週刊観光経済新聞(7/7付)に《外国人留学生雇用「本音トーク」湯川屋(奈良県吉野山)、ネパール人留学生と リクルートファイナンスパートナーズ》という囲み記事が出ていた。
※トップ写真は、リクルートファイナンスパートナーズのホームページから拝借
「吉野荘 湯川屋」(吉野町吉野山440)には、泊めていただいたことがある(ブログ記事は、こちら)。吉野山で最古の旅館で、料理もおもてなしも素晴らしい「あたたかみのある宿」である。ここで働いているネパール人留学生へのインタビュー記事が掲載されていたのだ。以下、全文を紹介する。
「理解を深める会」をきっかけに採用
「積極性高い。職場も明るく」山本さん
リクルートファイナンスパートナーズはこのほど、2月14日に奈良県吉野山で開催した、宿泊施設のインバウンドヘの取り組み支援として施設と外国人留学生が交流するイベント「理解を深める会」をきっかけに、実際に働くこととなった留学生の様子を見に吉野山を訪問した。湯川屋館主の山本義史さんと3月から働き始めたネパール出身のマルラ・ラビンドラ・ラズさんと本音トークを行った。
―「理解を深める会」へなぜ参加したのか。
山本(義史さん) 若旦那(山本義樹さん)から宿泊施設で外国人スタッフが熱心に働く様子を聞いており、会ってみようと思った。
ラズ 日本のおもてなしは世界一と聞き興味をもった。世界遺産もあり、海外客が増えて英語を生かせる仕事があると感じた。
―採用(入社)の決め手は。
山本 お客さま第一の考え方の合致と人に愛される笑顔だ。
ラズ 家族として受け入れてもらえる印象から。
―研修や教育は。
山本 特別なことはしていない。積極的に質問してくれている。
―仕事内容は。
山本 訪日対応として外国人客の通訳や説明を中心に。体験談を交え、積極的に説明してくれている。
―大変なことは。
山本 おもてなしとして、どのタイミングで言葉を使うかを教えること。
ラズ 吉野山や地域の説明で知らないことがまだ多い。自分が体験したことを説明すると喜んでもらえるし、もっと学びたい。
―日本にいつまで。
ラズ 旅館には日本の文化を感じる。ずっと日本で、湯川屋で働きたい。
湯川屋さんは、JTB西日本の「2010年度サービス優秀旅館・ホテル」に選ばれたことがある(939館中から1館が選ばれる)。ラズさんは良い旅館を選択されたのだ。末尾の「ずっと日本で、湯川屋で働きたい」は、本音だろう。このような格好で外国人従業員を受け入れ、インバウンド対応に活躍してもらうことは、まさにWin-Winの関係だ。
ラズさんが働く契機となった「理解を深める会」については、リクルートファイナンスパートナーズのHPに詳しい記事が出ていた。引用すると、
リクルート、宿泊施設とインバウンド対応について考える
ー宿泊施設と外国人留学生の「理解を深める会」を奈良県吉野山で開催ー
2018.2.21
株式会社リクルートファイナンスパートナーズ(本社:東京都中央区、代表取締役:小川安英、以下「リクルート」)が運営を行う会員制の「パートナーズクラブ」は、さまざまなサービス、情報の提供を通して経営の課題解決サポートを行なっております。この度、宿泊施設における課題の一つでもある「インバウンド」への取り組みとして、訪日外国人へのおもてなしを考える宿泊施設と、おもてなしを学び日本で働きたいと考える外国人留学生の「理解を深める会」を開催。相互理解はもちろん、共に働く可能性も感じられる活動となりましたことをご報告させていただきます。
1. 増える訪日外国人と宿泊業の抱える課題
JNTOの発表によれば、2017年の訪日外国人数は前年比19.3%の増加、JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最多となりました。2016年の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では、2020年に4,000万人の訪日外国人、8兆円の消費を目指すという目標も掲げられ、海外からのお客さまを受け入れる体制整備は一地域の話ではなく、全国の宿泊施設で考えなければならない課題となりつつあります。
