tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

山里料理で、春を満喫!田舎茶屋 千恵(桜井市高家[たいえ])

2023年05月08日 | グルメガイド
2011年10月に『ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良 2012』が刊行されて、初めて奈良県内の店(25ヵ店)が星を獲得した。その時、1つ星店に「田舎茶屋 千恵」(桜井市高家)がリストアップされていた。「古民家で、おばあちゃんがひっそりと営む店」と聞いていたので心引かれたが、桜井駅から遠かったので(「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」より、まだ南へ1km)、そのままになっていた。
※トップ写真は「 懐石風 おまかせ 環(たまき)」@ 10,700円(税別)から八寸(前菜盛り合わせ)


これは立派な建物だ、古民家とか田舎茶屋というレベルではない。2年かけて移築・建築された


滋賀県から築150年の古民家を移築し、リノベーションされたので、今だと築約160年だ


ご主人が1級建築士なので、このような大リノベーションができたようだ。昔の農具もいい

しかし『ミシュランガイド奈良 2022 特別版』にも掲載されていたし、何より奈良まほろばソムリエの会副理事長のの松浦文子さんが、奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」(2023.3.2)で美味しそうなランチを紹介していたので、意を決して知人と2人で、桜井駅からタクシーで向かうことにした(2023.4.18の夜の部に訪問)。


囲炉裏の間(私たちの部屋ではないが)。この1枚だけ「いざいざ奈良」(JR東海)から拝借


先付(付出し)が登場


敷紙には、こんなことが書かれていた。きれいな手書きの毛筆だ

おお、これは立派な建物だ。おばあちゃんではなく、きびきびとした息子さんが部屋まで案内してくださり、給仕をしていただいた。料理は「 懐石風 おまかせ 環(たまき)」@ 10,700円(税別、以下同じ)を予約しておいた。「先付、前菜、お造り、焼物、鉢物、揚物、酢物、お食事(釜戸炊きご飯、汁物、香物)、甘味」とある。ミシュランのサイトには、


「飲み比べ三種」750円


こちらは「剣菱 冷2合」1,200円

人里離れた山間に立つ一軒家。築150年の古民家を移築した空間は、土間にかまど、囲炉裏など田舎暮らしの風情が漂う。両親が築いた店を三人の息子が引き継ぎ、食と人は自然への共存ということを教えてくれる。自家菜園の野菜を多く取り入れ、裏山で摘んできた山菜や野草は天ぷらに。薪炊きご飯も嬉しい。


八寸(=前菜 トップ写真に同じ)、手前は春を感じさせるヨモギのゴマ和え


焼物。シメジ、タケノコ、グリーンアスパラの上に牛肉が載っていた

「薪炊きご飯」とは関西ではあまり言わないが、要は「かまど(おくどさん)で炊いたご飯」ということなのだろう。お店のHPの「ご案内」には、このように紹介されている。

ご案内​
―素朴な中に癒しを求めるあなたに―
街の雑踏から逃れ人里離れた片田舎、移築した築約150年の古民家、昔ながらの雰囲気の中、タイムスリップしたような懐かしい郷愁を感じながら、懐石風の少し豪華な食事とともに、静かに流れゆく贅沢なひと時を過ごしてみませんか? ​



お造り。魚だけではなく、さっと炙ったタケノコや吉野葛の葛きりが載っていた、うまい!

「田舎」・・・この言葉から、いま我々が時代の流れと共に置き忘れてきた、心のよりどころが存在するように思えます。現代は便利さの追求により、時の流れがすごく早くなり、それについてこれなくなっている人が増え、その結果、心に余裕を持つことが難しく、ストレスを感じることが多くなったように思います。


卓上コンロで、牛肉などが蒸し上がってきた!

数十年前「そんなに急いでどこへ行く」なんて言葉をよく聞いたものでしたが、今はもっと急いでいるように感じます。ですので、ゆったりとした時間を過ごすことは現代人にとって必要ではないでしょうか。「田舎でのんびりとした気分を味わいたい」。そう感じる人は意外と多いように思います。そんな気分を一人でも多くの方に味わってもらいたいとの思いから、新たな店作りを思い立ちました。


鉢物。ユキノシタ、タラの芽、ドクダミ、ヨモギ、ノビル(野蒜)など。奥はビワの新芽

そこであまり不便でなく町からさほど離れていない近場でありながら、静かで鳥や虫の声に囲まれ空気がきれいで田舎の趣を残し、その上見晴らしも良いこの桜井市高家(たいえ)を選び、約2年がかりでようやく店が完成しました。


新タマネギなどの甘さが絶品!

田舎といえば、縁側でトウモロコシを食べたり花火をしたり、雨戸も障子も開けはなし、涼風の中での昼寝。そんな田舎を象徴する建物といえばやはり古民家。いろいろ探した結果、滋賀県にちょうど良い大きさの築約150年の茅葺民家が見つかり移築。


あつあつの揚物。ユキノシタ、ヨモギ、タラの芽など

お客様には田舎に帰ってきたような気分を味わっていただけるよう建物にはあまり手を加えず、当時の趣を残すようにしました。気楽にご来店いただき、ゆったりとした時間を過ごしていただきたいと思っております。


ご飯は、かまど炊きのタケノコのちらし寿司だった


こんなにたくさんの木の芽とタケノコが入っていた、感激!

お料理につきましては一例ですが、裏山や近隣の山々で採れた山野草のお浸しや天ぷら、自家製野菜で作る新鮮かつ色とりどりの前菜など、旬の食材を存分に使い、五感で味わっていただけますよう、ご提供をさせていただいております。

途中で女将さん(千恵子さん)が挨拶に来てくださった。しかし、とても「おばあちゃん」というおトシには見えない。あとで息子さんにお年を聞くと何と、私より年下だった、決しておばあちゃんではないぞ! 初めてミシュランに登場されたのは2011年だったから、50歳代ということになる。やはり何事も、現地で確かめないといけないなぁ。


甘味(デザート)は甘酒のプリン+牛乳。日はとっぷり暮れ、カエルの大合唱
が聞こえてきた。田畑で農薬は使わないので、たくさんのカエルがいるのだ!

女将さんはもともと、大和高田市内で飲食店を経営されていたそうだ。そのあと一念発起してこのお店を出され、今は息子さんたちにお店を任されたということだ。最近は奈良県内でも、このような野菜の美味しいお店が増えているので、私のような野菜好きには、とても有り難いことだ。

確かに昔は「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」という看板が道路に出ていたし、その後は「ドッグイヤー」とか「マウスイヤー」と言われるようになり、もっとあわただしくなった。時にはこのようなノスタルジックなお店を訪ね、山里の料理をしみじみと味わい、犬やネズミではなく、人間の時間に心をリセットしないといけないな、と感じた。千恵さん、ごちそうさまでした。皆さんも、ぜひお訪ねください!
※食べログは、こちら
※以下の画像は同店のチラシ。今は昼食の「千」と「恵」にお造り、「美」に鉢物が追加されている


コメント
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