tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

“マイ割り箸派”宣言

2008年09月21日 | 環境問題
“マイ箸運動”は、よくご存じだろう。加藤登紀子や坂本龍一が有名だが、歌手の中島美嘉や絢香、タレントの今田耕司などもマイ箸を持ち歩いている。熱帯雨林などの伐採による環境破壊に反対する、というのがその趣旨である。

日本国内では、毎年約250億膳が消費されている。国民1人が年間200膳も使っている計算になるから、これは相当の数だ。割り箸の98%は輸入箸(うち99%が中国製)で、国産は2%の5億膳だけ。国産割り箸の大半は吉野で作られている。

私も安っぽい輸入箸は嫌いである。真っ直ぐに折れないときがあるし、荒削りなので削(そ)げが出ているものもある。サイズも短い。食べ物ではないが、この辺りが微妙に味に影響するように思う。その点、ちゃんとした店では国産の杉箸が出てくる。

最近目立つのが、竹の割り箸である。竹の割り箸はほとんどすべてが中国製だが、かつて有毒の漂白剤が残留していたことがあったし、最近でも防腐剤や防かび剤が検出されたという報道があるので、できるだけ使いたくない。
http://specialnotes.blog77.fc2.com/blog-entry-675.html

タレントの伊東四朗もマイ箸派であるが、《森林伐採による環境破壊に反対する意思表示ではなく、中国などから輸入されている割箸に対する不信感(例えば漂白されているなど)によるものである》(Wikipedia)という。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E6%9D%B1%E5%9B%9B%E6%9C%97

しかし“マイ箸派”の「割り箸は熱帯雨林の破壊である」という批判は、見当外れである。 田中淳夫著『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)に詳しい。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7f716fdca4be8bc08b677f2be4371650

《熱帯地域で割り箸を製造し日本に輸入していた国は、パプア・ニューギニアのほか、フィリピン、インドネシア、そしてタイやマレーシア、ベトナムもある。1990年前後に輸入量が多いのはインドネシアだ。しかし肝心の素材は、インドネシアではメルクマツだった。この木は、松脂(まつやに)採取のために植林された木だ。熱帯に自生している木ではない。松脂採取後は、使い道がなく立ち枯れるものを割り箸用に転用したのである》(同書)。

フィリピンの木も、マッチの軸用など、使い道がなくなった木を使っているし、そもそもジャングルの木ではない。熱帯諸国の木材輸出量に占める割り箸用材の比率は《インドネシアは0.8%、フィリピン0.6%、マレーシア0.0003%。逆に日本から見て、消費する木材に対する割り箸相当分の木材の量は、0.3%である》(同)。

また同書によれば、輸入割り箸は他の用途には使えないような木を用いており、使用量も木材消費全体の1%未満というわずかな量であるので、これをもって森林破壊とは、いかにも大袈裟である。

私は“マイ箸派”の主張のうち「中国製は安心できない」「1回使って捨てるのはもったいない」という部分には共感するが、だからといって“マイ箸”を持とうとは思わない。その都度洗うのは面倒だし、うっかり洗うのを忘れると次に使えない。洗い忘れたまま持ち歩くのは不潔だ。

私は、“マイ割り箸”を持ち歩くことを提案したい。これは田中淳夫氏も推奨しておられる。もちろん輸入物ではなく安全な国産で、奈良県人としては吉野杉(またはヒノキ)の割り箸を使いたい。
http://www.wood.co.jp/shinbun/no506.htm


吉野割り箸の製造工程。一部機械化されているが、手作り感が残る
(画像は、同僚のNくんから拝借)

吉野杉箸など国産の割り箸は、製材過程で排出される端材や間伐材で作られる。木材資源の有効活用であり、「エコ商品」である。最近は、伐採されず放置された山林が多いが、国産割り箸をどんどん使えば、植林→保育・間伐→主伐→植林というサイクルが回り出し、林業や山村が活性化するのである。杉やヒノキは木自体に殺菌作用があるので、防腐剤などは不要である。