じゃらんリサーチセンターが訪日外国人に行った調査によると、訪日旅行でよくなかったとされるサービス上位10項目のうち、6項目が「言語対応」に関わるものでした。
こうした課題に対して、語学の問題だけでなく、文化や風習への対応といった面からすでに外国人を採用し、訪日外国人へのおもてなしを強化する宿泊施設も増えています。とはいえ、外国人採用に関心はあっても採用ルートがない、雇用方法が分からない、言葉や文化の違いに不安がある、といった理由で、外国人採用に踏み出せない宿泊施設が多くあるのも事実です。
2. 「理解を深める会」概要
インバウンドへの取り組み第一弾の場となったのは、奈良県吉野山。世界遺産の金峯山寺も近く、日本有数の桜の名所として訪日外国人も多く訪れる場所です。参加した留学生は、日本の専門学校でホテルビジネスや旅行業、ホスピタリティについて学び、日本での就職を希望しています。当日は4施設と15名の留学生が参加し、質問会や施設訪問を通じて相互理解を深めました。
●開催日時 :2018年2月14日(水)13:00〜17:30
●開催場所 :奈良県吉野山 ビジターセンター
●開催内容
「吉野山」という地域を知る
まず、地域を知ってもらうために吉野山の紹介が行われました。1300年以上も歴史を持つ由緒ある観光地であること、吉野熊野国立公園としてユネスコ世界文化遺産に認定されていることなど、吉野山に関する情報に留学生は真剣に耳を傾けていました。
「お互い」への理解を深める
宿泊施設ごとに個別ブースを設置し、質疑応答を行いました。留学生からは仕事内容や勤務条件などの具体的な質問が寄せられ、施設側は、留学生の日本語力だけでなくやる気や熱意を感じるなど、お互いを知る場となりました。
「働く場所」となる施設を知る
今回参加いただいた施設を全員で見学しました。各施設担当が付き添い、客室や入浴施設、庭園などを細かく説明。1000年以上の歴史を持つ由緒ある施設の迫力に圧倒されたり、吉野山を見渡す絶景に感動したり、留学生にとって新鮮な経験となりました。
3. 参加者の声と今後の活動
今回の「理解を深める会」はパートナーズクラブとして初の試みでしたが、複数の施設から採用を前向きに考えたい、留学生からも実際に吉野山で働きたいという声が挙がり、「インバウンド」への取り組みの可能性を感じています。
吉野荘湯川屋 代表 山本義史さん
正直なところ、採用会に参加するまでは外国人と働くことはイメージできなかったんです。ですが、留学生と接して、その考えは変わりました。とても熱心かつまじめで、「サービスを学びたい」「おもてなしの心を身につけたい」と真摯な思いを持っていることが伝わりました。当館でも外国人旅行者は増えつつあり、メール対応、SNSでの発信など、インバウンド需要の対策に向けて、外国人留学生の方に力を発揮してもらえればと思っています。
ネパール出身 マルラ ラビンドラ ラズさん
留学先に日本を選んだのは、安全できれいで、山が多く母国の景色と似ていること、文化を大切にする心も素晴らしいと思ったからです。加えて、大手ホテルグループの日本ブランチで正社員として働く方から、「日本のおもてなし」は世界レベルだと聞き、日本でサービスやホスピタリティを身につけたいと希望しています。今回、伝統的な宿を見学でき、とても興奮しました。また、日本で働きたいという自分の思いを伝えることができ、うれしかったです。
▼当日の様子や参加者の声は「パートナーズクラブのWebサイト」にてご確認いただけます。
うーん、なるほど。これは良い企画だ。訪日外国人観光客の増加で、宿泊施設は人手不足に陥っている。今朝(7/13)の奈良新聞にも「外国人材受け入れで説明会 人手不足で経産省」という記事が出ていた。
人手不足を埋め、かつ外国語対応のできる外国人スタッフがいれば、これほど心強いことはない。旅館の比率が高い奈良県にあって、「旅館には日本の文化を感じる」というコメントはとても嬉しい。この流れが、インバウンドの波に乗って広がって行くことを大いに期待したい。
