国際紛争、安全保障、日本の役割、将来への選択肢などのテレビ討論番組を観ていると、自衛隊を擁護し海外派兵や活動を支持し憲法9条も改変した方が良いとする人たちが、その根拠として話す中に差し挟む意見として、『自衛隊員は体を張って命がけでやっている』というのがある。
敗戦後に60余年も日本が平和にやってこれたのはアメリカの核の傘のおかげであり、自衛隊が北朝鮮の工作船や旧ソ連や中国などの侵犯行為をはねのけてきたおかげだというのである。そして、海外派兵に際してもどこででも、自衛隊員は一生懸命に任務を果たしているというのである。
それらの議論の中で、憲法9条擁護、戦争反対の立場の人が、『現場の自衛隊員は一生懸命に体を張ってやっている・・・』という言葉を浴びせられると、少しひるんで黙ってしまうのはなぜだろう。一生懸命という言葉は、自分の事として使うと言い訳がましくて胡散臭いのだが、漠然とした他人のことでも褒めたり擁護したりする言葉として使うと、言われた方は独自の一生懸命というイメージが喚起されて一時それにひたってしまうようで、言葉を詰まらせる効果があるようだ。
『一生懸命にやっている』という言葉に対して真っ向からそれを否定してみせるのは、おそらく冒険だ。しかしどうしても、その否定をやってみたくなる。『自衛隊員はみんな・・』といったって、皆が皆高度に訓練された特殊兵のように、或いは機械的に意志一致して行動しているわけではないだろう。私が自衛隊員として思い描く、標準的イメージを書いてみる。
①自衛隊に入るのは、身分や給与が安定している公務員だから。
②体力に自信があり訓練に耐えられるし、そのような訓練活動が好きなアスリート体質である。
③資格や技能を身につけることができ、自衛隊経験者は会社組織でも有利であるという除隊後の人生設計をしたうえで入隊する。
④国を守るという使命を果たしているように周りから見られる心地よさがある。
⑤憲法9条に守られているので、命を落す可能性のある戦闘状態に置かれることはほぼ在り得ないと安心している。
⑥災害復旧活動に、派遣先で感謝されながら、仕事として給与を保障されて従事することができる。
自衛隊は憲法9条に違反しているが、憲法9条によって命の安全保障が約束され一番直接的に恩恵を受けているのは自衛隊員である。これがわたしの考えだ。
『一生懸命・・・』という言葉は、実際に現場で見ているときに個々人に対しての感想として言うならともかく、一つの集団を修辞する言葉としては不適切だ。こんな言葉で惑わしてはならない。情緒をからませた誤魔化しの説明にひるんではならない。こんな表現を使うのは何かを隠すための強弁をしようとしているからなのだ。
本日の毎日テレビの『サンデーモーニング』でとてもすばらしい警句を紹介していた。【ハンマーを持つものにとって、すべての問題は釘の頭に見える】これはすばらしい言葉だと思った。
ハンマーを軍事力とするなら、どんな紛争も釘の頭に見えるということだ。
ネットで調べてみた。英語の諺らしい。
"To a man with a hammer, everything looks like a nail."
次回は、『もし、北朝鮮のような国が攻めてきたら・・・。日本でテロがあったら・・』ということについて書いてみたい。
敗戦後に60余年も日本が平和にやってこれたのはアメリカの核の傘のおかげであり、自衛隊が北朝鮮の工作船や旧ソ連や中国などの侵犯行為をはねのけてきたおかげだというのである。そして、海外派兵に際してもどこででも、自衛隊員は一生懸命に任務を果たしているというのである。
それらの議論の中で、憲法9条擁護、戦争反対の立場の人が、『現場の自衛隊員は一生懸命に体を張ってやっている・・・』という言葉を浴びせられると、少しひるんで黙ってしまうのはなぜだろう。一生懸命という言葉は、自分の事として使うと言い訳がましくて胡散臭いのだが、漠然とした他人のことでも褒めたり擁護したりする言葉として使うと、言われた方は独自の一生懸命というイメージが喚起されて一時それにひたってしまうようで、言葉を詰まらせる効果があるようだ。
『一生懸命にやっている』という言葉に対して真っ向からそれを否定してみせるのは、おそらく冒険だ。しかしどうしても、その否定をやってみたくなる。『自衛隊員はみんな・・』といったって、皆が皆高度に訓練された特殊兵のように、或いは機械的に意志一致して行動しているわけではないだろう。私が自衛隊員として思い描く、標準的イメージを書いてみる。
①自衛隊に入るのは、身分や給与が安定している公務員だから。
②体力に自信があり訓練に耐えられるし、そのような訓練活動が好きなアスリート体質である。
③資格や技能を身につけることができ、自衛隊経験者は会社組織でも有利であるという除隊後の人生設計をしたうえで入隊する。
④国を守るという使命を果たしているように周りから見られる心地よさがある。
⑤憲法9条に守られているので、命を落す可能性のある戦闘状態に置かれることはほぼ在り得ないと安心している。
⑥災害復旧活動に、派遣先で感謝されながら、仕事として給与を保障されて従事することができる。
自衛隊は憲法9条に違反しているが、憲法9条によって命の安全保障が約束され一番直接的に恩恵を受けているのは自衛隊員である。これがわたしの考えだ。
『一生懸命・・・』という言葉は、実際に現場で見ているときに個々人に対しての感想として言うならともかく、一つの集団を修辞する言葉としては不適切だ。こんな言葉で惑わしてはならない。情緒をからませた誤魔化しの説明にひるんではならない。こんな表現を使うのは何かを隠すための強弁をしようとしているからなのだ。
本日の毎日テレビの『サンデーモーニング』でとてもすばらしい警句を紹介していた。【ハンマーを持つものにとって、すべての問題は釘の頭に見える】これはすばらしい言葉だと思った。
ハンマーを軍事力とするなら、どんな紛争も釘の頭に見えるということだ。
ネットで調べてみた。英語の諺らしい。
"To a man with a hammer, everything looks like a nail."
次回は、『もし、北朝鮮のような国が攻めてきたら・・・。日本でテロがあったら・・』ということについて書いてみたい。