国産箸は、安物の輸入割り箸のように1回きりで捨てるのでなく、ティッシュなどにくるんで持ち帰るのだ。良い材料で丁寧に作られた国産の割り箸は、洗えば何度か繰り返して使えるからだ。旅館などの使い捨て歯ブラシと、通常の歯ブラシとの違いのようなものである。手触りや香りが良く、安全・安心でゴミも減らせる。たくさんの割り箸を持ち歩き、一緒に食べる人に配れば、良いPRにもコミュニケーションにもなる。

私はこれまで外食の際、めぼしい割り箸をもらってきてストックしてある(食後「この割り箸、下さいね」というと必ず新品を持ってこられるので、最近は黙って持ち帰ることにしている)。すべて国産の良質な杉箸だ。ならまちの「旬彩 ひより」と「元祖はいばら肉 うし源」は吉野杉の角箸(かくばし)、八木の焼鳥屋「多恵」は上北山村の天削箸(てんそげばし)、夢しるべ風しるべの「黒川本家」「志まづ」と生駒の「三たて蕎麦 春知」は利休箸。

「がんこ難波本店」は杉の卵中(らんちゅう)で、これは国産材を中国で加工して逆輸入したもののようだ(『割り箸は…』に登場する)。「なら 鮨かねこ」と京都の「要庵(かなめあん)西富家」は正真正銘・下市(吉野郡)の「卵中」であった。

こういう良心的なお店ばかりなら“マイ割り箸”も必要ないのだが、残念ながらその数は少ないのである。先ほど、わが家の台所にしまってあった割り箸(出前や持ち帰り寿司についてきたもの)をひとつかみして調べてみると、すべてアスペン(ホワイトポプラ)や竹などの輸入物だった。安心して使えるとは言えない。

「国産割り箸は、なかなか手に入らない」という声も聴くが、冒頭写真のまん中はダイソーで買った国産杉箸で、5膳で105円だ。右端は「奈良町情報館」で買った川上村の天削箸で、10膳200円、左端は「なら 鮨かねこ」の高級な下市の卵中(推定で3膳200~300円くらい)。他にも吉野杉箸は、イトーヨーカドー奈良店で5膳298円、梅田の阪急百貨店で5膳472円だった。結構手近なところで売っているのだ。


イトーヨーカドーの箸売り場。ちゃんと日本製もある。

ぜひ皆さんには「“マイ箸”は森林破壊を食い止めるので、良いことだ」という先入観を払拭していただきたい。国産割り箸をどんどん使い、林野庁のいう「木づかい」で日本の森林を保全していただきたいと思う。そのため、ぜひカバンやハンドバッグに、国産割り箸を何膳かしのばせていただきたいと思う。

割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 (ちくま新書 658)
田中 淳夫
筑摩書房

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東京人の “ええ子スタイル”

2008年09月20日 | 環境問題
久しぶり(9/11)に上京し、東京駅から山手線に乗り込んで驚いた。スーツスタイルがとても多いのだ。サラリーマン風でシャツだけという人は、ごくわずかだ。

しかし、よくよく観察してみると、スーツを着ていても、ほとんどの人はネクタイを外している。

エコスタイル(ノーネクタイ・ノー上着)が広がりはじめた頃、「ネクタイを外して上着を着るのは、“エコスタイル”ではなくて“ええ子スタイル”やな」と言い合っていた。ネクタイと背広上着を脱ぐから体感温度が下がり、室内温度を28℃に抑えられるのだ。それなのに、体裁を気にして上着を着るというのは「エコ」(省エネによる地球温暖化防止)に反する。


「Tendances de langage」のサイトより

その後(2005年)「クールビズ」という言葉ができて、政府の肝いりでファッションショーが開かれたときも、エコに反して「ネクタイなし、背広あり」の人が多くて、ガッカリした。星野仙一などは、白の背広上下にノーネクタイで登場し「こんなカッコで仕事するサラリーマンがいる訳ないやろ」と思わずテレビにツッ込んでしまった。