※トップ写真は、リクルートファイナンスパートナーズのホームページから拝借
「吉野荘 湯川屋」(吉野町吉野山440)には、泊めていただいたことがある(ブログ記事は、こちら)。吉野山で最古の旅館で、料理もおもてなしも素晴らしい「あたたかみのある宿」である。ここで働いているネパール人留学生へのインタビュー記事が掲載されていたのだ。以下、全文を紹介する。
「理解を深める会」をきっかけに採用
「積極性高い。職場も明るく」山本さん
リクルートファイナンスパートナーズはこのほど、2月14日に奈良県吉野山で開催した、宿泊施設のインバウンドヘの取り組み支援として施設と外国人留学生が交流するイベント「理解を深める会」をきっかけに、実際に働くこととなった留学生の様子を見に吉野山を訪問した。湯川屋館主の山本義史さんと3月から働き始めたネパール出身のマルラ・ラビンドラ・ラズさんと本音トークを行った。
―「理解を深める会」へなぜ参加したのか。
山本(義史さん) 若旦那(山本義樹さん)から宿泊施設で外国人スタッフが熱心に働く様子を聞いており、会ってみようと思った。
ラズ 日本のおもてなしは世界一と聞き興味をもった。世界遺産もあり、海外客が増えて英語を生かせる仕事があると感じた。
―採用(入社)の決め手は。
山本 お客さま第一の考え方の合致と人に愛される笑顔だ。
ラズ 家族として受け入れてもらえる印象から。
―研修や教育は。
山本 特別なことはしていない。積極的に質問してくれている。
―仕事内容は。
山本 訪日対応として外国人客の通訳や説明を中心に。体験談を交え、積極的に説明してくれている。
―大変なことは。
山本 おもてなしとして、どのタイミングで言葉を使うかを教えること。
ラズ 吉野山や地域の説明で知らないことがまだ多い。自分が体験したことを説明すると喜んでもらえるし、もっと学びたい。
―日本にいつまで。
ラズ 旅館には日本の文化を感じる。ずっと日本で、湯川屋で働きたい。
湯川屋さんは、JTB西日本の「2010年度サービス優秀旅館・ホテル」に選ばれたことがある(939館中から1館が選ばれる)。ラズさんは良い旅館を選択されたのだ。末尾の「ずっと日本で、湯川屋で働きたい」は、本音だろう。このような格好で外国人従業員を受け入れ、インバウンド対応に活躍してもらうことは、まさにWin-Winの関係だ。
ラズさんが働く契機となった「理解を深める会」については、リクルートファイナンスパートナーズのHPに詳しい記事が出ていた。引用すると、
リクルート、宿泊施設とインバウンド対応について考える
ー宿泊施設と外国人留学生の「理解を深める会」を奈良県吉野山で開催ー
2018.2.21
株式会社リクルートファイナンスパートナーズ(本社:東京都中央区、代表取締役:小川安英、以下「リクルート」)が運営を行う会員制の「パートナーズクラブ」は、さまざまなサービス、情報の提供を通して経営の課題解決サポートを行なっております。この度、宿泊施設における課題の一つでもある「インバウンド」への取り組みとして、訪日外国人へのおもてなしを考える宿泊施設と、おもてなしを学び日本で働きたいと考える外国人留学生の「理解を深める会」を開催。相互理解はもちろん、共に働く可能性も感じられる活動となりましたことをご報告させていただきます。
1. 増える訪日外国人と宿泊業の抱える課題
JNTOの発表によれば、2017年の訪日外国人数は前年比19.3%の増加、JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最多となりました。2016年の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では、2020年に4,000万人の訪日外国人、8兆円の消費を目指すという目標も掲げられ、海外からのお客さまを受け入れる体制整備は一地域の話ではなく、全国の宿泊施設で考えなければならない課題となりつつあります。
