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コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

公開質問状に回答!暗~い奈良の夜 花街で照らせ(産経新聞夕刊)

2014年06月15日 | 奈良にこだわる
産経新聞大阪本社版夕刊(5/28付)「暗~い奈良の夜 花街で照らせ」については、すでに当ブログで速報および検証結果を掲載した。産経記事に対する公開質問状が、奈良市東向商店街協同組合および奈良市中心市街地活性化研究会の連名で6/9に同紙奈良支局に送付され、その回答が6/13に届いたそうだ。全貌が「奈良市中心市街地活性化研究会」のFacebookおよびブログ「鹿鳴人のつぶやき」に掲載されている。以下、質問(青)と回答(紫)および私見(黒)を書いておく。長くなるが、ぜひ最後までお読みいただきたい。
※トップ写真は東向商店街のチャイナダイニング・飛天前。6/17(火)午後9時過ぎに撮影・追加

産経新聞大阪本社5月28日付夕刊記事に関する公開質問状
奈良市東向商店街協同組合 奈良市中心市街地活性化研究会

私ども、奈良市の近鉄奈良駅・JR奈良駅周辺の中心市街地に存在する商店街では、8商店街による奈良市中心市街地活性化研究会を平成16年(2004年)に結成し、地域活性化のさまざまな活動をおこなってきました。また平成23年(2011年)には、各商店街の他奈良市・商工会議所・地元銀行などにも出資を仰いで「株式会社まちづくり奈良」を設立し、地域活性化事業や起業家発掘・経営支援などの事業を行ってきています。

特に地域全体での事業として、各種他団体とも協力しながら「はじまりは正倉院展・あるくん奈良スタンプラリー」を平成18年(2006年)より開催し、平成22年(2010年)秋からは、夜を中心にした飲食イベントとして「あるくん奈良まちなかバル」を開催し、昨年9月6・7日には第6回、今年の2月21・22日にはその第7回を開催いたしました。それぞれ金曜日午後6時、土曜日正午よりスタートして中心市街地内の70店前後の飲食店をまわり、専用チケットで特別メニューを楽しむイベントです。(一部持ち帰り用物販店も参加しています)一枚700円(前売り600円)のチケットは、第7回では8000枚以上が使用されています。

このような事業を行ってきた立場から見て、「駅前8時で真っ暗」「午後8時になれば主要観光地のターミナルである近鉄奈良駅周辺の商店街はシャッターがほとんど閉まって飲食店の明かりも消え、人影はなくなる」とする先般の産経新聞夕刊の記事は、まことに心外であり、何らかの悪意すら感じるものでした。特に、東向商店街について意図的とも言える写真を掲載されたことについては、周囲からも憤慨する声が上がっています。

このまま放置すれば、これまでの活動を無にしてしまうような「風評被害」をもたらすおそれもあり、看過することはできないと思い以下の質問を公開するところです。なお、回答については下記宛てにいただければと考えております。なおこの質問とご回答は公開させていただきます。

産経新聞大阪本社5月28日付夕刊記事についての質問

1)「午後8時を過ぎた近鉄奈良駅前の東向商店街。ほとんどの店のシャッターが閉まり、閑散としている」として、たばこ店、土産物店のシャッターの閉まった写真が掲載されています。その向かい側で深夜12時まで営業している飲食店「風神」「雷門」といったお店(いずれもバル参加店です)や、午後10時まで開いている食品スーパー「成城石井」などを無視したのはなぜでしょうか。




(1)ご指摘の写真は午後8時過ぎに商店街の入り口付近を撮影したものです。例えばご指摘の中にございますスーパーマーケットは、確かに画面の左側にありますが、今回、弊社は観光振興の観点での取材で臨んだ関係上、チェーン展開しているスーパーは、いわゆる日常生活にかかわる施設であり、観光施設や観光用の店舗であるとの認識ではございませんでした。

このため、無視したというよりは、これまで商店街を取り上げた記事の際と同様に、自然に今回のようなアングルになった、とご説明したほうが正しいかと存じます。従ってご例示のような店舗を無視するといった意図もなく、悪意を持って意図的なアングルで撮影したわけではございません。ただし、弊社が「無視した」との疑問を持たれたことについては、真摯に受け止め、今後さらなる注意を払いたいと存じます。