左は元トヨタ社長の奥田碩氏

「東京人は“ええ格好しい”が多いから、ああいう中途半端なスタイルになるのだろうな」とも思った。東京のデザイナーやスタイリストは、環境省の趣旨をよく理解していないようだ。その点、「かりゆしウェア」(沖縄のアロハシャツ)で貫いた小泉さんはエラい。

4年間のクールビズの挙げ句の果て、東京では“ええ子スタイル”の跋扈という結果になった訳だから、固定観念というのは恐ろしい。こういう人に限って「キミ、ちょっと暑いんじゃないか?」などと言って、室温を下げさせているのだろう。実際、あのスタイルでは、室温を26℃くらいにしないと暑くてたまらない。

その点、関西は正直な「ノーネクタイ・ノー上着」が多い。「関西夏のエコスタイル運動」としてこのスタイルをいち早く普及させたのは「関西広域機構」(関西の自治体や経済団体の連絡協議会)だから、それを引き継いでいるのだろう。

クールビズの期間(9月末まで)もまもなく終わるが、“ええ子スタイル”の皆さんには、その(良くない)心がけが冷房温度を下げさせ、省エネを妨げているのだということをよく考えていただき、来夏からは、完璧な「ノーネクタイ・ノー上着」としていただきたいと切に願う。

※冒頭の写真は、イトーヨーカドー昭島店のホームページより
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カレーきしめん vs カレーそうめん

2008年09月18日 | グルメガイド
生駒のいぐいぐさんのサイトで、カレーハウス「CoCo壱番屋」が期間限定で「カレーきしめん」(680円)というメニューを出していることを知った。
※いぐいぐサイト(9/6の「いぐいぐブログ」参照)
http://www1.kcn.ne.jp/~iguchi/

最初は「カレーうどんの“きしめん”バージョンかな」と思ったが、実際に新大宮店で注文してみると、もっと汁気が少なく、きしめんにざっと和風カレーをかけたような風情であった。きしめん特有の花かつおもトッピングされている。ネギやお肉がたくさん入っていて、これは美味しい。辛さも好みに応じてオーダーできる。

「タリオリーニ」という、きしめんに似た平たいパスタがあるが、それが発想のモトなのかも知れない。カレーうどんのように汁が飛び散らないので、とても具合が良い。
http://www.ichibanya.co.jp/menu/regular/curry.html#gentei

では、「カレーそうめん」をご存じだろうか。以前、全国のそうめんのルーツ探しをしているときに、偶然ヒットしたメニューである。
※奈良のうまいもの(5)三輪そうめんファミリー(JanJan)
http://www.news.janjan.jp/area/0809/0809066473/1.php

この「カレーそうめん」は、ベトナム料理「ミュン 本郷店」(東京都文京区本郷4-2-8)のランチとして提供されている。上京の折に立ち寄ってみた。
http://r.gnavi.co.jp/a029600/

この日のランチメニュー(600円)は、「鳥カレー ライスまたはそうめん」「鳥のクリームシチュー」「豚のしょうが焼き」「豚肉・竹の子とピーマンの炒め物」の4種類で、すべて「ライス・そうめんお代わり自由」という太っ腹だ。しかも、午後1時半を過ぎるとすべて400円になるというから、信じられない安さだ。東大が近くにあるが、学生にはたまらない店である。



写真がカレーそうめんである。オーダーして1分以内に運ばれてきたのには驚いた。他のメニューも同じで、よく流行っている店だからできる芸当だ。

さらりとしたカレーは、いかにもベトナムで出てくるような本格派だ。ぶつ切りの骨付き鶏やジャガイモ、ニンジンが入り、とてもスパイシーである。

白く澄んだそうめんは、一見してわかる「米粉」の麺だ。日本でもよく知られている「フォー」と同じ系列で、そうめんのように細い。あとで調べてみると「フーティウ」という米粉の麺で、フォーはベトナム北部、フーティウは南部の麺だそうだ。
http://www.vietnam-sketch.com/special/monthly/2006/01/003.html

