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狛犬に感じる歴史(御所市・鴨都波神社)/毎日新聞「ディスカバー!奈良」第58回

2018年03月26日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
毎日新聞奈良版に毎週木曜日に連載している「ディスカバー!奈良」、3月15日付で掲載(3/22は休載)されたのは「狛犬に感じる歴史 御所市の鴨都波神社」、筆者は田原敏明さん。広島県のご出身で、今は生駒市にお住まいである。田原さんは葛城地方にとてもお詳しい。
※トップ写真は、拝殿前の狛犬

御所市の鴨都波(かもつば)神社は、国道24号沿いにある御所市の古社だ。秋季大祭宵宮(体育の日の前々日)の「ススキ提灯献灯行事」がよく知られている。先日は取材のため宮司の松本廣澄さんをお訪ねし、丁寧にご説明いただいた。今回は狛犬の話で、私は全く気づかなかった。では記事全文を紹介する。

今年は戌(いぬ)年。神社にお参りをすると狛犬(こまいぬ)に目が留まります。JR・近鉄御所駅近くに古代豪族の鴨族が崇拝した鴨都波神社があります。東参道入り口で対座している狛犬は、どちらも口を開いた阿形(あぎょう)同士です。


東参道入り口の狛犬

「なんで~?」。あんぐりと見つめる自分の口も思わず阿形になります。宮司さんによると、戦前までは銅製の狛犬でしたが、戦時中に供出され戻ってきませんでした。戦後の復興時、他所で探し求めて新たに設置されたそうです。
 
また、拝殿前には阿吽(あうん)一対の狛犬が鎮座しており、台座に「初嵐」「京亀」と彫られています。明治時代に当地で勢力を持った「初嵐」と呼ばれた侠客(きょうかく)とその夫人が奉納した狛犬だそうです。静寂な境内で耳を澄ますと、時折吹き抜ける風が仲間を呼ぶ遠ぼえのようにも感じます。

メモ:JR・近鉄御所駅より国道24号線沿いに南へ徒歩10分(奈良まほろばソムリエの会 田原敏明)。

侠客「初嵐」の墓は眞龍寺(しんりゅうじ 御所市本町)にある。検索すると、ブログ「相撲の史跡・好角土俵」がヒットした。引用すると、

御所市本町の眞龍寺に河内国柏原出身の侠客初嵐こと今田丑松夫妻の碑(大正六年十月建)があり、玉垣に大阪相撲協会の刻銘がある。墓域には初嵐が世話になったという〆の森(明治十四年八月廿一日)や二代初嵐こと南口利造などの墓もある。

鴨津波神社の狛犬は、向かって右が初嵐、左が京亀の奉納(明治三十四年六月)。当麻相撲館所蔵の番付に高田、五條、吉野などで興行された番付(大正末から昭和の初め)があるが、それらに総理今田丑松とか、後見今田丑松の名を見る。


察するに、初嵐は相当影響力のある侠客だったようだ。田原さん、貴重なお話、ありがとうございました!

コメント
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