このアングルだと、店を閉めたぷかりこ(原田たばこ店)、横田物産本店(土産物)、福泉堂
(名産店)、銀杏や(喫茶店)ばかりが写り込む。6/2(月)午後9時過ぎに私が撮影

記事で問題になっているのは「飲食店」だ。記事の「暗~い写真」に出ているのは北(手前)から、ぷかりこ(原田たばこ店=閉店)、横田物産本店(土産物=閉店)、福泉堂(名産店=閉店)、銀杏や(喫茶店=閉店)、萬勝堂(和菓子=閉店)、和食屋八寶(和食=開店)、クロカワ(宝石・時計=閉店)、とんかつがんこ(開店)の9ヵ店。2/9が午後8時以降は開店、7/9が閉店していた。開店率は22%だ。しかし飲食店に限ると、2/3が開店している(閉まっているのは喫茶店のみ)。成城石井を外すのなら、最も手前に大写しされている原田たばこ店(日常生活にかかわる施設)も外すべきだったろう。和菓子屋も、仕込みの関係から伝統的に早じまいの業種だ(それは京都でも同じ)。


同じ時間帯、別世界のような上記写真の向かい側。風神(居酒屋)、ととぎん(回転寿司)、
月日亭(日本料理)、うどん亭、成城石井のうち、うどん亭以外は全て開いている

一方、お向かいには風神(居酒屋=開店)、ととぎん(回転寿司=開店)、月日亭(日本料理=開店)、うどん亭(閉店)、成城石井(開店)、雷門(居酒屋=開店)、前田陶器店(閉店)、はぎのや(和食=開店)、なら街横丁(全9ヵ店=開店)の9ヵ店があり、7/9の店が開いている。78%の開店率だ。飲食店に限ると6/7が開いている(閉まっているのはうどん屋のみ)。複合施設の「なら街横丁」は9ヵ店が入っているので、これを加えると14/15(93%)の飲食店が開いている。

読者がバッと見て、どれが飲食店でどれが「日常生活にかかわる施設」(たばこ屋やスーパー)なのかは、分からない。私見では、ざっと右側を撮れば22%の開店率、左側を撮れば78%の開店率であるなら、右側を撮ったほうがインパクトがある。やはりこれは「悪意を持って意図的なアングルで撮影した」と言わざるを得ない。《弊社が「無視した」との疑問を持たれたことについては、真摯に受け止め、今後さらなる注意を払いたいと存じます》というコメントに期待したい。


以下の写真は、6/17(火)に撮影・追加したもの。午後8時52分に撮影スタート!

2)記事では「飲食店の明りも消え」として、近鉄奈良駅周辺では午後8時以降、飲食することも不可能であるかのように記載されています。実際には、東向商店街の飲食店について言えば、午後8時までに閉店する店は、全40店のうち二割以下といわれていますが、このようなデータについて調査された上での記事でしょうか。


雷門(居酒屋)、成城石井、うどん亭、月日亭のうち、閉まっているのはうどん亭のみ

(2)午後8時までに閉店する店が「2割以下といわれている」とのご指摘については、巷間でそのようにいわれているとの認識でのご指摘なのか、あるいは、貴組合でお持ちの独自の調査結果なのか、詳細はわかりかねますし、このデータの原典をご教示いただきたいと存じます。弊社は「2割以下といわれている」とされるデータ自体を持ち合わせておりません。しかしながら、夕刊の記事にもありますように、有識者の懇話会に出席された方が指摘された内容をもとに記載したものです。午後8時以降に一切飲食できない、と弊社が断定したわけではございません。



私が実際に出向き、ざっと調査したところ、東向商店街で午後8時までに閉店するという飲食店は40店中、7店だった(18%)。質問では、このように「調査された上での記事でしょうか」と問うたのだが、回答は「データ自体を持ち合わせておりません」というものだった。調査していないのだからデータがないのは当然だ。本来、報道とは記者が現場に何度も足を運び、確かな事実を積み上げて行くものだったはず。調査ではなく「有識者の懇話会に出席された方が指摘された内容をもとに記載したもの」であり、その事実を報道したので問題はないという理屈で、これは懇話会に責任を転嫁した格好だ。