「カレーに麺を入れるべきか、麺にカレーをかけるべきか」としばし悩んだが、麺が絡み合っているので、ざっと麺にカレーをかけてほぐし、それをカレーに漬けていただいた。春雨のような食感の麺とスパイシーなカレーが、不思議とよく合う。

私はCoCo壱で普通に食べても、カレーが残る(ご飯が先になくなくる)タチなので、今回のような辛いカレーだと、半分くらいカレーが残ってしまう。麺やライスを追加しても良かったのだが、口に中がとても熱いのでそれも断念した。インドシナでは、こういう辛いカレーを平気で食べるのだろう。

そうめんといっても「三輪そうめん」の系統につながる麦の麺ではなく、米の「ベトナムそうめん」であった。「シルクロードは麺ロード」というが、中国で生まれた麺がヨーロッパでパスタになり、日本でそうめんやうどんになった。ベトナムではフーティウやフォーになったのである。これはとても興味深い。

なお「ぐるなびレシピ」を検索すると、冷麦を使ったタイ風の「カレーそうめん」のレシピが出てきたので、最後に紹介しておく。
http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/1994.html
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宮内庁御用達 箸勝本店

2008年09月16日 | 林業・割り箸
箸勝本店(東京都千代田区外神田3-1-15)は、秋葉原にある箸問屋さんである。HPを拝見すると、相当由緒のある家柄のようだ。

《現社長である山本権之兵衛は、奈良県吉野郡下市町原谷に住居を定めた初代山本氏より数えて第26代目に当ります。代々山本利右ェ門を名乗りそのルーツは南朝の後醍醐天皇の吉野遷都に従い吉野へ土着し、清和源氏の山本姓を祖先に持ちます。原谷において代々庄屋で在り、この地の名産である吉野杉・桧などの材木の問屋として生業して来ました。明治43年以来割箸の需要増加に従い、大阪・京都・東京などに下市町特産の割り箸を売買するように成り、東京に進出し現在に至ります》。
http://www.hashikatsu.com/



この店のことは、田中淳夫著『割り箸はもったいない?』(ちくま新書)で知った。《「現在、正式には“宮内庁御用達”は存在しないのですが、これがあるとないとでは信用が違います。こちらも励みにしているわけです」(宮本敏治常務) 店頭に並ぶ割り箸の種類は多岐にわたる。高級なものから普段使いの安物まで。中国製も扱うが、やはり主流は吉野で作られる国産の高級割り箸だ》(同書)。

東京で吉野の箸とは嬉しい。上京の折(9/11)に立ち寄ってみた。

お店はJR秋葉原駅から徒歩8分、HPに分かりやすい地図が出ていた。電気街口を出て中央通りを北進し、1つ目の角を左折する(ここは例の無差別事件のあったところ)。



お店は写真のような立派なビルで、ショーウィンドーには、五輪マークの割り箸が並べられていた。説明書を読んでいると、お店の方がわざわざ出てこられて、説明していただいた。

五輪マークのあるヒノキの元禄箸(元禄小判)は、北京五輪の会場や強化選手村用に寄贈されたものだそうだ。選手村用の箸袋には「このお箸は、奈良県吉野桧の間伐材、端材を利用し作られた安全で衛生的な、日本製のお箸です。間伐材、端材を利用することにより、日本の森林資源の育成に役立っています」と刷り込んである。

杉の「らんちゅう(卵中)」(両方の先端が尖った高級箸)は、五輪招致に動く東京都が北京で行ったレセプション用の箸だそうだ。他にも、北海道洞爺湖サミット用に作られた吉野ヒノキ箸の見本も出ていた(最終的には別の業者から、北海道産と北陸産が納入された)。私の知らないところで、様々に動いておられたのだ。