じゃらんリサーチセンターが訪日外国人に行った調査によると、訪日旅行でよくなかったとされるサービス上位10項目のうち、6項目が「言語対応」に関わるものでした。
こうした課題に対して、語学の問題だけでなく、文化や風習への対応といった面からすでに外国人を採用し、訪日外国人へのおもてなしを強化する宿泊施設も増えています。とはいえ、外国人採用に関心はあっても採用ルートがない、雇用方法が分からない、言葉や文化の違いに不安がある、といった理由で、外国人採用に踏み出せない宿泊施設が多くあるのも事実です。
2. 「理解を深める会」概要
インバウンドへの取り組み第一弾の場となったのは、奈良県吉野山。世界遺産の金峯山寺も近く、日本有数の桜の名所として訪日外国人も多く訪れる場所です。参加した留学生は、日本の専門学校でホテルビジネスや旅行業、ホスピタリティについて学び、日本での就職を希望しています。当日は4施設と15名の留学生が参加し、質問会や施設訪問を通じて相互理解を深めました。
●開催日時 :2018年2月14日(水)13:00〜17:30
●開催場所 :奈良県吉野山 ビジターセンター
●開催内容
「吉野山」という地域を知る
まず、地域を知ってもらうために吉野山の紹介が行われました。1300年以上も歴史を持つ由緒ある観光地であること、吉野熊野国立公園としてユネスコ世界文化遺産に認定されていることなど、吉野山に関する情報に留学生は真剣に耳を傾けていました。
「お互い」への理解を深める
宿泊施設ごとに個別ブースを設置し、質疑応答を行いました。留学生からは仕事内容や勤務条件などの具体的な質問が寄せられ、施設側は、留学生の日本語力だけでなくやる気や熱意を感じるなど、お互いを知る場となりました。
「働く場所」となる施設を知る
今回参加いただいた施設を全員で見学しました。各施設担当が付き添い、客室や入浴施設、庭園などを細かく説明。1000年以上の歴史を持つ由緒ある施設の迫力に圧倒されたり、吉野山を見渡す絶景に感動したり、留学生にとって新鮮な経験となりました。
3. 参加者の声と今後の活動
今回の「理解を深める会」はパートナーズクラブとして初の試みでしたが、複数の施設から採用を前向きに考えたい、留学生からも実際に吉野山で働きたいという声が挙がり、「インバウンド」への取り組みの可能性を感じています。
吉野荘湯川屋 代表 山本義史さん
正直なところ、採用会に参加するまでは外国人と働くことはイメージできなかったんです。ですが、留学生と接して、その考えは変わりました。とても熱心かつまじめで、「サービスを学びたい」「おもてなしの心を身につけたい」と真摯な思いを持っていることが伝わりました。当館でも外国人旅行者は増えつつあり、メール対応、SNSでの発信など、インバウンド需要の対策に向けて、外国人留学生の方に力を発揮してもらえればと思っています。
ネパール出身 マルラ ラビンドラ ラズさん
留学先に日本を選んだのは、安全できれいで、山が多く母国の景色と似ていること、文化を大切にする心も素晴らしいと思ったからです。加えて、大手ホテルグループの日本ブランチで正社員として働く方から、「日本のおもてなし」は世界レベルだと聞き、日本でサービスやホスピタリティを身につけたいと希望しています。今回、伝統的な宿を見学でき、とても興奮しました。また、日本で働きたいという自分の思いを伝えることができ、うれしかったです。
▼当日の様子や参加者の声は「パートナーズクラブのWebサイト」にてご確認いただけます。
うーん、なるほど。これは良い企画だ。訪日外国人観光客の増加で、宿泊施設は人手不足に陥っている。今朝(7/13)の奈良新聞にも「外国人材受け入れで説明会 人手不足で経産省」という記事が出ていた。
人手不足を埋め、かつ外国語対応のできる外国人スタッフがいれば、これほど心強いことはない。旅館の比率が高い奈良県にあって、「旅館には日本の文化を感じる」というコメントはとても嬉しい。この流れが、インバウンドの波に乗って広がって行くことを大いに期待したい。