現実を知らず、暢気に「マイ箸」運動などをやっている場合ではない。国内の森では、木が切り出せず、どんどん木が茂っている(森林蓄積が進んでいる)のだ。林野庁は「木(き)づかい運動」などで懸命に「国産材を使いましょう」と呼びかけているが、報道されることも少なく、消費者に声は届いていない。
《◆森林、環境保全のコストをだれが払うのか。吉野の取り組みは緒に就いたばかりだし、割りばしの量的貢献はわずかなものだが、都会の消費者が林業の抱える問題に向き合うきっかけになることを期待したい。(戸所寛美)》。以上が全文である。
前出の田中淳夫氏は《ネットだけでは通じない読者も多いので、紙媒体のマスコミの報道を行う人々にコツコツ情報を伝える努力も必要だなあ、と感じる。各地のマイ箸などの動きに反応する際は、それを報道するマスコミにもコトの次第を伝えていかねばならないだろう》と書かれているが、全く同感である。
※参考:割り箸はもったいない?(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7f716fdca4be8bc08b677f2be4371650
残念ながら今も、誤解に基づいた「マイ箸」運動が正しいと思っている人は多い。最近では中国やロシア産割り箸の出番は少なくなってきたが、その代わりにプラスチック製の箸が跋扈していて、これも味気ないことだし「ちゃんと洗っているのだろうか」という不安も残る。
田中氏は、日経の《記事では、森林(林業)保護と絡めているが、樹脂箸の洗浄などのコストや環境面、そして衛生面からも、突っ込んでほしいのものである。そのためにもデータや証拠がほしい。たまたまこの件がツイッターで話題となり、店で出された樹脂箸の不潔さを示す写真を集めることになった。結構スゴイのがある。もし、読者の皆さんも、お店で汚れた樹脂箸を見かけたら、携帯電話でいいからパシャと写真を撮ってください。そして送ってくださると幸いです》と呼びかけておられるが、何ともすごいことになっているのだ。
6年前、私は「高級料理店の箸は、すべて吉野割り箸である」という話を書いたことがある。その後のリサーチ結果でも、例外はなかった。やはり高級店では、見た目のスマートさ・清潔さ、手触り、香りなどに勝る吉野割り箸を使っているのだ。
※割り箸鑑定団(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/business/0404/0404082947/1.php
それにしても、国内森林の現状と「木づかい」の大切さを正しく伝えて下さったこの記事は貴重である。日経新聞さん、執筆された戸所寛美さん、有り難うございました。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2010/07/21/3.jpg
生駒市在住の森林ジャーナリスト・田中淳夫氏も、ご自身のブログに《久々に割り箸についての、真っ当な記事である(^o^)》と、顔文字入りで賞賛されている。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2010/07/post-fe56.html
以下に記事全文を引用する。《◆古都・奈良は今、平城遷都1300年祭のまっただ中だ。県内各地で多彩な記念イベントが催され、悠久の都の歴史や文化を内外に発信している。中核となる平城宮跡周辺のにぎわいは万葉歌「あおによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」(小野老)といった趣だ》。1300年祭は、好調に推移している。平城宮跡会場には、70日間で150万人、予想の2.5倍もの人が訪れた。
《◆その奈良がもう一つ、全国へ「復権」ののろしをあげているものがある。吉野地域の割りばしだ。国内の割りばし消費量は年間約230億膳で、ほとんどが中国からの安い輸入品だ。20年前に100億膳を超えていた国産品は輸入品に押され今や、5億膳程度。日本の大量消費が二酸化炭素(CO2)吸収源の「熱帯雨林」を破壊しているとの一部環境団体の非難が追い打ちをかけ、輸入割りばしの排斥運動に巻き込まれたことも響いた》。熱帯雨林が割り箸になるわけではない。国産割り箸は、丸太を四角に挽いたときに出る端材や、森林を育成するために間引いた間伐材から作っている。環境に優しいエコ商品なのである。