上の2つは北京五輪用、その下はレセプション用、
一番下が洞爺湖サミット用に作られたサンプル

箸勝本店のHPには「今、なぜ国産割り箸か」という理由もちゃんと書いてある。《安いからと云う理由で中国製のアスペン、竹、エゾ松のお箸が多くの飲食店で使われています。日本の昔から有る杉や桧のお箸は少し高いからと敬遠されその結果、日本の森林のリサイクルが進まない要因にも成っています》《どうか、今こそ国産品である吉野杉、桧の優美で香りの良いお箸でお客様をおもてなし下さいませ》。



全く、その通りである。林野庁の「木づかい運動」に見られるように、国産材が使われないから森が荒廃するのだ。植林→整備・間伐→主伐→植林のサイクルを回さなければならない。割り箸を使うことは間伐材や端材(製材の過程で排出される切れ端)を使うことだから、木材の利用(木づかい)になる。どんどん使えばどんどん木材が伐り出され、上記のサイクルがうまく循環することになる。

《一連の無駄使い論により、使い捨ての割り箸が有限の森林資源の無駄使いと不名誉なクローズアップをされ、不本意な理解をされることも未だ見受けられます。割り箸の材料となる「木」は、建築用材料の残り「端材」「廃材」や、植林中に間引きをした「間伐材」など、もともと捨てるものを無駄無く使っています》《材料の残りを利用して丸々一本の木を余すこと無く使い切っているわけです。それにより産業廃棄物として焼却しないで済むわけで、二酸化炭素の増大やダイオキシンの発生などを防いでいるのです》(同HP)。

『割り箸はもったいない?』も顔負けの行き届いた説明である。ここまでHPで解説していただくと、もう私の書くことは何もない。HPには、他にも箸の教育効果についての記述もあり、とても参考になる。帰りにはお箸のサンプルまでいただいた。

それにしても割り箸は奥が深い。わずか5グラムの割り箸とはいえ、国内で年間に250億膳使われるから、合計12万5千トン! この日はその重みをシッカリと受け止めることができた。箸勝本店さん、有り難うございました。
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汐留の“塩多め”ラーメン

2008年09月15日 | グルメガイド
会社のお取引先のMさんから、「汐留らーめんが人気ですよ」と教えていただいた。東京・汐留にある日本テレビタワーの地下2階にあり、開店当初は長蛇の行列ができていたとのことだった。それは面白そうだとネットで調べてみると、テレビ番組から登場したラーメン店だった。局のHPから抜粋すると

《日本テレビ開局50周年企画、朝の情報番組「ズームイン!!SUPER」の企画から誕生した、汐留名物『汐留らーめん』》《“どこにもないらーめん”というテーマのもと、汐留名物といわれるまでになった『汐留らーめん』の代表格である【汐留味】は、豚骨、牛骨、鶏ガラに加え、スルメのゲソや小鯛の煮干しなどの珍味をブレンドした独特の魚介風味が広がるコク深い味わいの醤油味です》。
http://www.ntv.co.jp/ramen-p/

Wikipediaにも出ていた。《店長は和食界出身の、竹若 幸之助(たけわか こうのすけ、1970年(昭和45年)1月28日- )。2003年(平成15年)に日本テレビ企画の創作ラーメン対決に応募。500人を超える応募者がひしめき合う中、書類審査、面接、準決勝を突破、2004年(平成16年)3月に行われた決勝で優勝した》《日本テレビ・日清食品とのタイアップで、2004年(平成16年)に「汐留らーめん 汐留味」を発売。そして2006年(平成18年)にはカップ麺「汐留らーめん 汐留塩味」を発売している》。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%90%E7%95%99%E3%82%89%E3%83%BC%E3%82%81%E3%82%93

