tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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「奈良県地域貢献活動助成事業」(08年度)報告会

2009年08月07日 | 奈良にこだわる
7月11日(土)、奈良県文化会館で、「平成20年度 奈良県地域貢献活動助成事業 実施成果報告会」が開催された。昨年度、県から補助を受けて「地域貢献活動」を行った17団体のうち8団体が参加して報告(プレゼンテーション)が行われた。
※昨年度、17団体を選抜した「審査会」の模様(08.7.9 当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/331e42acce1228571499f4b84e319ae1



これ以外の9団体は、パネル展示などで活動をPRするほか、この日の報告会に聞き手として参加していた。以下、発表順にプレゼンの内容を簡単に紹介させていただく。
※平成20年度奈良県地域貢献活動助成事業実施成果報告会のお知らせ
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/20tiikikouken.html
※助成対象となった17団体の一覧
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiiki/joseisaitaku.pdf


開会の挨拶をされる宮谷太氏(県くらし創造部長)

1番に発表されたのは、明治・大正・昭和初期の古民家を大切にする会で、事業名は「宇陀市(榛原区除く)・宇陀郡曽爾村・宇陀郡御杖村地域の古民家の調査と経済効果の検証」だ。県の助成額は327千円。



同会は、宇陀市、曽爾村、御杖村の古民家の綿密な調査と経済効果の検証を行っている。地区別に、民家を築年代、外観、屋根型、間取り、今後の活用への意思、活用方法の6点において詳しく分類し報告されていた。学校の先生などが協力されているのだろう、とても緻密で、学問的価値も高そうである。
http://www.naranpo.jp/group/2006/09/post_64.html

次は、特定非営利活動法人奈良フィルムコミッションで、事業名は「奈良フィルムコミッションボランティアエキストラ講習会」(助成額=154千円)。講習会の実施やエキストラの派遣など、縁の下でいろんな活動をされているのだ。
http://homepage3.nifty.com/nara-fc/



最近だけでも、NHKのドラマ「万葉ラブストーリー」(07年11月)、フジ「鹿男あをによし」(07年12月)のロケ補助とエキストラ派遣、読売「秘密のケンミンショー」(08年4月)、韓国SBS「スターの恋人」(08年10月)、NHK教育「知る楽」(同)へのエキストラ派遣など。審査員から「いろんな活動に積極的に取り組まれているが、これからは受け身だけではなく、こちらから仕掛けていくことも必要では」との指摘があった。

3番目は、特定非営利活動法人奈良の食文化研究会の「奈良県下の食関係者の参加による『第3回 出会い大和の味フェア』の開催(220千円)。この団体は、すでにホームページに同報告会の様子を載せている。《8団体の成果発表のプレゼンテーションが行われました。当、奈良の食文化研究会もその発表に加わらせていただきました。どの団体の活動事業も立派で頭が下がる思いでした。奈良県を良くして行こうという志を強く感じ、これからはこの方々の団体とも連携を図りお互いの弱み強みを補って、より貢献度合いの高い事業活動をと意を強くしました》。
http://www.nara-shokubunka.jp/seika_report.html



《当会の地域貢献活動助成事業の内容は「出会い大和の味フェア」のイベントでその成果発表させていただきました。「奈良にうまいものなし」といわれ、そんなことはない!「奈良にうまいものをつくらねば」と13年前に当会を発足。奈良新聞社さんから月に1度の「奈良のうまいもの」の連載記事を依頼され、10年間、会員で手分けして県内を歩き回り郷土料理や新しい奈良の味を調べてきました。その記事のタイトルを「出会い大和の味」と命名していただき、連載記事が100回を迎える頃、また会の発足10周年を記念して一冊の本にしました。自費出版で2000册刷本し、会員の手売りと奈良新聞社さんの協力を得て、現在はほぼ完売状態です》。
http://www.nara-shokubunka.jp/3rd_deai_yamato.html

《本の次は、出会った郷土の味や新しい奈良の味を、より広めようと「出会い大和の味フェア」のイベントを開催し実際にその味を試していただける場の提供活動をさせていただきました》《今後は、10年以上かけて発掘した「出会い大和の味」の商品開発、ブランド創造などのコーディネイト事業で新しい食文化と奈良の味のマーケティング活動を充実し、「食べるをもっと楽しく、奈良を元気に」のサポートを実践して参ります》。
http://www.nara-shokubunka.jp/

4番目は、特定非営利活動法人関西環境とインフラを考える会の「奈良市道橋梁点検巡視」(232千円)。このNPOは《関西地方のインフラを対象に会員各位の長年の蓄積した知識と経験をもとに、環境とインフラの健全な保全に尽力すると共に、地域社会の高齢化にともない生きがいのある社会福祉の向上および地域の国際化への推進のための事業をおこない、広く一般社会に寄与することを目的とする》。



今回の活動は《奈良市道にかかる橋梁の一部(54橋)の現況を目視で点検し、その状況を管理者に報告》する、というものである。国交省のOB(有資格者)が、奈良市内の橋を点検し、データを市に還元しているのである。
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiikijissi1.htm

建設後の車両台数の増加や重量化により、傷んでいる橋はとても多いので、この点検巡視はとても意義のある活動なのだ。審査員からは「そもそも、自治体が行うべき活動なのでは?」という質問もあったが、自治体はそこまで手が回らないのが実情なのだろう。

特定非営利活動法人きゃんす家(や)は、「きゃんす家2008年環境教育事業『ならっ子畑プロジェクト』『竹で遊ぼっ!バンブー・フェスティバル』」(341千円)を発表した。