3)私たちの開催する「まちなかバル」では、第7回について2月21日金曜日の午後8時までにバルメニューを終了する飲食店舗は、ノンアルコールの店など当日参加の62店舗中の7店舗のみでした。バルの開催については、毎回奈良市市政記者クラブに資料を提供してお知らせしていますが、無視されたのは何故でしょうか。

(3)今回の夕刊の記事では「まちなかバル」の件について触れておりませんし、「まちなかバル」の取り組みについて、批判したことはこれまで弊社として一切ございませんが、弊社は平成22年以降、6回にわたり、取り組みや告知に関する記事掲載をしております。

弊社は奈良県内全体を取材エリアとし、奈良市だけでなく多くの読者にニュースを提供している都合上、奈良市の商店街の取り組みだけでなく多くの読者にニュースを提供している都合上、奈良市の商店街の取り組みだけでなく、他地域の取り組みも取材しております。このため紙面では奈良市で実施されている「まちなかバル」の記事が必ずしも大きな掲載となっていない場合があり、これまで弊社紙面での記事掲載をご認識いただいていないかもしれませんが、決して提供していただいた資料を無視しているわけではございません。無視しているとの印象をお持ちであれば大変遺憾で、残念なことではございますが、真摯に受け止めたいと存じます。

また、弊社記者も「まちなかバル」の参加店舗を利用させていただいておりますし、日常でも食事や買い物、会合等で利用させていただいております。さらに一歩踏み込んだ表現をさせていただければ、すでに、まちなかバルの取り組みは、弊社が取り上げるかどうかにかかわらず、かなり定着していると考えております。




質問状では「傍証」として、「まちなかバル」では89%([62-7]÷62×100=89%)の飲食店が午後8時以降も営業している。記事を書く際に、この事実が頭をよぎらなかったのか、と問いかけている。回答は、今回の記事は《「まちなかバル」の件について触れておりません》というもので、話がすれ違っている。末尾の《無視しているとの印象をお持ちであれば大変遺憾で、残念なことではございますが、真摯に受け止めたいと存じます》というコメントに期待したい。

 Lonely Planet Japan
 Lonely Planet
 Lonely Planet Publications Pty Ltd

4)市長の発言とされる「奈良は外国のガイドブックには『3時間で十分』と書かれ、通過する観光地になっている。」という言葉は、記事のタイトルにも使われていますが、この発言の裏付けとなる「ガイドブック」の存在等については、確認されたのでしょうか。もし確認できたのであれば是非ご教示いただきたいと思います。

(4)奈良市長の発言の根拠は、平成18年の「奈良県外国人観光客実態調査結果報告書」に書かれた内容に基づいていると確認しています。報告書では、『ロンリー・プラネット』等には、奈良観光旅行の紹介を滞在3時間程度あれば可能と紹介されており、これを払拭するために観光ルートを紹介した情報発信の取り組みが必要と指摘されています。




ここで初めて正面切っての回答が出て来た。この報告書(P8)には《欧米等で広く販売され読まれている旅行ガイドブック(ロンリープラネット等)は、奈良観光旅行の紹介を滞在3時間程度あれば可能と紹介されている》と出ている。しかし「平成18年」(2006年)とは、ずいぶん古い話を持ち出したものである。今から8年前、平城遷都1300年祭の4年も前のことである。しかも「ロンリープラネット等」という曖昧な書き方である。

私の持っている『Lonely Planet Japan(12版)』(2011年発行)には《Of course, it's preferable to spend two days here if you can》(可能であれば奈良に2日間を費やすことが、もちろん望ましい)と出ている。8年以上も前の「ロンリープラネット等」を根拠に「3時間で十分」を喧伝すべきではない。アップデート版の「2日間が望ましい」を表に出すべきだ。しかも奈良は日本に関する旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(改訂第2版 2011年発行)においても、高く評価されている。



5)「市の担当者は「奈良の街は、頑張って商売しなくても季節を問わず観光客が訪れるからか、『大仏商法』といわれる特殊な環境。・・と話している」と記事にあります。これがどの部署の誰なのかは敢えて問いません。しかし奈良において「季節を問わず観光客が訪れる」のであれば、なぜ多大のエネルギーを費やして8月の「燈花会」や2月の「瑠璃絵」が開催されているのか疑問に思うことはなかったのでしょうか。

(5)市の担当者の発言については、奈良のまちが抱える課題について述べたものであり、「燈花会」などもその解決に向けた取り組みのひとつであると考えております。また、数量的なことは別として、季節を問わず観光客が訪れているということは争いがない事実と考えておりますが、観光客数の多寡と燈花会」「瑠璃絵」の取り組みとの関係につきましては、ご指摘のような「疑問に思わない」かどうかについて、明確な回答ができる資料および判断材料を持ち合わせておりませんので、軽々な意見表明は控えさせていただきます。

記事には《市の担当者は「奈良の街は、頑張って商売しなくても季節を問わず観光客が訪れるからか、『大仏商法』といわれる特殊な環境。店が開いていないから観光客が宿泊しないのか、客が来ないから閉めるのか分からないが、悪循環になっていることは間違いない」と話している》とある。「店が開いていない」という誤解が大前提になっており、こんな悪意に満ちたコメントを市の担当者がしたとは信じ難いし「季節を問わず観光客が訪れる」のなら、今さら観光活性化に取り組む意味はないことになり、矛盾している。

しかもコメント前半の「季節を問わず観光客が訪れる」と後半の「観光客が宿泊しない」の問題は、全く別物だ。たとえ市の担当者がそんなちぐはぐなコメントをしたとしても、矛盾点を突っ込み、きちんと論理的な文章に整理してまとめる上げるのは、記者の仕事のはずだ。回答は、ウラは取っていないが市の担当者のコメントをそのまま載せた、ということに終始している。

新聞は速報性が求められるので、とりあえず当事者が口にしたことは、口にしたという「事実」として、ウラを取ることなく報じてしまう。それは一種の「手抜き」であるが、「速報性を重んじなければならないのでやむを得ない手段」として横行している。しかしこの記事は、5/15に行われた公開の「懇話会」を記者が傍聴・取材したもので、記事になったのは5/28付の夕刊。10日以上もの「余裕」があるのなら、最も手早い「東向商店街飲食店の閉店時間調査」をやる程度の余裕はあったはず(私は1時間でやった)。ここの「手抜き」による「誤報」(駅前8時で真っ暗)が、この記事の致命傷となっている。

6)以上の疑問点を総合してみれば、今回の記事については、記者の方が自ら街の実状や原資料などにあたって調べることをせず、市長以下「識者」などの発言をそのまま鵜呑みにしてセンセーショナルにまとめ上げた記事であるように感じられます。これは報道における「悪い意味での『大仏商法』」ではないかとも思われますが、いかがでしょうか。

(6)今回の夕刊の記事は、あくまでも奈良にゆかりが深い有識者が懇話会の中でどのような発言をし、どのような課題・問題点が挙げられたのかについて明らかにするために取り上げたものです。また、「発言を鵜呑みにして、センセーショナルにまとめ上げた」とのご指摘については、まずはこの懇話会で出た意見、特に課題・問題点を指摘する意見を伝えることが重要であると認識いたしました。このため、弊社が悪意を持って奈良のまちや商店街を貶めようとした意図はまったくございません。むしろ、弊社は基本的にはまちづくりを応援する姿勢で報道していることは過去からも、今後も代わりません。従来弊紙をご講読の皆様であるならば、この点について、ご理解いただけるものと存知します。

聞こえの良い意見だけを聞いてまちづくりができるほど甘いものではないことは、日頃、まちづくりに尽力されている皆様であれば、十分すぎるほど認識されていると推察いたします。今回の夕刊記事について、不愉快に思われる方々がおられることについても、十分理解しておりますし、それは皆様が高い志をお持ちゆえであるからこそと考えております。

一方、一般論として申し述べますが、これまで高い志で、自信を持ってまちづくりに邁進され、「まちなかバル」の取り組み等、他地域に誇れる立派な商店街づくり、まちづくりをされてきたのであるならば、万一、新聞記事が消極的な印象を与えたとしても、わずか1つの記事だけですべてが無になるほどの影響はないのではないでしょうか。そんな簡単に瓦解するようなまちづくりはされていないはずだと考えております




回答に《懇話会で出た意見、特に課題・問題点を指摘する意見を伝えることが重要であると認識いたしました。このため、弊社が悪意を持って奈良のまちや商店街を貶めようとした意図はまったくございません》とあるが、「意図」はなくても、「結果的に」奈良を貶める記事になったことは間違いがない。それはセンセーショナルな見出し《暗~い奈良の夜 花街で照らせ》《駅前8時で真っ暗/泊まる理由ない》《観光都市なのに「大仏商法」》によるところが大である。

また《わずか1つの記事だけですべてが無になるほどの影響はない》とあるが、女子高生の噂話がもとで倒産した信用金庫もある(豊川信用金庫事件)。今回の記事も、ネットニュースはおろか、Twitterや「2ちゃんねる」にも広がり、世界中の津々浦々まで拡散してしまっている。だから「風説の流布」は、恐ろしいのだ。しかもネットニュースのタイトルの多くは「海外ガイドブックに酷評される奈良の『大仏商法』」となっている。奈良市によれば8年以上前のガイドブックに「滞在3時間程度あれば可能と紹介」されたということであり、俗にいう「大仏商法」とは全く無関係だ。このように歪んだイメージが続々と広がっていく…。

今回の回答に一貫しているのは、この記事は「調査報道」ではなく「発表報道」であり、発表元から提供された情報に基づいて忠実に報じた、という主張だ。しかし、それなら他紙も同じような論調の記事を書きそうなものだが、決してそうなっていない。私見では、奈良のことをあまりよく知らない記者の主観により、このような悪意に充ち満ちた記事にまとめた、ということなのだろう。


午後9時19分、撮影終了!(6/17)

以上、大変失礼な質問であろうかと思いますが、奈良の観光・経済に対する「風評被害」を防止する意味でも、敢えて問わせていただきます。よろしくご賢察下さい。

今回は閉店時間についての認識ばかりがクローズアップされておりますが、弊社としては本来、単に閉店時間だけでなく、例えば、夜の飲食店舗の利用者が観光客なのか、地元の皆様なのか、奈良の特産・名物料理が提供されているのか、といった観点も加味して考えなければならないと考えます。また、夜間だけでなく、昼間に営業されている店舗を含め、国内指折りの観光地の玄関口にふさわしい商店街づくり、まちづくりの在り方を探るために、商店街関係者のご助言もいただきながら、商店街の店舗構成(チェーン店なのか、奈良の地元の店なのか等)や提供されているサービス等を検証するとともに、観光客や利用者の意見や感想、印象を取材しなければならないと考えており、いつまでにといったお約束はできませんが、奈良市の懇話会で持ちあがった問題点については、弊社としても今後の取材の課題としているところでございます。

そして、観光客にとって、奈良県随一の観光の玄関口としていかに満足してもらえる中身にするかが、最重要な課題であることは商店街関係者の皆様もご認識のことと存じます。風評にかかわることにつきましては、志賀直哉の随筆の一部が抜き出され、一部で曲解されて、「奈良にうまいものなし」という、偏見を助長するような悪い決まり文句がいまだに延々と語られているように、ある印象が、意図するかどうがは別に、拡散することの怖さについては弊社としても不知なことではございません。今回の「8時で閉まる」との話については、奈良市の懇話会関係者だけでなく、複数の奈良県民の方々からなかば決まり文句のように聞いた経験がございます。これらは奈良の皆様の謙遜でもあるのでしょうが、表現について細心の注意が必要であることは論をまたないことは承知しております。

最後になりますが、弊社としては、夕刊記事で誤解を与えかねない表現があった、とのご指摘は真摯に受け止めますとともに、取材手法に関するご教示についても参考とさせていただきます。今後も奈良のまちづくりについて取材を進める所存であり、その過程では、良い面だけでなく、課題や問題点についても弊紙を通じて報道するべきだと考えております。どうぞご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


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 東洋経済新報社

最後になって、前向きな提案が出て来た。《夜の飲食店舗の利用者が観光客なのか、地元の皆様なのか、奈良の特産・名物料理が提供されているのか、といった観点も加味して考えなければならないと考えます》《商店街の店舗構成(チェーン店なのか、奈良の地元の店なのか等)や提供されているサービス等を検証するとともに、観光客や利用者の意見や感想、印象を取材しなければならないと考えており、いつまでにといったお約束はできませんが、奈良市の懇話会で持ちあがった問題点については、弊社としても今後の取材の課題としているところでございます》。