しかし驚いたことに、ブログなどに出ていた店の評判は、毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばというより、悪口雑言・罵詈讒謗(ばりざんぼう)の山であった。目に止まった3人の感想を並べると、

《スープがやけにぬるかったです。味は独特なので、ラーメンフリークの方の舌には全く別の反応があるかもしれません。が、僕には魚介の生臭さが鼻について、苦手でした》。

《自分には合ってないかと。妙に濃い感じなので、食後に水を飲まないと口の中が厳しいです》。

《ストレートな麺の上にはメンマとチャーシューとほうれん草(?)それなりに美味しいです。しかし、やたらと量が少ない・・・具も少ない・・・値段は高い・・・ということでまあ美味しいけれど値段設定が高すぎという感想でございました》。


向かって右が日本テレビタワー。

カップ麺が出るほどのラーメンなのに、この悪評は何だろう、と逆に興味をそそられたので、9/11(木)、上京のついでに立ち寄ってみた。

JR新橋駅で下車し、徒歩4、5分で店に着いた。地下道を通ればそのまま店に直行できるので、とても具合が良い。すぐ近くに、日本テレビに関するグッズ・ショップ「日テレ屋」がある。日清の「汐留らーめん」はなかったが、「ごくせん熊井ラーメ 辛味噌豚骨味」(仲間由紀恵主演のドラマ「ごくせん」に登場する「熊井ラーメン店」をイメージしたカップ麺)が189円で出ていたので、つい買ってしまった。


日テレ屋

さて汐留らーめんである。混雑時を外したので、人影はまばらだった。入口の自動販売機で、限定100食という「汐留餃子らーめん膳」(汐留らーめん小、餃子、ライスのセット)890円の食券を購入。店に入るとツンと鼻をつく異臭がする。どこかのブログに《飲食店として、あるまじき臭いがした》と出ていたのは、この臭いだ。これはアンモニア臭で、要はトイレの臭いなのだ。たぶんダシにしているスルメの足から発するものだろう。ま、私の鼻はすぐ慣れたが。

待つこと数分で餃子とご飯、続いて汐留らーめん(小)が出てきた。ステンレスのレンゲでスープを一口。猫舌なので、さほどぬるいとは思わなかったが、関西人の私には塩辛い。塩や醤油が多いのだろう。これは“塩止(しおど)め”ならぬ“塩多め”ラーメンだ。テーブルに「らーめんを食べ終わりましたら、残ったスープで雑炊としても召し上がってみて下さい。ライス100円」とあったから、辛さは自覚しているのだ。なお以前はライスが180円だったようで、上に紙を貼って修正してあった。


汐留らーめん膳

化学調味料の味もするが、肉系に魚介ダシを加えたWスープ自体は悪くない。麺は太くてモチモチしていて、これは美味しい。トッピングは少ないが、チャーシューはまずまず。具だくさんの餃子もイケる。隣の人が普通サイズの汐留らーめんを食べていたが、丼が大きい割に麺や具は少なそうだった。これで790円は、やや割高感がある。

総じて、普通に美味しいラーメンだ。並んでまで食べる気はしないが、悪口を言うほどではない。東京には美味しいラーメン店がたくさんあるから、それらの名店と比較すれば見劣りする、ということなのだろう。



店の入口近くには地上に出る広い階段があり、ピーク時には地上までずらりと列ができたそうだが、それは視聴者がテレビに踊らされたということで、お気の毒さまと言うしかない。

それにしてもテレビの力とは、すごいものだ。我々受け手側としては、垂れ流される情報を鵜呑みにすることなく、自ら培(つちか)った「メディアリテラシー」(メディアから流される情報を取捨選択して活用する能力)で判断すれば良いのである。

一杯のラーメンから、いろんなことを考えさせられたランチタイムであった。Mさん、どうも有り難う。

噂のラーメン2005―損はさせない!激旨の350杯 関西版(大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀)

日本出版社

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