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奈良国立博物館で「糸のみほとけ」特別展/8月26日(日)まで!(2018 Topic)

2018年07月14日 | お知らせ
いよいよ今日(7/14)から、奈良国立博物館で「糸のみほとけ―国宝綴織(つづれおり)当麻曼荼羅(たいままんだら)と繍仏(しゅうぶつ)」展が始まった。早速拝観したという会社の先輩のMさんは「素晴らしい展示だった」とのこと。読売新聞奈良版「細やかに織り上げた信仰」(7/14付)によると、

奈良博 綴織當麻曼荼羅など138点

織物や刺しゅうによる曼荼羅(まんだら)など138点を集めた特別展「糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏―」が14日、奈良市の奈良国立博物館で始まる。前後期合わせて国宝9点、重要文化財35点が展示される。8月26日まで。

国宝「綴織當麻曼荼羅」(8世紀)は葛城市の当麻寺本尊の秘仏で、中将姫が一夜にして織り上げたと伝わる。傷みがひどかったために2014~17年度に修理。修理後、初公開となる。中央に阿弥陀あみだ三尊を中心とした浄土図などが約4メートル四方に織られており、その規模に圧倒される。袈裟(けさ)などに赤色がきれいに残る国宝「刺繍ししゅう釈迦如来説法図」(8世紀、奈良博蔵)は釈迦の左右に14人の菩薩ぼさつ、上下に飛天や僧侶らが囲み、刺しゅうの技で釈迦らの頬の丸みなどを巧みに表現した。

開館時間は原則午前9時半~午後6時。月曜休館(16日と8月13日は開館)。一般1500円、高校・大学生1000円、小中学生500円。問い合わせは、ハローダイヤル(050・5542・8600)。


これについて、生駒市在住の編集者・ライターの加藤なほさんが、見事なレポートをご自身のFacebookに公開された。紹介すると、

刺繍の仏像を繍仏(しゅうぶつ)といいます。推古天皇は、法興寺(飛鳥寺)に銅造と刺繍の丈六仏の造立を鞍作鳥(くらつくりのとり)に命じ、推古天皇十四年(606)年に完成したと伝え、これが日本で最初に確認できる造像活動であるといいます。残念ながら最初の繍仏は失われていますが、中宮寺に伝わる飛鳥時代の国宝・天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)は展示されていましたよ。

奈良時代は、東大寺大仏殿に巨大繍仏が掛けられていたといいます。それも高さが十六メートルもあったとか。今の大仏さまと変わらない大きさだったことに驚きです(今は見られません)。そしてタイトルにもなっている當麻寺の国宝・綴織 當麻曼荼羅は、古代における「糸のみほとけ」の偉容を伝える大作として、今回の目玉になっています。じっくり拝ませて頂きました。

あとは、個人的に気になったのが鎌倉時代以降にみられる髪繍についてです。初期の例では『玉葉』に藤原良通に関して、遺髪を以て阿弥陀種子を繍ったという記述があります。このことは故人(髪の持ち主)の往生を祈願し、礼拝の対象、つまり仏と同体とみなしていたことがわかるそうです。思わず手を合わせたくなりました。

「名画の残欠が美しいように美しい」と志賀直哉が随筆『奈良』で奈良についてそう書いていましたが、信仰としての繍仏は、仏さまであり芸術的であり、残欠すら美しく感じられました。繍仏には、緻密な手仕事が感じられます。ルーペ持参がいいかもしれません。


うーん、これはぜひ拝観しないと…。皆さん、これはお薦めですよ~。
コメント (2)
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