HPによると《 私たち「きゃんす家」は、森林の保全、森林環境教育を目的とした学生主体のNPO法人です。 主に家族連れを対象として、森林に興味を持ってもらえるようなイベントを企画し、楽しみながら森林の理解を深め、 自然を大切にする心を育んでほしいと考えています》とある。主体は奈良女子大学の学生である。
http://cansya.sakura.ne.jp/site/TOP.html



たまたま7/20(月)、県が主催する「なら森を育てる県民の集い」というイベントで、きゃんす家が「竹バームクーヘン」を焼いているところにお邪魔した(=トップ写真も)。薪をくべて時間をかけて焼いていく。



大変な作業であるが、子どもたちは大喜びで、竹をくるくる回していた。バームクーヘン(直訳すれば「木の菓子」)になぜ年輪があるのか、これでよく分かったことだろう。労力を要する活動だが、ぜひ頑張って継続していただきたいものだ。
※竹バームクーヘンのレシピ
http://cansya.sakura.ne.jp/pdf/barmucuhenrecipe.pdf

次は、サークルおてんとさんの「奈良県内の自然エネルギー利用施設の調査活動」(113千円)。この団体は《「ならコープ」の組合員をメンバーに、2002年秋に結成した環境サークルです。化石燃料や原子力に頼らない自然エネルギーを、市民と力をあわせて普及させることがサークルの目的です。地球温暖化防止や自然エネルギー利用の学習・啓発活動、太陽光を利用した市民共同発電所を奈良県内に作るための活動などをすすめています》というもので、充実した活動内容には定評がある。
http://www.geocities.jp/otentsan/



報告会のことは、すでにHPにアップされている。プレゼンでは《奈良県内には数多くの自然エネルギー(太陽光、太陽熱、小水力等)を利用した施設が存在していますが、その自然エネルギー利用状況は把握しきれていません。それらの施設を調査し広くお知らせすることによって、自然エネルギーの大切さと施設の環境貢献を伝え、施設同士の連携にもつなげていきたいという思いで、本事業をすすめました》。
http://www.geocities.jp/otentsan/200907kenjyoseijihoukoku.html



審査員からは《「現代的な課題に取り組んでいること」、「設置者に調査報告を行ったこと」への評価と「県を動かし環境モデルを作りあげてほしい」、「広く結果をしらせてほしい」など今後への期待をコメントとしていただきました》とあったが、全くその通りである。アメリカの「グリーン・ニューディール」にならい、日本でもこの種の活動に予算がつくようになった。この活動を継続し、ぜひ「奈良モデル」として結実させていただきたいものだ。

次は、ファミリープロジェクトジャックと豆の木の「マザースクール設立事業と地域交流イベント」(439千円)。《母親の子育てに関する相談窓口やネットワークづくりの場として「マザースクール」を開設し、子育て支援や地域の活性化を図った》というものである。同会代表の中岡孝子さんが精力的に活動を展開され、奈良市だけだったマザースクールの教室は、生駒市と橿原市にも作られた。「無料で貸していただける所でやりました」とおっしゃるが、ご苦労は並大抵のものではなかっただろう。
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiikijissi2.htm



さて、最後のプレゼンはいかるがの里・自然クラブの「奈良県内幼稚園の紫外線・熱中症対策冊子『太陽と仲良くつき合おう!』プレゼント&アンケート調査、小学生用ビデオ『太陽と仲良くつき合おう!』作成事業」(272千円)だった。



《子供達の健康と地球環境を守るため、紫外線や熱中症対策に関する冊子を作成し、県内幼稚園と各市町村教育委員会に配布するとともに、アンケート調査を実施。また、小・中学生用の啓発ビデオを作成した》というものだ。審査員からは、アンケート回収率の低さ(市町村=13%、幼稚園=28%)や現場での活用のされ方に疑問の声も上がっていたが、意義のある活動なので、アピール方法を工夫して取り組んでいただきたいものだ。



報告会の締めくくりは、審査委員長・村田武一郎氏(奈良県立大学教授)の講評である。「目標と成果が必ずしも明確でない部分がある」「調査だけでなく、今後こうしたい、という姿勢を」「自らの社会的先導性を意外と認識していない。社会のモデルになるのだ、という気持ちをもっと強く」という注文もあったが、今回は「意欲的に取り組んでおられ、すべて素晴らしい活動だった。この調子で次のステップへと進んでいただきたい」という激励の言葉で締めくくられた。いつも辛口の村田氏の講評としては、珍しいことだ。終始ニコニコされていたのも、意外だった。


村田審査委員長の講評

私も、1年前の審査会でのプレゼンが、このように現実的な成果として現れていることに、新鮮な驚きと大きな喜びを感じた。わずか5百万円(4987千円)の助成金が、その何倍・何十倍もの効果を生んでいるのである。

県下には、この「地域貢献活動助成事業」のほか県の「NPOとの協働事業」(8/27と29に説明会、9月から募集開始)、平城遷都1300年記念事業協会の「平城遷都1300年祭県民活動支援事業」(現在募集中)など、助成事業が充実している。これを見逃す手はないので、意欲のある方は、どんどんチャレンジしていただきたいものである。
※協働推進課(県くらし創造部)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/
※県とNPOとの協働事業(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/54644b7a8f825386e108459a9489ca2c
※平城遷都1300年祭県民活動支援事業
http://www.1300.jp/news/2009/06/post-40.html
※遷都1300年祭の民間イベント(第2弾)プレゼンテーション(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4dc68ceadb0810f07e09851ca0be334e

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