《◆廃業が相次ぐ中で、国産品の約7割を占める主産地、吉野は踏みとどまり、2008年秋、地域の森林と地球環境を守る「Yoshino Heartプロジェクト」を立ち上げた。その柱が袋に広告が入ったヒノキの割りばしを大手コンビニに割安に販売する「アドばし」プロジェクトだ。輸入品との価格差を社会的貢献を目指す企業からの広告収入で補てんする戦略だ。ナチュラルローソンの首都圏約80店舗でこの春から配られている南都銀行の「平城遷都1300年祭」のアドばしもその一つだ》。
※参考:「吉野ハート」アド箸プロジェクト(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/50737a71ea9ec215203117674a593c77
以上の3枚は、4/21、ナチュラルローソン渋谷代官山店前で撮影
南都銀行は4/21から、ナチュラルローソンの全店で18万膳(約10日分)ものアド箸を配った(昨年11月に続き2回目)。初日には、ナチュラルローソン渋谷代官山店にせんとくんが現れ、キャンペーンを盛り上げた。
http://www.nantobank.co.jp/news/100414.htm
《◆国内の割りばしの原料は間伐材や、建築端材だ。森林破壊どころか、森林資源の循環や、森林が吸収したCO2を伐採後も木の中に固定し、排出を抑える役割を担っている。だが、その森林そのものが国産材の価格低迷で手入れされず、荒廃が進んでいる。森林整備のコストを捻出(ねんしゅつ)する上でも、間伐材の利用拡大は急務だ》。
※参考:「Yoshino Heartプロジェクト」の特集記事(奈良新聞)
http://www.nara-np.co.jp/special/yoshinoheart/
以下の3枚は、桜井市・松原木材に積まれていた端材。これらが薄板や割り箸になる(3/4撮影)
森の現実を知らず、暢気に「マイ箸」運動などをやっている場合ではない。国内の森では、木が切り出せず、どんどん木が茂っている(森林蓄積が進んでいる)のだ。林野庁は「木(き)づかい運動」などで懸命に「国産材を使いましょう」と呼びかけているが、報道されることも少なく、消費者に声は届いていない。
《◆森林、環境保全のコストをだれが払うのか。吉野の取り組みは緒に就いたばかりだし、割りばしの量的貢献はわずかなものだが、都会の消費者が林業の抱える問題に向き合うきっかけになることを期待したい。(戸所寛美)》。以上が全文である。
前出の田中淳夫氏は《ネットだけでは通じない読者も多いので、紙媒体のマスコミの報道を行う人々にコツコツ情報を伝える努力も必要だなあ、と感じる。各地のマイ箸などの動きに反応する際は、それを報道するマスコミにもコトの次第を伝えていかねばならないだろう》と書かれているが、全く同感である。
※参考:割り箸はもったいない?(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7f716fdca4be8bc08b677f2be4371650
残念ながら今も、誤解に基づいた「マイ箸」運動が正しいと思っている人は多い。最近では中国やロシア産割り箸の出番は少なくなってきたが、その代わりにプラスチック製の箸が跋扈していて、これも味気ないことだし「ちゃんと洗っているのだろうか」という不安も残る。
田中氏は、日経の《記事では、森林(林業)保護と絡めているが、樹脂箸の洗浄などのコストや環境面、そして衛生面からも、突っ込んでほしいのものである。そのためにもデータや証拠がほしい。たまたまこの件がツイッターで話題となり、店で出された樹脂箸の不潔さを示す写真を集めることになった。結構スゴイのがある。もし、読者の皆さんも、お店で汚れた樹脂箸を見かけたら、携帯電話でいいからパシャと写真を撮ってください。そして送ってくださると幸いです》と呼びかけておられるが、何ともすごいことになっているのだ。
6年前、私は「高級料理店の箸は、すべて吉野割り箸である」という話を書いたことがある。その後のリサーチ結果でも、例外はなかった。やはり高級店では、見た目のスマートさ・清潔さ、手触り、香りなどに勝る吉野割り箸を使っているのだ。
※割り箸鑑定団(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/business/0404/0404082947/1.php
それにしても、国内森林の現状と「木づかい」の大切さを正しく伝えて下さったこの記事は貴重である。日経新聞さん、執筆された戸所寛美さん、有り難うございました。