鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

トヨタの感性①

2010年03月06日 17時56分44秒 | 個人的主張など
◎デジタル感覚とアナログ感覚

30数年前、仕事でトヨタ車と日産車のワンボックスカーを交互に運転していたことがある。トヨタ車はクッションが柔かくて坐り心地がよく悪路の振動も吸収する。見た目に細部の気配りがなされていておしゃれな感じがした。日産車はその逆だった。路面をじかに感じるし野暮ったくてがさつな感じ。

しかし運転感覚になると、トヨタ車の場合はアクセルを踏んだ時に初動が遅くて二次曲線加速だった。そしてブレーキや急ハンドルはクッションが良い分、フワンフワンと大げさに揺れる。日産車のアクセルは直線的で、運転感覚は直結的だった。

言い換えればトヨタ車は間接感覚で日産車は直接感覚だった。デジタル感覚とアナログ感覚と言っていいかも知れない(デジタルとアナログは厳密には違うだろうけれど・・・)。若かった私の好みは、多少クッションが悪かろうがオシャレでなかろうが、メカも道路もダイレクトに感じて人車一体感にひたれる日産車だった。

一般的に運転者は五感をフル活用して車を操っているわけだから、自分のイメージが素直に車の動きとして反映される手足としての運転性能を車に求めている筈だ。と、このように書いたら最近のトヨタ車の性能を検証もせずに、昔の記憶からの思い込みを今回の騒動に繋げてトヨタをこき下ろそうとしているように思われるかも知れない。

そんな尻馬野次馬的なことは避けたい。少し違ったことでも書けないかと思案しつつ、ネットで検索しつつ、あまり間違ったことを書かないように確めつつ、書き進めたい。今回の騒動で油圧ブレーキとABS(アンチブレーキシステム)と回生ブレーキと空走感の関係を知った。

油圧ブレーキは足で踏む動作を油圧としてブレーキの力に換えるしくみだからポンプで力を増幅させるとしても感覚は直接的だ。自転車のブレーキと変わりない機械的なものだ。

ABSはタイヤがロックしてスリップや横転するのを防ぐしくみだ。ロックを防ぐとハンドル操作が可能になり安定を保ちやすい。事故防止に役立つわけだが、ABSが作動するほどの事態は道路の状況把握を見誤った危険運転で、実は何があっても運転者の責任とも言える。

回生ブレーキというのを今回の騒動で学んだ。電車に使われているシステムで制動エネルギーを電気エネルギーとして回収するということだが、今回の空走感というのはABS作動時にブレーキが回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わるタイミングの問題で、ソフトを書き換えるだけで不具合は解消するとしてトヨタはリコールにより修正している。

ここで何かおかしいと感じるものがある。ABSでさえ運転者を過保護に守るために苦肉の策として考えられたシステムで本来のブレーキに逆らうしくみだ。それなのに回生ブレーキという制動エネルギーを発電に利用するシステムを加えたら、ブレーキに不具合も出ようというものだ・・・という気がする。車は線路の上を走っているわけではない。

ブレーキはゴーカートのような単純さが必要で、油圧ブレーキのアナログ感覚を最重要視しなければいけないのに、ABSと回生ブレーキの電子制御がアナログ感覚を阻害してしまったということではないのか。プログラム修正だけでトヨタ製ハイブリッドカーのブレーキシステムは何の問題もなくなるのだろうか。     つづく


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする