tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良県は、外部の評価は高く 内部の評価は低い!(博報堂ブランド力調査)

2014年06月18日 | 奈良にこだわる
先週の水曜日(6/11)、京都の大手広告代理店のT社長から、「こんな調査結果が出ていますよ」と、博報堂のニュースを頂戴した。概要がマイナビニュースに出ている。タイトルは《博報堂、都道府県のブランド力調査の結果を発表》だ。奈良県は、外部(県外に住む人)からの評価は高いのに、内部(県内に住む人)からの評価は低いとして、結果の分析まで掲載されている。
※トップ画像は、博報堂が作成したグラフを私が勝手に簡略化したもの。詳細=下記

博報堂の博報堂ブランドデザインとテーマビジネス開発局は5月19日、ブランディング・パッケージ「LoCoBra」の考え方に基づき実施した「"属"ブランド力調査」の分析結果を発表した。「LoCoBra」は、ブランドづくりに必要な3つの要素「志」「形」「属」の観点から地域社会のブランディングを支援するもの。

「志」は、ブランドを通じて実現したいこと、社会的意義、目指すべき将来像やビジョン、「形」はブランドの個性、スタイル、独自性を象徴するもの(名称、シンボル、商品、サービスなど)、「属」はブランドのもとに集まる仲間、ブランドを応援するサポーターやコミュニティ。今回の調査は、3つの要素のうち、ブランディングに最も重要な「属」に注目して実施された。

同調査では、「自分の都道府県には、自分の都道府県を愛している人が多いと思うか」など5つの視点からの質問に対し、それぞれ「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方の割合の平均値によって、各都道府県における「属」のポテンシャルを明らかにしている。

さらに、各都道府県に対し、県内に住む人(以降、内部)と県外に住む人(以降、外部)の評価をそれぞれ集計するとともに、生活者が各都道府県の属を評価する理由も自由回答で抽出している。


内部評価と外部評価の差に注目したところ、47都道府県中31県で、内部評価よりも外部評価が上回り、内部である県内の住民を中心とした属を高めることで、ブランド強化の可能性があることがわかった。同調査では、内部評価と外部評価の差がある都道府県のうち、特徴がうかがえるものとして、福岡県、奈良県を挙げ、結果を分析している。

福岡県は、外部よりも内部から属を高く評価されていた。その理由について、「住むことで初めてわかる住環境の絶妙なバランスが日本屈指の住みやすさを生み出し、結果として、福岡県では外部よりも内部の属の評価の方が高い結果となっている」としている。福岡県は、高く評価している内部の属を起点としながら、属の外部評価を高めることで、ブランド力を高められる可能性があるという。

奈良県は、内部よりも外部から属を評価されており、まずは住民をエンパワメントとし、属の内部評価を高めることが、後に属の外部評価につながり、ブランド力が高められる可能性があると指摘している。


最後の奈良県に関する部分は、博報堂のプレスリリース(PDF)に詳しく出ているので抜粋して紹介すると、

【奈良県】内部・外部のどちらからも観光地として県外のファンが多いとされていたものの、内部・外部評価ともに住民の郷土愛が強いという声は少なく、内部よりも外部評価が高い結果に。

奈良県は、内部よりも外部から属を評価されていました。評価理由をみると、外部・内部評価ともに、観光地としての奈良県を評価し、県外のファンが多いという声が目立ちました。しかし、住民の郷土愛が強いという声は少なく、内部評価の回答をみると、どこか否定的なニュアンスが含まれている声もあり、内部から属があまり評価されていませんでした。

その結果として、内部よりも外部の属の評価の方が高い結果になっていることが分かりました。奈良県は、まずは住民をエンパワメントとし、属の内部評価を高めることが、後に属の外部評価につながり、ブランド力が高められる可能性があると言えます。

<外部評価の自由回答> ※一部抜粋
・歴史遺産は、魅力的である。(男性、63歳)
・神社、仏閣が売りなのでそういうのが好きな人や観光客が本当多いなと思います。(女性、22歳)
・寺マニアは京都ではなく奈良。(女性、35歳)

<内部評価の自由回答> ※一部抜粋
・寺社仏閣、古墳に鹿と考古学的には魅力的だと思うから。(女性、41歳)
・歴史的な遺産が多いこと、また観光客が多いこと。一方で、住民は大阪や京都への憧れを持っていることは否めない。(男性、23歳)
・一応は日本の歴史を語る上で欠かせない観光地が多いから。(女性、29歳)

「奈良県」に対する評価は、奈良県民の自己評価は低く、県外人からの評価が高い。まずは県民を啓蒙(エンパワメント)して、県民の自己評価を高める。それが県外からの評価をさらに高めることにつながり、結果、「奈良県」のブランド力が一層高まる。このような好循環を作り出さねばならない、と博報堂は指摘しているのだ。

私も日頃からうすうす感じていたことが、ズバリ、統計数字となって示され、思わず膝を打った。「奈良にうまいものなし」という言葉にしても、志賀直哉が広めたのではなく、「県民が謙遜して言った言葉が広がってしまった」(故 田中敏子氏 元 若羽学園理事長)ということだ。それが今では、県民が平気で「奈良にうまいものはない」と口にし、私はいつも苦々しく思っている(先日、さんまの番組で訴えた)。

先日来、産経新聞夕刊(5/28付)が《暗~い奈良の夜 花街で照らせ》《駅前8時で真っ暗/泊まる理由ない》《観光都市なのに「大仏商法」》と報じたことに対し、地元の「奈良市東向商店街協同組合」と「奈良市中心市街地活性化研究会」が連名で公開質問状を出し、その「お答え」(回答)をめぐり話題になっているが、当の奈良市中心市街地活性化研究会が、Facebookにこんなコメントを寄せておられた。

(産経新聞の)「お答え」の中に「夜の飲食店舗の利用者が観光客なのか、地元の皆様なのか、」という文言がありますが、これ重要な問題ですね。まちなかバルでは、当初「観光むけ」で始めたけど、「やはり地元の人間が店を知らないと観光客にも紹介できない」と。

地元の人間が「奈良にうまいものなし」を認めてしまってるようでは、お話にならんだろうと。「名物料理」はともかくとして、地元の飲食店の良さを地元の人間がしっかり認識するのが先決で、その上で観光客に紹介するようでないとダメと。

「お答え」の中には《「8時に店が閉まる」との話については、奈良市の懇話会関係者だけでなく、複数の奈良県民の方々からなかば決まり文句のように聞いた経験がございます》という文もある。これも大事な問題ですね。

地元民の中には、大阪志向のあまりか何か、地元の奈良をくさすことが、自分の価値が上がるように勘違いしてる人もいるのは確かですね。よく言われる「奈良の人間が奈良の良さを知らない」というのもそれに近いかもしれない。

この《地元の人間が「奈良にうまいものなし」を認めてしまってる》《地元の飲食店の良さを地元の人間がしっかり認識するのが先決》《地元の奈良をくさすことが、自分の価値が上がるように勘違いしてる人もいる》《奈良の人間が奈良の良さを知らない》という指摘は重要だ。県外出身の私は奈良へ移り住んだ当初(1978年)、そんな傾向を感じて「何でそんなに自虐的になるのだろう、ズコい所なのに」と思ったことがある。どうも県民は体温(意識)が低い。リニアだって、もっと頑張らないと京都に持って行かれてしまう。

博報堂の調査は、奈良県民の「自虐」「卑下」(自県に対する)「理解不足」を鮮明にし、一方で県外者が奈良の魅力(歴史的遺産・史跡、神社・仏閣など)を高く評価してくれている。

日本へ来る外国人観光客からは、「京都には行ったが、次に行くときはどこに行けば良いのか、よく分からない」という声を聞く。県民が自信を持って「ぜひ、この素晴らしい奈良へ来て下さい!」と言えるよう、意識を変えていただきたいものだ。

T社長、貴重な情報のご提供、有難うございました!
コメント (5)
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