奈良市の懇話会では、それが終わったあとにどのように展開していくのかの道筋はまだ示されていない。これまで奈良には志賀直哉の「奈良にうまいものなし」(昭和13年の随筆!)を筆頭に、根拠のない誹謗があっても「言挙げしない」という悪しき風潮があった。今回、商店街などが「公開質問状」を出したのは意義のあることだし、おかげで新聞社からも《夕刊記事で誤解を与えかねない表現があった、とのご指摘は真摯に受け止めます》との回答も引き出せた。記者も、少しは反省していることだろう。

今回の記事を奇貨として、地元商店街は《商店街の店舗構成や提供されているサービス等を検証するとともに、観光客や利用者の意見や感想、印象》を調査し、対策を講じ、夜遅くまで地元民と観光客が交流でき、「しっとり飲める」奈良にふさわしい夜の街を作り上げていくべきではないだろうか。


(6/16追記)上記を紹介した私のFacebookに、たくさんのコメントをいただいた。
K田さん:私は、どう読んでも、「言い訳」としか見えませんでした。
W田さん:う~ん。何だか苦しい回答ですね
Gさん:《わずか1つの記事だけですべてが無になるほどの影響はないのではないでしょうか。そんな簡単に瓦解するようなまちづくりはされていないはずだと考えております》。喧嘩を売っているようにしか感じなかったです…「8時に終わる商店街」と巷では言われているがそうではない!というような「真実」を公にしてくれる媒体になってくれることを新聞に望みます。今回の記事で「あぁやっぱり早く終わる町なんだー」と皆さんの記憶に上書きされてしまったことが なにより残念。
W林さん:素直になれないのかな! 一度書いた記事はどんなことがあっても正当化する 言い訳をする 単純に再調査して結果を正しく記事にしてほしいと思うけど
U野さん:物事、善いようにとれば この記事が起爆剤になって官民、意見をぶつけ合い奈良の町が京都と違う方向で進展する事を期待します!(部外者のつぶやきです、すみません)


(6/16追記)奈良市中心市街地活性化研究会のFacebookに、同会のメンバーが冷静にコメントを寄せておられたので、以下に紹介する。
■「お答え」の中には《「8時に店が閉まる」との話については、奈良市の懇話会関係者だけでなく、複数の奈良県民の方々からなかば決まり文句のように聞いた経験がございます》という文もある。これも大事な問題ですね。
■地元民の中には、大阪志向のあまりか何か、地元の奈良をくさすことが、自分の価値が上がるように勘違いしてる人もいるのは確かですね。良く言われる「奈良の人間が奈良の良さを知らない」というのもそれに近いかもしれない。
■「お答え」の中に《夜の飲食店舗の利用者が観光客なのか、地元の皆様なのか》という文言がありますが、これ重要な問題ですね。まちなかバルでは、当初「観光むけ」で始めたけど、「やはり地元の人間が店を知らないと観光客にも紹介できない」と。
■要するに、地元の人間が「奈良にうまいものなし」を認めてしまってるようでは、お話にならんだろうと。「名物料理」はともかくとして、地元の飲食店の良さを地元の人間がしっかり認識するのが先決で、その上で観光客に紹介するようでないとダメと。
■懇話会の参加者として記事で話をしている山口近鉄会長や絹谷画伯とかは、どっちかといえば「地元の皆様」なんですよね。決して観光客の立場から意見を言ってるわけじゃないということも、押さえておく必要がある。


(7/6追記)奈良市中心市街地活性化研究会のFacebookに書かれたコメントを紹介する。
■昨日(7/4)午後、私ども奈良市中心市街地活性化研究会のメンバー3名で、産経新聞奈良支局をお訪ねし、田中支局長様と意見交換をさせていただきました。中活研からは、東向・小西・餅飯殿の3商店街の飲食店データ、2月のまちなかバル参加飲食店のデータをお渡ししました。
■意見交換では、田中支局長から記事の意図として「元林院懇話会」の出席者の発言を伝えておく必要があると考えたこと、中活研側からは地元よりもネットでの拡散による影響の方が大きいことなどが出されました。その他、奈良の観光・商業の課題についてそれぞれの認識が交換されました。
■中活研・まちづくり奈良がこれまで進めてきている「あるくん奈良スタンプラリー」「まちなかバル」では、契機として観光客対応もありますが、むしろ「地元市民と観光客がともに楽しむ」イベントとして進めてきていることなども懇談の中でお伝えできたのではないかと思います。


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